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(染色8)どうして地色は最後に染めるんだろう〜染色技法編、伏せのタイミングについて〜

染色の手順で、地色は最後に染めるもの
そう頭ごなしに教わった
いや、刷り込まれた

ブロックプリントというか、地色を防染で浸染って考えた今回、浸染用防染糊で伏せ(防染)することで柄の染料を吸ってしまう現象と白場汚染の問題を解決すべく、先に地色を染めてみた
なんか罪悪感すら感じる

浸染用防染糊をハンコで押して
シリアス染料で浸染
その後に柄をハンコで押して蒸した

そもそも、どうして地色は最後に染めるのか
考察してみよう

手描き友禅の場合、想像の部分が多いけれど
柄描きの着色が顔料だったら定着のための蒸しが不要(混ぜるものなどで蒸すかも)
ざっくりな手順として

柄描き→伏せ(柄の部分に糊や蝋などを使って防染)→地色を染める

顔料が化学系であれば、伏せをしなくても地色を染料で染めることが可能な時もあるはず

この流れが成立する
途中で蒸したり水洗いしたりしないので工程として無駄がない

仮に、柄描きに染料を使用した場合は、定着のために蒸して、水洗い無しで伏せる
蒸しの工程が入っても途中の水洗いがなければ、工程が増えても負担が少ない

ここまでの手順は、私の妄想なので、実際は違うことは十分考えられるが、流れはこんな感じで地色は最後に染めることが多いはず

手順だけを考えると、最後に地色を染めるのが水洗いが途中に入らず楽なのだ

かわな更紗一号ができるまで、試行錯誤して
意を決して伏せの後に柄置きにしたけれど、なんか、なんだか、とにかくモゾモゾするのだ
そもそも柄置きの前だから伏せてることにはならないか

柄置き後乾燥のみで伏せて浸染して白場が汚ない失敗作や蒸してから伏せてもやっぱりボケた失敗作たち

実物はもっとボケてて白場もなんか微妙
柄置き後にいわゆる料理用の蒸し器で蒸した
置き方が悪く、にじみが出ている
伏せて浸染ボケボケ
ではあるものの、白場はキレイだった?
ボケてるのに気を取られていたのか…

ボケてるけれど、一枚の布としての一体感がある
もしかして、最後に地色を染める理由は

 一体感?


実験してみる
失敗作たちの柄置きは黒の染料を使用している
うろ覚えだが黒ってなんかクセがあるって教わっていたような記憶があり、色を変えてみよう

柄置きして上から①蒸しなし②蒸して水洗いなし
③蒸して水洗いし酢酸で定着

この時点では、ほとんど変わらないが、②だけマゼンダが少し抜けている感じ
この後、浸染用防染糊で伏せて浸染

あれれ、①蒸しなしがボケてるのは予想通りだけど、②と③が差がない?
①は白場汚染もしているが、②はこのサイズでは目立たないのか問題なさそう

作品サイズでやってみないと結論は出ないけれど、ひょっとすると蒸すだけで伏せができるのかも

左が蒸しだけ後伏せて浸染
右は浸染後に柄置きした上の布

ボケているというより、褪せている
でも、白場は守られている
一体感っていうほどの違いはわからない

最後の浸染を、ちょっと酔っ払いながら染めていて、気掛かりがあった
染めた後の湯洗いの温度が高かった
湯洗いは白場を守るために防染糊が効いたまま余分な染料を落とす工程だと勝手に解釈しているが、どうやらココがポイントのような気がする

湯洗いで抜けていくのは余分な染料だけでもないような
染めの温度より湯洗いが高いと染料が抜けやすいように感じていて、白場防染がどの程度必要かにもよるが、温度の低い湯洗いが求められているような
もしくは、白場防染の薬品を使っての水洗いで湯洗いを省略しても良いのかも

なんとなく湯洗いが鍵と理解しつつ
手順以外で地色を最後に染める意味はわからないまま
というよりも、どう染め上げたいかで
地色を先に染めても良いよと
今の私は結論を出した

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