クリエイターが「ボランティアしてくれる人」から抜け出すには
今回のテーマは、人がよいクリエイターが陥りがちな「ボランティアしてくれる人」について。
知人や友人を助けたいという気持ちから、つい無料や格安でスキルを提供してしまい、そこから抜け出せなくなった経験はありませんか。そのときどうすればいいのか、多くのクリエイターのブランディングを手がけるさとみが、もみじと語ります。
言語化可視化ラボは、デザイナー岩崎さとみとライター本田もみじの「ブランディングとマーケティングの研究所」。クリエイターメンバーと一緒に、日々ブランディングとマーケティングの研究を行っています。
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好きなことで稼ぐのは難しい
もみじ:
社会貢献や人助けにやりがいを感じるクリエイターは、いろいろな経験やスキルがあるからこそ、つい「ボランティア」をしてしまいがちです。最初は少しだけだからと快く受けていたことでも、お願いされていくうちにお金の話をしづらくなってしまう人も多くいますよね。
さとみさんの周りにもいませんか?
さとみ:
いますよ。私のブランディングセミナーでも、課題としてよく上がる話です。抜け出せない人は、スキルや人手が足りないところを助けたいと考えています。しかし本来、自分がお金をいただくべきところをそうしていないのですから、正直たくさん稼ぐことは難しいです。
もみじ:
「やりたいこと」と「できること」は異なります。報酬の高い仕事や、稼げるジャンルにチャレンジせずに「お金がもらえない」と愚痴をいうのは違いますよね。それは極論、自分のエゴです。好きなことで稼ぐのは、考えているよりもとても難しいことではないでしょうか。
さとみさんは、好きなことを仕事にする人のためのブランディングをビジネスにしていますよね。
さとみ:
はい。難しい課題だからこそ価値を感じていて、私自身もどうすればいいか勉強を続けています。
ご自身の「お金になる部分」に価値を感じていない人もいるんです。そのとき、生きていくためにどこから収入を得るかを設計しないといけないですよね。それは、やりたいことで稼ぐより困難かもしれません。
もみじ:
さとみさんはその難しい部分に向き合っていて、本当にすごいことしてるなと感じています。
我慢して成り立つ関係を整理する
さとみ:
ボランティアをしている方も、価値を感じてるからその案件にかかわっていることは理解できます。しかしお金にならないと不満に感じている時点で、今の関係性を整理したい、改善したいと考えているんですよね。
もみじ:
そうそう、心のモヤモヤがひとつの判断基準です。どんなに周りからボランティアはよくないよと言われても、「自分が納得できていればよい」と
いう面もありますし。ただ、やはり不満に感じている時点で対等な関係ではないのではないでしょうか。
さとみ:
そもそも、ボランティア認定されてしまっている人は、本人がそうしたいんだと周りから誤解されているケースがほとんどです。相手には悪気がないのです。ですから、ボランティアと仕事の線引きを自分できちんと示すと、意外とすんなり理解してもらえます。
そうではなく、「利用してやれ」という相手ならば、さっさと手を引くべきですね。
もみじ:
その通りですね!
さとみ:
確かにお金の話はしにくいです。しかしその人と今後も関係を続けていきたいのかを考えるいい機会でもあります。これ以上は料金がかかりますと伝え、自分を大切にしてくれる人と仕事をしていきましょう。
もみじ:
お金がかかることを理解してもらえれば、気持ちよくスキルを提供できますね。
料金表を示して価値を認めてもらう
さとみ:
ボランティアから抜け出すためには、現状の商品メニューを見直すことも大切です。お金になってない理由の1つに、スキルの費用感が伝わってない問題があります。
「普段は1時間○○円で仕事をしていますが、今回はボランティアです」という前提を示して対話しないと、ボランティアから抜けられません。きちんと理解されていれば、本当はこんなに高い人なのにボランティアしてくれてるんだ・・・と逆に感謝してくれますよ。
もみじ:
自分の生活やキャリアアップのためにも料金表は大切です。しっかりと自分の価値を提供し、その結果としての報酬をいただくのがいいと思います。
さとみ:
料金表を出していないと、お客さまも発注しにくいものです。高級料理店で時価と書かれた料理が怖くて注文できないのと同じです。
商品メニューをオフィシャルに出していない方や、毎回カスタマイズして見積もりを出すことが多い方は、メイン商品の値段を出しておきましょう。手間がかかる場合は、理由を説明すればプラス料金が生じても納得してもらえますよ。
もみじ:
報酬は自分がした仕事に対する正当なフィードバックだと考え、臆せずきちんといただきましょう。
そのうえで、納得して仕事ができるといいですね。現在はお金がすべてという時代ではありません。場合によっては私財を投げ打ってでも助けたいときがあるかもしれません。そんな時は心のおもむくままにやったらいいんですよ。
仕事とボランティアをしっかり線引きすることで、相手との関係も保ち、やりがいも得られるようになりたいですね!
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