栄養指導と体重コントロール
プラダーウィリー症候群の症状で、ずっと悩ましいのが食べることだ。
息子は生まれてから約1年、鼻から胃にチューブを入れての経管栄養をしていた。
生後6カ月が過ぎてから、少しずつ口から食べられるようになり、1歳になる少し前に、チューブを外すことができた。
当時、役所の人から保育園の入園は経管栄養している間は難しい、と言われたことを思い出す。
経管栄養を経験して口から食べられるようになった喜びも、つかの間だった。
その後は、筋肉が少なく太りやすい体質にもかかわらず、無限の食欲が出てくる(満腹中枢が働きにくい)と言われて、病院での栄養指導(カロリー制限)が始まった。
消化器内分泌科の受診時は毎回、栄養指導もセットだった。
栄養指導では、「これだけしか食べてはいけないの?」という少量の食事を毎回提示された。
息子がたくさん歩いてどれだけ運動しても、「もっと低いカロリーの食事を」と指導された。
頭では病気のことを理解しているつもりでも、「食べさせすぎだ」と言われ続けると、もう病気のことを考えること自体が嫌になっていた(逃げだしたくなっていた)。
そして6歳のとき、栄養指導を受けるのをやめたいと主治医に伝えた。
栄養指導は私にとって、プレッシャーだった。
栄養指導をやめても、毎日の食事は続く。
体重コントロールはもちろん、カロリー制限も続いていく。
食べすぎなら、たくさん歩こう。
そう心に決めて、平日は夜、休日は日中に、息子と一緒に歩いた。
保育園時代や小学校低学年くらいまでは、休日は10kmを目標に歩いていた。
食事のことを考えるのがしんどくても、外で歩くと気分が晴れた。
まあ、いいかと思えた。
だから病気に向き合うために、歩き続けたのだと思う。
息子は今でも時々、「たくさん食べちゃったから、歩かなくちゃ」と言う。
きっと、私の口グセがうつってしまったのだろう。
息子の毎朝の日課は、体重をはかること。
今朝の体重は、41.3kg(息子がノートに書いている)。
身長は、153.2㎝(9/29 病院での計測)。
最近は体重が安定していて、変動が少ない。
以前はちょっと食べすぎだったかなと思った翌朝は、ドンと体重が跳ね上がり、そのたびに落ちこんでいた(私が)。
成長ホルモン治療(注射)の影響もあるだろうが、それ以上に男性ホルモンが出ていることでの影響が大きいようだ。
体の中で働く、目には見えないホルモンの働きが大きいことに、驚く。
今は主治医から、体重のことで何か言われることはほとんどない。
それでも、もし病院での栄養指導は必要かどうかを問われれば、必要だと答えるだろう。
ただ、これだけしか食べてはいけないという話しだけでなく、運動量なども考慮してもらえたら有難いと思う。
「食べたい」と強く願う子どもに、食べさせられない(応えられない)親の気持ちにもう少し寄り添ってもらえたら、もっと学びたいと思ったかもしれない。
それでも今、息子の体重が安定しているのは、栄養指導のおかげだと思う。
病院で教えてもらったことが、活きている。
あの辛かった時間も必要だったと思える。
食べることは生きることだ。
そして息子にとっては、何よりも好きなことである。
生きがいといってもいい。
だからこそ、息子が少しでも満たされる食事の方法を考え続けていく。
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