【結局「あに」は何人?】フィリピン人の間違えやすい日本語
日本でも何かと話題の「技能実習制度」
日本の工場などで3年間働き、溶接、塗装、機械加工といった技能を身に着けて
その後自国へ技能を生かして貢献してほしい、という制度です。
その制度を利用して、日本へ「技能実習生」として派遣されるには
やはり日本語が大切。
私は以前そんな彼らへの日本語教育に携わっていました。
今日はその時わかった
「フィリピン人の間違えやすい日本語」
を紹介したいと思います。
① 結局あには何人??「I(い)とE(え)」の音、あいまい問題
フィリピン人は「IとE」の音をあまり区別していないらしく、
IやEがつく単語の発音を間違えがちです。
特に印象に残ったのが、
「あに:ANI」と「あね:ANE」の混同。
本人は「あね」といっているつもりなんだけど、どうにも「あに」に聞こえる。(というか「あに」って言ってる!)
そんなわけだから家族構成を言ってもらうときなんかが厄介で、
「父と、母と、あにが3人と、あにが2人と、弟が・・・」
ちょっと待て、あにが2回にわたって紹介されてるけど合計5人の兄ってこと?
もちろんどっちかは「あね」のつもりで言っているのですが、あきらかに「あに」を2回言っています・・・。
(逆に2回「あね」って言っちゃうバージョンもあり。)
最初は単純に兄と姉って似てるから言い間違えちゃうよね~って思ってたのですが、
何人もの生徒がおんなじ間違いを連発するので、聞いたらIとEの発音をそんなに区別していない、とのことだったのです。
で、この「あにあね問題」、校内だけならまだいいのですが、
ちょくちょく企業の方が来て、会社に来てほしい生徒を選ぶために面接することがあり、
その時にもやっぱり出ちゃうので困りもの。
企業の方:「はい、じゃあ家族構成を教えてください」
生徒:「はい、父と母と、あにが3人と、あにが4人と、あねが2人と、、、」
企業の方:(指を折りながら数えているけど)「ん、あれ、お兄さんが7人??!!」
生徒:「いえ、父と~母と~あにが3人と、あにが4人と~」
大混乱ループ。
あにが2回出た挙句、なぜかあねも出てくることがあります・・・。
しかも、混乱を招くのがやはり「大家族」であるということ。
普通に10人、13人兄弟です。とか言います。
だからこそ「あにが3人と、あにが4人と、あねが2人と~」になっちゃうんですよねえ。
② 「冗談だけです」ん?だけって??
これは結構日本語がペラペラなフィリピン人日本語話者もよく間違える表現。
しかも絶対間違い、とは言い難い誤用なのが厄介なところ。
日本人は「冗談でーす」とか「冗談だよ」とかそんな感じで言いますよね。
「冗談だけでーす」って「だけ」はつけませんよね。
でもフィリピン人はつけます。(笑)
「冗談です」って言ってるフィリピン人に会ったことがありません。(私はね)
最初生徒が言っているのを聞いて、やや違和感を覚えたものの特に気に留めていなかったら
会う人会う人
「冗談だけです」
「先生、冗談だけですよ」
「冗談だけ」
・・・・・・・・
「冗談だけ」ってなんだよ?!
これはタガログ語からの影響かと思います。
タガログ語で「冗談です」は
「Joke(英語のジョーク、冗談) lang(だけ)」
そう、「冗談だけ」なんです。
これ「冗談だけ」に限りません。
「だけ」を使わなくていいところで「だけ」が出てくる誤用、多々あります。
それもこれもすべてタガログ語、つまり母語からの影響(母語干渉)というわけなのです。
(ていうかそう自分が分析しただけ(^-^;)・・・)
今では私もつい、「冗談だけです」と言ってしまいます・・・。
とまあ、長くなりましたが二つほど私の中で代表的なのを書いてみました。
こういう誤用って、自分が外国語を勉強するときにも役立ちます。
逆に私もよくタガログ語の表現を日本語的表現で言っちゃって「ちがーう」って指摘されます。
だからこそ言語って、教えるのも学ぶのも楽しい!