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東京文学フリマ39アンソロジー「青音色創刊号」について(試し読みあり)

12/1文学フリマ東京39にて、
ウミネコ制作委員会様のブースをお借りしまして、「青音色創刊号 癖は心の窓」を販売致します。ウミネコ制作委員会様、本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。


「青音色」とは、渡邉有と、noteの相互フォロー様である吉穂みらいさん、蒔田涼(海人)さんと三人で結成しました創作グループです。

「青音色創刊号」は、私達三人の2万〜3万文字の短編からなるアンソロジーです。「癖は心の窓」というテーマに基づき執筆いたしました。


なるべく沢山の方にご興味を持っていただけるといいなと思い、今回冒頭部分のみを引用してご紹介致します。 

私の作品は約二万文字です。
宮沢賢治の詩集、春と修羅第一集におさめられている「過去情炎」という詩の題名を拝借し、ワタナベワールド全開の怪奇小説に仕上げました。詩の世界観を突き詰めて再現したわけではありません。
せっかくの機会なので、公募にもnoteにも向かない、不思議大好きな私の創作脳の延長線上にあるものを形にしました。

過去情炎かこじょうえん 渡邉有

そんならもうアカシヤの木もほりとられたし
いまはまんぞくしてとうぐわをおき
わたくしは待っていたこいびととあうように
鷹揚にわらってその木のしたへゆくのだけれども
それはひとつの情炎だ
もう水いろの過去になっている
「春と修羅 過去情炎」宮沢賢治

 二人を引き離すものの断面を見つけようとして、互いの瞳の底を覗きあううちに、死神の姿が明瞭に浮かぶようになった。死神は人の形をしておらず、黒く燃え上がる冷たい炎である。その火影は絶えず幻想的な色彩を帯びながら、静かに、規則的に、冷酷に、燃え上がる。まるで妻が放つ死臭を酸素として取り入れているかのように。
 妻の背後に時折姿を現すようになった死神は、右胸を覆い、やがて血液の流れに沿って全身に行き渡った。今では彼女は頭のてっぺんから足の爪先まで炎に包まれ、黒い衣を纏っているように見える。吐き出す息も黒い。瞬きもせず真っすぐ僕を見る瞳は、一切の色調を失った底のない漆黒だ。死神は生命の灯火が消えかかっているものを探し出してはその背後に忍び寄り、隙あらば身体に入り込んで、最期の時を悠々と待ち続けるのだろう。全く忌々しい。


海人さんの記事もぜひ御覧になってください!


文学フリマ東京の一般チケットが本日18時から販売になります。
青音色メンバーはサコッシュを携えて場内をウロウロし、フォロワー様のブースなどを訪問しようと考えております。



青音色バッグ


「青音色」創刊号は、文学フリマ東京39、ウミネコ制作委員会様のブース【さ-39&40】にてお求めいただけます。青音色一同、皆様のご来訪を心よりお待ち申し上げております。

お会い出来るのを楽しみにしております!


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