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読書感想 藤田和日郎さん 読者ハ読ムナ(笑)

「うしおととら」、「からくりサーカス」を描いた漫画家、藤田和日郎さんの新人アシスタントの育成術の本です。藤田先生の物語創作術がアツく語られています。あくまでも少年漫画の創作論ですが、小説にも通じるものがあります。

 

 本書は、藤田先生と、「うしおととら」の初期の担当編集者飯田一史さんが、架空の新人アシスタントに対して週刊連載を獲得するためのアドバイスをそれぞれ行っていく、という形式で書かれてます。実際、藤田先生の仕事場からはプロ漫画家が多数輩出されているようですね。

 私、すでにこれを3回読んだんですけど、すごいです。まーじーですごいです!!(2回言った…!)勉強になります。

 もうしょっぱなから、パワーワード連発です。「情念を込めて線を引きな」とか、「感動するネームを書け。感動とは何か。人の心が変わるもの」とか。情熱じゃなくて情念ですよ!!


 まず、藤田先生の仕事場では、無口禁止だそうです。アシスタント同士、会話のキャッチボールをしなければならない。また、全員で映画を見て、その感想を意見交換する場が定期的に設けられているようです。

 
なぜかというと……
漫画家といえども、他者と上手にコミュニケーションを図れる素直さと向上心がないと、良い作品は作れない。漫画は編集者と共に創り上げていくものだから。また、映画の意見交換は、作品を評価する理由、つまりどこがが良くてどこが悪いと感じたのか、その根拠を論理的に言語化出来る(伝えられる)訓練になる。それは、自分と自分の作品を切り離して考える訓練になり、客観性を保つことに繋がるそうです。…さすがですよね。

 このほかにも、魅力的な作画のコツや、小説を書く人間にもためになる、キャラを立てる方法論なども書いてあります。キャラクターの履歴書を作るのではなく、そのキャラはなぜそう考えるのか?ということを軸に深堀りしていくそうです。なるほど…。

 私が一番衝撃を受けたのは、オリジナリティを見出す方法論についてです。

 個性、自分だけの武器を見つけるには、外に答えを見つけようとせずに、内を見つめることが大切。自分の「好き」をとことん追求し、何に感動するのか、何に惹かれるのかを深堀りして噛み砕いて言語化することがオリジナリティに繋がるそうです。はい。肝に銘じます。

 連載を継続するために、生活するために、読者に夢を与えるために、漫画家の方達は書き続けます。漫画は小説と違い絵を描くので、まじもんの魂が作品に混入していると思います。(私の個人的な意見です)
今、世間では漫画や小説の残念な映像化を原作ナントカと言ったりしますが、作家が魂を込めて創り上げた作品を、制作側はリスペクトして欲しいと願うばかりです。


 私がこんな事を書くのは、実は、漫画家になりたくて高校生まで漫画を描いていた経験があるからです。笑

読んでいただきありがとうございました!




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