会社における情報共有の難易度が上がったので、社内ラジオを始めました
こんにちは。コーポレートデザイン室の大谷です。普段は人事をしておりますが、会社の色々なところに首を突っ込むなんでも屋です。
社内における取り組みを発信していきたいということで、この度、筆を取ることにしました。新たに始めた社内ラジオの取り組みについてお話ししたいと思います。
SUPER STUDIO社の文化って?
せっかくなので、様々な取り組みを行う上で大切にしている弊社の文化について触れておこうと思います。コーポレートサイトなんかでは、CHANGE / INSIGHT / HONESTY という、会社として(評価制度にも組み込まれているほど!)重要視している価値観が掲出されています。
この価値観に下支えされ形成された “文化” が、すべて他社と比べてとても特異なものかというと、そうではないと思っています。例えば、次のようなことはどの会社でも共通して大事なことかなと。
・作る側の論理はどうでも良い、使う側の満足度が高くあるべき
・いくらクールにいたくても、社内外問わずハキハキと挨拶するべき
・主観ではなく、まずはファクトで議論しよう
しかし弊社の場合、「かっこいい」の定義が若干他社と変わっている部分もあるのかな、と感じます。例えばこんな考え方です。
・世に出すアウトプットはすべて美しくデザインされたものでありたいよね(スピードとのトレードオフがあり得る)
・声が大きいよりは、静かに大きなことをしているほうがイケてるよね(露出が減る)
全てはバランスだと分かっていつつも、これらを意識しているだけで情報発信のハードルが自然と上がっていき、長期的にみると、会社を支えてくれる仲間と出会える機会が減っていってしまうのでは?と感じるようになりました。今はおかげさまでジョインしてくれる仲間が増え、先月の入社挨拶は13人(※強制リモートワークで挨拶が遅れた方含む)と、少々驚く規模になってきました。しかし今後も拡大し続けるとなると、情報発信の活性化は重要性が高いです。
そこで少しずつでも、「同僚がコンテンツを発信しているから自分もやってみよう」と思ってもらえるよう、(この note もそうですが)まずは社内向けに、枯れた声がコンプレックスの私が恥を忍んでやることにしたのが、社内ラジオです。
やろうと思ったきっかけ
上記でも少し触れましたが、情報発信のハードルを下げることは確かに目的のひとつですが、きっかけは他にもあります。
まず、社内での情報共有の難易度が飛躍的に上がったこと。〜30人規模の組織だった頃は、目先の業務や小さな会議体を通して、会社の考え方や戦略意図について、意識せずとも比較的簡単に伝達することが出来ていたところから、規模の拡大に連れて指数関数的に共有が難しくなりました。それは、組織階層が出来たことで決定事項の背景が伝わらなかったり、普段コミュニケーションを取っていないメンバーが何を知りたいのか。何が分からないのか。これがそもそも分からないといった部分など、複合的要素が起因しているように思えます。
ある日、役員室で何気なく大事な(「そもそもD2Cって何だと思う?」「Webエンジニアのキャリア、どう描く?」のような)会話をしていたときに、COOの花岡が「こういう話をメンバーにするべきじゃない?」と言っていまして、まさにその通り、決定に至るプロセスを公開したほうが良いことは分かっていましたが、どのように発信すれば良いのか考えているうち、会社の成長にあわせて次から次へと課題が出てくるので、対策を打てないまま時ばかりが過ぎていました。
そして追い打ちをかけたのが新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言です。リモートワークが強制化されることで、コミュニケーションが減ることは明白でした。食事の席やフリースペースでの他愛のない会話も無くなり、こういった情報が遮断されること待ったなしの状況です。
しかし、明らかに時間がない。発信すべき情報を整理してコンテンツを生成し、レビューし、発信するほどの余力がない(当時は全社リモートワークの仕組みがなかったためその整備に追われていました)。
そういった様々な理由から、社内ラジオをやろうということになりました。
広報における考え方をチューニング
私が統括しているコーポレートデザイン室には、採用広報ユニットという部門があります(採用と広報は本来的にワンメッセージであるという考えのもと同一組織にしていますが、この話はまた別の機会に)。そこにはPRプランナー資格保持者も在籍しており、採用実務から広告コンテンツの制作、リリースの品質担保まで幅広く業務としていますが、一方で、唐突に走り出す&スピード感が最重要視されるような社内ラジオやこういう note といったコンテンツを、くまなくチェックしている時間がありません。
ましてや、フォーマットが音声。テキストと違って確認の精度も下がりますし、録りきった後に変更をかけてくれと言われても、私の心が折れるだけです。現実的な運用をするには、広報における考え方のチューニングが必要でした。具体的に行ったことは、
