【大分】地震の時、何してた? ウェブアンケート調査を実施
1月22日午前1時8分ごろ、日向灘を震源とする地震が発生し、大分県内では大分、佐伯、竹田の3市で震度5強を観測した。揺れの大きさから南海トラフ地震を思い浮かべた人も少なくないだろう。大分県によれば、大分市と佐伯市で計6人が重軽傷を負った。また、建物や道路、ライフライン等の被害も発生。大分市の大分港西大分地区では液状化とみられる被害が確認された。
■日向灘でM7・0級地震が繰り返し発生 地震本部
政府の地震本部によれば、日向灘ではマグニチュード(M)7・0程度の地震が繰り返し発生しているという。実際に1662年10月にはM7・6の地震が発生し、津波被害をもたらした。さらに1968年4月にも M7・5の地震が発生している。
気象庁は、40年以内の発生確率が「90%程度」となっている南海トラフ地震の想定震源域内で地震が発生したものの、南海トラフ地震との関係を調査するマグニチュードの基準未満の地震として捉えている。
だが、南海トラフ地震の発生が近づいていることに間違いはない。その被害を低減させるために、私たちは今回の地震によって得た「経験」を「教訓」に変える必要がある。
そこで地震発生時を改めて振り返り、次の地震までに対策しなければならないことを考えるため、地震が日常のふとした瞬間に発生するものであることを改めて確かめるためという2つの目的でアンケート調査を実施した。地震発生時にどこで何をしていたかを中心に問うた。
アンケートは「Googleフォーム」を使用し、会員制交流サイト(SNS)を通して回答を募った。地震発生2日後の24日から31日まで実施し、全国の10代から70代までの男女計54人が回答した。回答者の居住地は83・3%(45人)が大分県で、そのほかに岐阜県、兵庫県、広島県、高知県、宮崎県からの回答もあった。
■地震発生時、何をしていたか 「寝ていた」「寝ようとしていた」が5割
「地震発生時に何をしていたか」との質問に対し、約5割の26人が「寝ていた」または「寝ようとしていた」と回答した。深夜の地震であったことが起因していると言える。前日が金曜日だったこともあり、「YouTubeを見ていた」、「ゲームをしていた」等の娯楽を楽しんでいた人は約2割の12人であった。そのほかに「お風呂に入っていた」、「ストレッチをしていた」、「タバコを吸っていた」、「レポート課題をしていた」、「事務作業をしていた」等の回答が得られた。
このように地震発生が深夜だったにもかかわらず、就寝していた人だけでなく、食事、娯楽等を楽しんでいた人も多く、多様な当時の状況がうかがえる。もしも昼間に地震が発生していた場合、さらに多様な状況で被災していただろう。みなさんは地震が発生した時、どこで何をしていましたか。まずはその時を振り返り、家族や友人に話してみましょう。【山口泰輝】
■災害はごくふつうの日常の中で訪れる
調査の結果、地震発生時の状況は十人十色で、災害がごくふつうの日常の中で突然訪れるものであることが証明できた。今回のように南海トラフ地震も突然訪れる。自分だけではなく、大切な人やものを守るために、日頃から自然災害への備えは怠ってはいけない。
ではどんな備えが必要なのだろう。今回の調査では「地震対策として取り組んでおいてよかったことは何か」という質問もした。全回答者のうち28人から回答があった。約5割の13人が「家具の固定」や「背の高い家具を置かない」等の家具の固定や配置に関する対策をしていた。また、約2割の5人は「非常食の備蓄」や「避難リュックの準備」等の被災後に生き延びるための準備を事前に行っていた。そのほかにも「風呂に水を溜めておく」や「車のガソリンを満タンにしておく」、「地震後の対応を家族・親戚間で共有しておく」といった回答が得られた。
地震はいつかやってくる。しかし、いつやってくるかは誰も分からない。だから日頃から備えなければならない。今回の地震の「経験」を共有し、次の地震の時「教訓」として活かしてほしい。
※この記事は、2月22日 発行の「GENSAI PRESS 1号」に掲載されています。以下の紙面は、ダウンロードできます。