『かかし 今―、やつらがやってくる』ロバート・ウェストール
『かかし 今―、やつらがやってくる』ロバート・ウェストール、金原瑞人訳、福武書店(Best Choice)
こどものころに愛読していた児童小説の叢書、福武書店のBest Choice。福武書店はとっくの昔になくなってしまったが、幸い図書館で借りることができる。数十年間記憶に残っていた『かかし』を久しぶりに再読しようと思った。
主人公であり視点人物であるサイモンは非常にとげとげしい。こんな性格だったか、と思ったが、どうやら別の本の主人公と少し混同していたらしい。
サイモンは、亡父とはすべての面で異なる男と母親が再婚することになり、荒れている。夏休み、いやいや滞在している継父の家の近くには水車小屋があり、誰も使わなくなって久しいのに、少し前まで人がいたかのような雰囲気を漂わせている。水車小屋の前のカブ畑に立っている三体のかかし。それは水車小屋にまつわる三人の男女のイメージと重なり、次第にサイモンは家に近付いてくるようなかかしたちに追い詰められていく……
こういう話だ。数十年ぶりに読み返して、ホラー要素のしのばせかたの上手さ、異様さに驚いた。あらためて感想を書きたい。