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(染色4)かわな更紗一号が完成、モデルはテリーさん

蒸すことで問題が一つ解決
まだまだ上手くいかないものの
一旦、この顔から離れよう

モチーフとしての顔

学生の頃から顔には思い入れがある
メイクにも興味があったが、自分の化粧というより、顔が好きなんだと
小さい頃からキュビズムに興味を持っていたのも立体の捉え方という本来の話ではなく、単純にピカソが描く顔が好きだった

モデルのテリーさんのこと

今回の顔にはモデルが実在する
石材補修の職人時代からの恩人で、その名はテリーさんという
テリーさんは不思議な人で、優しい顔と怖い顔を合わせ持っている
職人時代のテリーさんとの関係は、私が石材の現場仕上げを担当していて、その仕事はテリーさんの検査を通る必要があった

仕事に厳しい一面を持っているテリーさんなので、検査が始まると空気が凍るのだ
石は天然素材だから、融通が効かないことがあるが、それが天然素材ゆえか、ただの言い訳か
あの怖い顔で、おまえ嘘言ってねえよなと言われた訳ではないけれど、顔に書いてあった

ものづくりには、見極めが必要だ
理想を追求し続けるべきか、深追いせず今そこにある美しさを守るべきか
仕上げを任される職人としては、どんなに強面な人からの要求だとしても、深追いになる時は手を止めることが大切だ

って、テリーさんはそんなに強面ではないし、職人の私の言葉を受け止めてくれる懐の深さがあるのだ
補修職人は、末端の職種なので使い捨てになりやすいが、テリーさんの仕事で使い捨てではない職人になれたことは幸せなことだった

そんなテリーさんが、今年の2月、Facebookで抗がん剤を使用すると発信したのだ

顔で更紗

何かできないかなぁと思っているうちに、テリーさんの顔がいっぱい並んだ更紗が染められたら面白そうなどとバチ当たりな妄想から始まった

消しゴムで作ったテリーさんの顔

消しゴムハンコなんて作ったこともないのに、消しゴムでテリーさんの顔ハンコを作って、のり防染できたらと考えるも、防染だけでは顔が不明瞭過ぎて話にならない
というか、防染だけで細かい部分を表現するなら型染めの世界で、ブロックプリントではない

様々なインド更紗の本を仕入れて、頭のチャンネルをインドに合わせているうちに
こんな柄が出来上がった

白地は、のり防染で顔のハンコは布用のスタンプを使用
市販のスタンプは顔料で着色する仕組み

染料で顔を染める方法がわからず、とりあえずスタンプでイメージを作成した
顔料のスタンプだと明瞭過ぎるのだ
そして理屈抜きで、染料で染めたい 
恩人の顔だけど、ちょっと潰れた感じが欲しかった

この時点で煮詰まった
学生時代に教えてもらったブロックプリントは蝋を使った防染(ろうけつ染めを手描きではなく木のハンコでブロックプリント)だったり、型のりに染料を入れる捺染の技法だったり(ダンボールで型を作る方法で細かい柄は表現できない)と、消しゴムハンコには使えそうにない

そんな煮詰まった時期に染料屋さんの浸染用防染糊の講習会があり、相談したら、いくつかアドバイスをいただいた
要は、染料にとろみをつけるのだ
この部分は未だ改善が必要なので今回はこれ以上書かないけれど、まあまあかな

実は、ここからが(染色3)高温で溶けない浸染用防染糊につながっている
蒸したくないと言いつつ蒸しもして出来た手拭いがこれ

かわな更紗一号


記念すべき、かわな更紗一号はモデルのテリーさんにプレゼント。テリーさん喜んでくれるかな…

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