・確認権限者を1名に絞り、「1度だけ聞く」「明確なNG判定の場合だけ弾く」「激しくつまらない内容だったらNG」といった具合でルールを策定(「NG出されたら即座に受け入れていちいち議論しない」というのもポイント)
・言ってはいけないことリストを作成:「誰かを貶める」「情報漏えいに繋がる」「放送禁止用語のような汚い言葉遣い」など
たったこれくらいです。万が一ネガティブな事件等が発生した場合において、広報が無駄に責任を取らないで済むこともそうですし、一定のルールさえ遵守していれば、「遅いよりも早いほうが良いよね」が通用する。そして「そういう案件もある」という観点を採り入れることが出来た良いきっかけでした。
具体的にどんなことを話しているのか
基本的には社内アンケートでもらったレターに回答していますが、いくつかご紹介します。
「コロナによる影響として、うちは珍しく影響をうけていないどころか、むしろECというので追い風になる部分すらあるということは分かったのですが、市場がどうなっていくのか知りたいです」
「D2Cブランドが増えていくと同時に支援企業側も増えてきた印象です。D2Cと言えばSUPER STUDIO!という認知を向上させるために意識しておきたいことを教えてください。」
「サービスを作る上で重要なポイントって何ですか?市場調査など含めてどんな考え方で進めていくのか知りたいです」
「リモートの開始により自分自身と向き合うことが増え、「これは向いているな」「これは向いていないな」って感じることが増えた気がします。そこに向きあって、うまく生産性を上げていきたいなって思うのですが、大谷さんはどのように自己分析されてますでしょうか??なにかコツのようなものがあれば教えてほしいです」
最初は「1通も来なかったらどうしよう」と不安でしたが、今の週1本の配信ペースでは何ヵ月も先までかかってしまう量のレターが届いており、良い会社だなあ、としみじみ。
参考までに、1本だけ Youtube に社内ラジオをアップしてみましたので、興味あるという酔狂な方はこちらからお聞きください。
生産性を上げるための自己分析のコツ:https://www.youtube.com/watch?v=GazWdHrUqCA
基本的には上記のように3分程度ですが、ゲストを呼んだ回は「リアクション」や「掛け合い」といったものが発生し、テーマ粒度はほとんど変わらないのに20分ほどの大作になってしまいました。意外と質問が重複しないことも新たな発見です。
しかし、プロダクト作りや市場環境、社内制度など、質問の制限が無い分かなり幅が広く、私がもし人事でもなければ事業経験もなかったら、まるで答えることが出来なかったと思うと、この取り組みにおける最大のハードルは「話者選定」なのでは、と痛感しました。難しい場合は、テーマを絞るなど何かしらの対策が必要だと思います。
やってみて良かったこと
音声収録専用の機材は元々ありませんでしたが、弊社ではあらゆる研修やツールの使い方などを動画化していることもあって、動画撮影用の機材は揃っており、割と風変わりな機材で収録していると思います(マイクの性能がとにかく良い)が、スマートフォンとマイクさえあれば撮影できるので、コストはほとんどかかりません。
▲ 普段の撮影風景はこんな感じですが、お持ちのスマホに合うマイクをAmazonとかで購入するだけで十分だと思います。
実際に、「やるぞ!」と決めてから収録して編集を終えるまで、1時間もかからなかったと思います。私が動画(音声)編集のスキルを所持していることで初速はつきましたが、これは決して難しい仕事ではなく、フォーマットが固定化されてフローに慣れれば、誰でも1時間以内にコンテンツ1本以上は制作できるようになります。これは音声フォーマットの良いところですね。
そして、コミュニケーション。2年前には30人くらいだった弊社も、いまでは100人に迫る規模になっており、日々あまり会話しないといった方も増えてきています。しかしラジオを始めたことで、「こないだのラジオで言ってた hogehoge ってどういうことですか?」みたいな取っ掛かりで、会社に対する理解度向上に繋がるコミュニケーションが生まれるようになりました。
質問をトリガーにして、会社の考え方や背景を伝える機会が増え、戦略目標への納得感がより高まると良いな、と期待しています。
個人的に嬉しかったこと
社内ラジオの第1弾を配信したとき、1通の Slack メッセージが。採用広報チームの若手メンバーからでした。「社内からレターを受け付けるアンケートフォームを作成したので、これ全体に流して良いですか?」と。言い出しっぺの私がやるべきなんですが、後からで良いやと思っていたら、まさかこんな自発的に行動してくれるとは!しかもめちゃくちゃ忙しい時期に・・・と感謝の気持ちで一杯になりました。
そして2020年新卒入社のデザイナー氏が、「勉強のためにやらせてください」と、ロゴと社内周知用の画像を制作してくれました。
この取り組みを通して「良い会社だ!」とこんなに感じているのは、私の立場ならではだと思いますが、このようにセクションごとの垣根がなく、たくさんの仲間が協力的な弊社に、少しでも興味をもっていただけた方はぜひ!弊社の採用選考にご応募いただけたら嬉しいです!
次は何を書こうかな。