最近読んだ本の感想③
遠藤周作の「侍」を再読。多分三回目です。やっぱり素晴らしい。三回目ともなると、もはや純読者ではなくて、小説の手法を盗もうと躍起になってしまう。
会話の合間に挟まれる美しい情景や所作の描写。それが心情を効果的に表現している。直接的な描写よりも心に響く。
また、今回はキャラクター達の生きざまに想いを馳せてしまう。特に主人公「侍」こと、長谷倉六衛門について。彼は東北の痩せた土地の地侍です。ともに暮らす農民達と同様、どんな苦境も運命と諦めて、ひたすら耐え抜くのです。最期まで。そんな姿を自分と重ねてしまう。
島本理生さん「あられもない祈り」
noteのコメントで教えていただきました。
混じり気なし純度100%、究極の恋愛小説。複雑で不安定な女性の心情を、深くえぐる凄まじい筆致。極限まで研ぎ澄まされた作者の感性が突き刺さる。つうか貫通して抜けない…。唯一の救い?は、相手役の年上男性にそれほど魅力を感じないところ。(これで素敵だったら悶え死ぬ)
私は女性作家の小説をほぼ読まないのでわからないですが、女の性(さが)をここまで生々しく、かつ芸術性を失わずに書ける方ってほかにいるのでしょうか。
梶井基次郎の掌編 「蒼穹」(青空文庫)
短いのですぐ読めます。
青空の中に湧き上がる白い雲を眺めていると、ふいに虚無と闇を感じてしまう。これは彼の心象風景なのだろうか。死を意識すると、青空さえも色褪せてしまうのかもしれない。そう、その時の気分で空の色は違って見える。死の恐怖を抱えていたらなおさらだ。
永井荷風「来訪者」(青空文庫)
パッパルデッレさんの感想文を読み、面白いに違いないと思い、読了。
展開の早さに引き込まれ、ミステリーのような雰囲気で一気読み。特に印象的なのは、三人の子持ち男性と関係を持つ未亡人、常子の描写。男性目線では非常に魅惑的で、同時に恐怖を感じる人物だが、私には、多くの女性が心の奥底に抱える闇を体現しているように思えてならない。
相変わらず全然本の感想になってなくてすみません!!
読んでいただきありがとうございました!
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