昼の光と日曜日
日曜日が好きだった。特に晴れていて空気の澄んだ日が好きだった。ハリのある透き通った昼間の光がリビングの窓を通って柔らかな温かみを持つ。そんな部屋で母親と2人で食べるカップ麺が大好きだった。
母が日清カップヌードルのシーフード。僕がポケモンのカップヌードル。なるとにピカチュウが印刷されていて可愛かったのを覚えている。それを食べながら2人でアニマックスを見ていた。日曜日のお昼は映画や特番をやっていることが多く、『時をかける少女』だったり『劇場版ケロロ軍曹』の夏海がプリンスになるやつだったり、いろいろ。午後1時を過ぎると映画は終わっていたが、遅めの昼ごはんでも『ドラゴンボールGT』を見ながらカップ麺を食べていた。
昼ごはんと日曜日、それから昼間の明るさは昼寝にとっての三種の神器だと思う。窓辺のちょうど太陽の光が当たるところが最高に気持ちいい。柔らかくなった日光の暖かさにいつ寝ようと思ったのかも忘れるほどに熟睡していた。もし猫を飼っていたら、その猫は僕がそこで寝るのを許してくれただろうか。
ある朝、いつものように目を覚まし身体を起こそうとした時気怠さを感じた。多分小学校6年生、あるいは中学生だったかもしれない。熱を測ると38度近くあったので学校を休んだ。もう大きくなったからって、風邪の日はいつも内科に行っていたが、その日はそこが休みだったのか、小さい頃に通っていた小児科で診てもらった。母の車で病院に向かい、数年ぶりの、でも見た目は以前と変わらない先生に診察してもらった帰り、車に乗ろうとした時にふと思った。
昼っていつもこんなに眩しいんだ。 今までのあのお昼の眩しさは日曜日だけのものじゃなかったんだ。 それまで大好きだった昼間のあの感じは日曜日の昼間だったんだ。
昼休みの終わりのチャイムが鳴り止んで、掃除場に行く時の静けさ。集会の練習で昼休みに数人だけで体育館に行く時の渡り廊下。小学校の決まりを破って友達に会いに校区外に行く時の車の走行音。どれもが日曜日の昼間のような眩しい世界に包まれていたことを思い出した。それぞれの曜日にそれぞれの昼間があり、眩しさがあり、自分と影と太陽があった。
それ以来、どの季節でもお昼が好きになった気がする。季節ごとの匂いが好きだし、風景も好きだし、音楽もふんわりときらきらしたポップスが好きになった。