【epi-01】vol.020を通して考える、「障害者採用って特別ですか?」

 今回から編集後記を3回にわけてお届けします。
(※当初は2回の予定だったけど、書いていたら思いの外、長くなりました)
今回の編集後記ではvol.020の制作経緯を振り返りつつ、取材編集の中で感じた障害者採用について思うことを綴っていきたいと思います。

 この編集後記をnoteで公開し始めたvol.019以前は、別冊は紙媒体で発行し購読者向けに発送していました。その頃からの読者さんはすでにご承知かと思いますが、genteには「取材対象者の決まる波」のようなものがあるんです。決まる時にはポンポンと立て続けに決まり、取材する順番に悩んだりする場合もあるのですが、全然決まらない、対象者が見つからない時期というのがあって。このvol.020がまさにそういうタイミングの号でした。


【波が途切れて】

 vol.016〜vol.019までは取材対象者が立て続けに決まって「あ、これでしばらくはやきもきせずに済むな」とのんびり構えていたのですが、vol.018号の制作期間あたりから「あれ、この先全然アテがないぞ、まずいな」と焦りはじめた頃に思い出したのが、以前にいただいていたとある広報会社からのメールでした。

 実は以前にも、同じように取材対象者のアテがなく困っていた時期がありました。そこへある広報会社から連絡があり、「こういう人を取材してみませんか」との紹介で取材に至ったのがvol.015(2022年3月発行)です。その後しばらくして、再度その広報会社から別の取材依頼連絡があったのですが、その頃にはすでに一年先まで取材対象が決まっていたので「今は一年先まで決まっています」と返信をしたままになっていて。で、それをこのタイミングで「あれってまだアリなのかな」と思い出した、というわけです。結構間が空いてしまっていたので、どうかなと思いつつ連絡をしてみたところ話が進み決まったのが、今回取材を受けてくださった在宅支援総合ケアーサービスさんでした。

 「ん?」と思った人、正しいです。そう、今回はまず取材対象の会社が決まって、取材する人はそれから決めたんです。このパターンは今までgenteではなかった形でした。
 genteはインタビュー紙なので、インタビューを受けてくれる個人が決まらないのに取材対象企業を決めてしまうのは、genteとしては「無しな進め方」でした。が、2022年度に東京都中央区の社会貢献事業として実施した「わたしと職場と」はまさにこの形だったんですよね。就業先での人との関わり、雇用や仕事について取材し紙面を作る「わたしと職場と」で展開した手法には手応えを得ていたので「あのやり方ならいけるかな」と先に企業を取材先として決め、それから「誰を取材するか」について話を進めることにしたんです。


「わたしと職場と/1人め1か所目 株式会社い和多」


「わたしと職場と/2人め2か所目 アクセンチュア株式会社」

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【成功事例の予感】

 さっそくどんな人が働いているのか、まずは担当の方に伺ってみることに。そこで何人かのお名前が候補としてあがったのですが、ほとんど迷うことなく「この人がいいな」と思ったのが中川さんでした。決め手となったのは障害種別だとかそういうことではなく、中川さんはきっと会社から高く評価されているんだろうな、と担当の方の話ぶりから想像できたからです。

 障害者採用については、まだまだ二の足を踏んでいる企業が多いのだろうと思っています。「わたしと職場と」に取り組んだのもそういう理由からですが、やはり必要なのは成功事例を知ることなんじゃないかなと思うんですよね。
 奇しくも先にnoteで公開した、依田代表の未公開インタビューの中でも同じような話がありましたが、障害者採用に実績のない企業は「障害者と一緒に働くために必要な配慮がわからない」など、そういった懸念がまず先にあるのだろうと思います。ですが結局それは障害種別であったり、もっと言えば個人個人で違うので。その「準備ができないから採用できない」という話だと、いつまでたっても取り組みを進められなくなってしまうと思うんです。だったらまずはすでに障害者採用で結果を出している(=職場に欠かせない人材として活用できている)企業が、なぜそうできているのかを知った方が断然参考になる。結果そういうアプローチで発行した「わたしと職場と」は、2号とも内容の充実したものになりましたし、今回のvol.020でもきっと良い事例紹介となるだろうな、と感じられたのが中川さんだったんです。とはいえ、その時点でまだ会ってもいなかった中川さんを取材するのに、心配や不安がまったくなかったわけではありませんでした。


今回はここまで。
次回は6月下旬〜7月上旬の更新予定です。

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