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Simple 「簡潔さ」は最強の戦略である(著:ジム・バンデハイ、マイク・アレン、ロイ・シュウォーツ、訳:須川 綾子、ダイヤモンド社)
2017年に設立された新興メディアにもかかわらず、既に670万人もの定期購読者を有する「アクシオス」の共同設立者が、同社が発信するニュースの特徴である「簡潔に価値ある情報を読者に届ける文章」の強みとポイントについて説明している本。
アクシオスとはどんなメディアか
残念ながら日本語サイトはないようだが、英語サイト(https://www.axios.com/)を見るとすぐにその簡潔さに気づく。
トップページには、読者が読むべきトピックが5つに絞られて示されている。
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そして、その下にあるTop Storiesも、短い見出しとメッセージが表示され、より詳しく見たい読者は"Go deeper"をクリックすることができる。もしクリックした場合に、大体何分で読み終えることができるのかも書かれており、読者が忙しい中で端的にニュースを理解できるように工夫が徹底されている。
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そして更に特徴的なこととして、アクシオム社がズバリそのまま「アクシオム」と呼称している太字の標識文字がある。Why it mattersやZoom inといったキーワードがそれだ。これにより、読者にとって「このパラグラフに何が書かれているのか」が一目瞭然である。
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なぜ簡潔さが重要なのか
一言でいえば、「読み手は重要なことだけが知りたい」からである。細かな前提や丁寧な導入は、多くの読者は求めていない。特にニュースのように、情報性にその価値がある場合にはその傾向が強まるだろう。
見方を変えれば、アクシオムは徹底的に読み手ファーストのメディアである。読み手が知りたい重要なことだけを伝える。もっと知りたい読者には、更に先を知ることができるようにしておく。これを徹底している。
簡潔に書くためのヒント
本書は、簡潔に書くためのヒントが満載だ。例えば、以下のようなヒントが示されている。
メッセ―ジを1つに絞り込む
装飾はなくす
結論から書く
"Why it matters"のような「アクシオム」を使う
箇条書きを多用する
太字を使う
短く区切る
これらのヒントを活用しながら2つほど記事を書いてみた。以下がその実験例である。アクシオムの記者のようにいきなり上手くは書けないが、ヒントを意識するだけで無駄が削ぎ落され、小気味よく書ききることができる。
ビジネスへの活用
本書で語られていることは、ビジネスの文書作成においてもそのまま役立てることができる。ビジネスにおいても、読み手は重要なことだけを知りたがっている。アクシオムの手法を使わない手はない。
コンサルティングファームでも、パワーポイント作成で教え込まれる教義がある:One slide, One messageがそれだ。1枚のスライドには、1つのメッセージしか入れない。メッセージが2つになるということは、言いたいことが絞り切れていないか、2枚のスライドに分けて主張すべきことが混在しているということである。そう教えられる。
個別のスライドだけではなく、提案内容全体を通じて、メッセージを絞り込むことを叩きこまれる。極端に言ってしまうと、メッセージを絞り込んで洗練させることができれば、提案内容はそれで固まる。あとはその提案をサポートする材料を集めてくるだけだからだ。
この考え方は本書の主張とも通底している。重要な情報を絞り込んで相手に伝える。この思想と技術は汎用性が高く、あらゆるコミュニケーションにおいて役立つものだ。