見出し画像

【01】理解されなかった頃

 vol.021未公開インタビュー、まずは小谷さんの未公開分前半です。
こちらでは小谷さんの学校生活や就職活動時期のこと、まだ障害に気づくかなり前の出来事を語っていただいています。
 周囲から理解されず、本人もその理由がわからなかった時期。まだ発達障害の概念がなく、「普通にしなさい」という考え方が一般的だった時代ですから、かなり辛い経験をされたのだろうと思います。「こういう経験をする人が増えて欲しくない」という思いで取材を受けてくださった小谷さん。本紙では公開できませんでしたが、こちらでお伝えできればと思い別冊公開いたします。
 そしてこちらでは小谷さんインタビューの冒頭を映像収録したものをご紹介します。映像を見ていただくと、小谷さんがどんな方かよりイメージが湧くのではないでしょうか。


g:学校生活において成績は問題なく上位だった一方、いじめなどの辛い部分もある中で、周囲の大人たちとはどう関わっていたのかをもう少し詳しく伺えますか?

小谷:小学校の5、6年の時の女性の教師が、気分が変わりやすくて。その頃私忘れ物が多くて、それは必ず報告しなさいということで。それを言うと罰を与えられるんですけども、その加え方が「これだったらこう」という風にきちっと一貫してたらなんともないんですよ。でもその時の気分で、機嫌の悪い時は廊下には出されるわ罵詈雑言は平気で浴びせるわで。あれはもう本当に心壊れるんじゃないか、というぐらいまでやられました。

g:それは同じ忘れ物なのに、対応が一貫していないと。 厳しい先生だったんですか?

小谷:いや、そういうわけではなくて。人によって贔屓するようなところもあり、私を毛嫌いしているんじゃないか、って感じていましたね。何人かで何か不始末をした時に、他の人は叩かれるのが1回だけで、私は10回以上も打たれたりしたこともありました。

g:自分だけ違う対応をされていた、と感じているんですね。それはご両親に相談したりされましたか?

小谷:まあ、そう感じていましたね。私の父親と母親は夫婦喧嘩が耐えなかったんですよ。そういうのもあって、私は長男なので散々な言われようで。妹がいるんですけど、喧嘩したら妹が仕掛けてきた時でも長男であることにより私の方に言われるわけですよ。全く理不尽でしかない、と言うしかないわけなんですよ。母と妹は話が合うんで、それ故に私のことはというと「 もうそんなこと知るか」という状態だったんですよね。今はそういうことはないんですが、当時は。

g:小谷さんの診断について、ご両親はどういう受け止めをされているんでしょうか?

小谷:伝えた直後は「こういうのがあるんだな」という風に言ってましたが、反応は薄いかな、っていう感じですね。理解してる感じはあんまりないですね。両親とも今も変わらないのは、とにかく否定から入ることなんですよ。学校の成績を見た時に必ず 悪い所を言うんです。できなかった所ばかり。別にね、できない所を言うなとは言わないんですよ。 でも、できる所を褒めていってはどうか、ということなんですよ。

g:褒めてもらった覚えはあまりないと。

小谷:ないんですよ。おそらくできて当たり前、やればできるという考えなんでしょう。できない方がおかしいと、そういう考えなんですよ。


■「gente」の発行を、皆様の力で支えてください。
さまざまな障害について知る機会を、誰にでも読んでもらえるフリーペーパーで継続発信することに大きな意味があります。多くの人に、今はまだ無関心な人にも社会にあるさまざまな障害について知ってもらうため「gente」の発行を応援してください。
ご支援は下記より任意の金額で行うことができます。

■「gente」定期便とバックナンバー
「gente」のバックナンバーをお取り寄せいただけます。
詳しくは下記HPをご覧ください。



g:お話を伺っていると、かなり辛かったんじゃないかなと思うんですが、その状況に慣れるしかなかったんですかね。もう仕方ないな、という感じだったんですか。

小谷:まあ結構辛かったですけど、半ばそういった感じですね。

g:成績は良いのにコミュニケーションでつまづくとなると、就職活動にも影響があったのではないですか?

小谷:実は大学4年間行った後、成績良かったので大学院の修士課程に行ったんです。その前年でバブルが崩壊して、初期の就職氷河期にぶち当たってしまったんですよ。それで担当教授から「大学院行ったらどうだい」って話になって、それで追加で2年、修士課程に行ったんですよ。ところが状況は悪くなるばかりで。やっぱりね、それまでコミュニケーションがうまく取れなかったのが、就職活動にもう大きな悪影響として降りかかってきたんですよ。なかなか決まらないわけです。

g:やはり面接で苦労されたんですね。

小谷:手応えは感じられなかったですね。どうにか決めることはできましたけど、正直言ってもう何がなんでも入れる所に行かないと、いつまでたっても決まらないという状況でしたね。 親からも「より好みしないでとにかく就職決めなさい」と、本当に何回も言われたぐらいなんですよ。


今回はここまで。
コミュニケーションの苦手意識は常にあって、自分としては一生懸命相手の言っていることに応えているつもりでも、どうしても相手の反応が良くない、ズレを感じる状況がずっと続いていた小谷さん。そういう中で、周囲の大人が自分を理解しようとしてくれなかったのはかなり辛い状況だったと想像できます。次回は就職後と診断に至るまでのお話をお届けします。ご期待ください。

 vol.021を読んでいない方、読んで見たいなって方はこちらからお取り寄せできます。ぜひ本紙「gente vol.021」とあわせてご覧ください。

■「gente」定期便とバックナンバー

以上、簡単ですがフリーペーパー「gente」についてのご説明でした。
ぜひお近くの配架先かお取り寄せを利用して「gente」を読んでから、こちらの「note」を読んでいただけたらうれしいです。

 vol.021の読後感想などはこちらの掲示板に投稿いただくか、直接編集部まで下記フォーム、またはメールで送っていただければ、今後の励みとなりますのでぜひよろしくお願いします。

【ご感想投稿フォーム】
https://www.gentepaper.org/ご感想-お問い合わせ/

ここから先は

0字

この記事は現在販売されていません

この記事が参加している募集

gente編集部へのサポートをお願いいたします。サポートは「gente」の発行費用および編集部の活動費用として活用させていただきます。