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乗り物酔いをする子どものこと②
乗り物酔いをする子、①とは別の子のお話です。
これもあくまで私が見えたり感じたりしていることで、同じ症状だから同じことが原因ということはありません。
今回の子の名前は、かなちゃんとしましょう。
かなちゃんは小学3年生の女の子です。
乗り物酔いの他、食べたら吐き気、食べなくても吐き気、それによる腹痛と爪噛みの症状があります。
3才上にお兄ちゃんがいて、お兄ちゃんにも乗り物酔いと喘息の症状があります。
この子もまた、お母さんの関わりが症状を作り出しているように思います。
かなちゃんのお母さんはとても心配性です。
学校や習い事で行事があると、何時から始まるのか、持ち物は何が必要なのかなどなど、こちらが思いつかないほどの心配をかかえ、お知らせが来るのが待てず、ママ友に聞いて回ったり、学校や習い事に事前に問い合わせたりします。
子どもがトラブルを抱えて帰ってくると、子どもの言うことを客観視したり、待ったりすることなく、すぐに問い合わせたり、相手の親に直接連絡をするなどして、お母さんの力で解決させようとします。
とにかくなんでも心配なので、たくさんのところから情報を集めます。そしてその情報が正しいかどうか判断することなく、妄想を広げているように見えます。
学校でバス遠足があると、バス酔いが心配なので、自家用車を出し、送迎します。
また、見栄を張るのか、体裁を保ちたいのか、嘘をついたり、子どもにも嘘をつかせたりします。
この親子は、人生の1番最初に大事な愛着関係を育むところから、次に進めていないのです。
赤ちゃんがお母さん(お父さんでも誰でも構いませんが、ここはお母さんとしておきます)と愛着関係を築いたあと、成長するにつれて、お母さんと自分だけの世界だったところから、少しずつ外の世界へと広げて行きます。
たまに後ろを振り返りながら、外の世界を広げていきます。お母さんさえいれば良かったのが、お友達ができて、お母さん以外の信頼できる大人の存在を知って、その人数がどんどん増えていく。それが成長過程で必要なことだと思います。
外の世界は必ずしもいつも平和ではありません。トラブルもあれば、信頼していた人に裏切られることもあります。でも実は思い違いだったり、その世界に存在する自分が感じるままに対処することによって、乗り越えたあとはより居心地の良い自分の居場所が広がります。
そうやって、自分自身も成長していき、自信がつき、相手を信用できるようになり、たくさんの人と信頼関係を結んでいけるようになるのです。
ですがこのお母さんは心配性なので、この子が広げようとする世界に入り込み、起こりうるトラブルに先回りして対処します。
"転ばぬ先の杖"状態です。
なので、この子はいつまでもお母さん以外の人との信頼関係を築いていけないのです。
子ども同士のトラブルも、とても些細なことも親の力で対処するので、自分で解決する力がなく、相手の気持ちによりそうことを知りません。空気が読めない子になり、更にトラブルを作るようになります。
かなちゃんもまた、人生のハンドルをお母さんに握られているのです。
ただ、かなちゃんの場合は人生のハンドルを握られていることが乗り物酔いの一番の原因になっている訳ではありません。
お母さんが頻繁に心配し、不安になり、子のトラブルにいちいち反応する。そのお母さんのオーラの変化に対応しているうちに、自分のエネルギーが枯渇し、エネルギーを作ることに対応した胃が疲れ切ってしまっているから起こっていると思います。
胃が活動できない状況になっているのです。だから食べ物の消化活動も弱いから、胃を動かすとお腹も痛くなります。
そして、自分のエネルギーが枯渇しているので、爪を噛みます。オーラに近い身体の端っこに刺激を与えているのです。
ライターの火をつけるようにパチン、パチンと刺激を与えています。
肉体を持った私たちは、食べないと生きていけません。かなちゃんは食べることにも支障が出ているので、①で書いたあいちゃんより、このかなちゃんの方が状態は良くないと感じています。
そして、本来の状態に戻すのにもかなりの時間を要すると思います。
トラブルや嫌なことを"悪いこと"と捉えているのは私たち個人の感情にすぎません。
トラブルや嫌なことは、次に行くステップです。
大きく変わると書いて、大変という字になります。
子どもは親の所有物ではありませんし、いつまでも近くで助けてあげられません。確かに産んだけど、お腹の中にいたけど、子どもは別人格の人間です。きちんと手放しましょう。
そして親がやるべきことは、親は親の人生を楽しみ、穏やかに過ごす。
家庭のオーラを安定させて過ごすことです。
初めは父と母で、そして子ども達で、みんなで家庭の空気を穏やかに保つ。
お母さんが怒ってても、子どもが泣いていても良いんです。それ以外の人たちがのほほんとその人たちを見守ることができる空間。
そんな空間が家庭の中であれば、子どもは外の世界で何があっても、自分の力で戦って帰ってこれます。どうにもダメなら話してくれるでしょう。そしたら抱きしめられるなら抱きしめてあげましょう。その心に共感してあげましょう。なんなら、親子で文句を言いましょう。でも、ここだけね。と言って。それだけで充分だと思います。