限界読書

現実をテクストとして読んで仕事する、30代実務家。戦略/問題解決×哲学/言語が個人のテーマ。読書録、仕事論、プロフェッショナルキャリア、問題解決、生産性、文章論等について発信。Amazonのアソシエイトとして、限界読書は適格販売により収入を得ています。

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限界読書の説明

今さらながら、このnoteの説明です。 noteのテーマ、目的2つのテーマがあります。1つは「読書と実践の往復」です。読書や実践(仕事や生活、他者との議論など)から得た学びや気づきをアウトプットする場がこのnoteです。読書が実践に最も役立つという思想を持っていますので、このテーマを掲げています。 もう1つは「越境的読書」です。私は1つの専門領域を決めて深掘りしていくことよりも、自分で独自のテーマを決めて領域横断的に思考を深めていくことに関心があります。例えば私は人文書を

    • 「真面目」ではなく「真摯」を目指す

      真面目と真摯の違い「真面目」と「真摯」、この2つの言葉を私は自分なりに定義している。 「真面目」とは、プロセスの遵守にコミットすることだ。現状のやり方、取り組み方を踏襲する。それらをきっちり守ることで現状維持を図る。これが「真面目な行動」である。 一方で「真摯」とは、成果の創出にコミットすることである。プロセスにはコミットしない。成果というアウトプットだけを見て、それに必要なことを全力で考え,行動する。現状維持は問題ではなく、成果を創出するために必要なら現状を変える。これ

      • 「仕事だからやる」という姿勢の価値

        「仕事だからやる」という言葉はなぜか評価されない「やりたいことだからやっている」という「好きを仕事にしている」ことは前向きに評価される。一方で、「仕事は仕事だからやっている」ということは評価されにくい。 これには、そもそも仕事はやらされるもの、辛いもの、ネガティブなものというイメージが前提にある。そんなネガティブな仕事を、自分の「好き」に置き換えているから、「好きを仕事にしている」ことが高く評価されるのだろう。 しかし、私は大抵の人にとって「仕事だからやる」という姿勢は

        • 問題解決は利他から始まる

          問題解決においては「問題を適切に把握する」ことが最も重要過去に「問題解決で重要なのは解決力ではなく理解力」という記事を書いた。関心があれば詳細はこちらの記事をご覧いただきたいが、ポイントは「問題解決は、そもそも問題の把握がズレていると意味がない」ということだ。いくら一生懸命に解決策を考えても、そもそも解決する対象である問題が間違っていたらゼロバリューである。 この「問題を適切に把握する」ということが、想像以上に難しい。まず、自分自身が直面している問題であっても、適切に言語

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          20代で身につけておいてよかった3つの力

          20代で身につけておいたことで、30代の今の自分を助けてくれるものは多い。その中でも、本当に身につけておいてよかったと感じることを3つに絞って紹介する。 課題解決力結局のところ、仕事は課題解決に尽きる。顧客の課題を解決するから、顧客は企業にお金を払う。課題を特定し、それを分解し、解決のための糸口を見つけ、課題を解決する。煎じ詰めれば、全ての仕事はこれだけとも言える。課題があり、それを満たすことに対価が払われる。 20代のうちに、現実で直面するあらゆる課題を解決できるように

          20代で身につけておいてよかった3つの力

          努力に逃げずに「どこで戦うと勝てるか」を考える

          「忙しさ」という麻薬人は「忙しくて大変だ」と言いながら、どこかで忙しさを求めている。忙しさは「物事が前に進んでいる」という感覚を与えてくれるからだ。嫌だ嫌だと言いながら、ついつい求めてしまう。 確かに、本当にやるべきことをやっているとき、忙しさは正義である。やればやるほど、正しい方向に向けて物事が前に進むからだ。しかし、「本当にやるべきことをやっているのか」という問いを立てる前に忙しさに取り付かれてしまうことは絶対に避けなければならない。 やるべきでないことをやっている

          努力に逃げずに「どこで戦うと勝てるか」を考える

          根性論を排する:人間の意志力を踏まえた「いつの間にか上手くいく」方法論

          結局のところ、仕事であれスポーツであれ、何かを極めるには大量の時間と労力を投入する必要だ。しかしこれは、根性で何が何でもやりきるということとは全く別である。根性論は再現性がない。根性とは別の角度で、何かを継続したりやり切ったりする方法を考えることが重要だ。 人間の意志力を理解する根性論の裏には、「意志力は自分の気持ち次第でコントロールできる」という考え方がある。しかし人間の意志力は「自動車のガソリンのようなもの」ではないか、ということを検証した実験がある。この研究によれば、

          根性論を排する:人間の意志力を踏まえた「いつの間にか上手くいく」方法論

          抽象的に考える人と具体的に考える人が互いをバカにしないために必要なこと

          事業について話し合っているとき、抽象的に考える人と具体的に考える人は大きくすれ違う。抽象的に考える人は、「そんな細かいことを話す前に、そもそもその前提や全体像を話すべきだ」と考えている。他方、具体的に考える人は、「そんなフワフワしたことを話していても何もわからないのだから、もっと具体的な現象について語るべきだ」と考えている。 有名な性格検査であるMBTI(Myers-Briggs type indicator)で言えば、N (intuition) 型とS (Sensing)

          抽象的に考える人と具体的に考える人が互いをバカにしないために必要なこと

          情報に濃淡をつけられていないのなら知らないのと同じ

          情報を知っていること、基本的にそれ自体には価値がない。スマホ、グーグル、ChatGPTがある現代において、調べようと思えば一瞬で調べることができるからだ。インサイダーしか知らない情報は、未だに情報単体で価値がつくが、フラット化する世界でそういった領域はどんどん狭くなっていっている。 そういったインサイダーしか知らない情報を除き、情報に価値がつくのは、その情報が「重要なのか、重要ではないのか」という情報の濃淡というフラグがつくことによってだ。あえて単純化すれば、 情報の価値

          情報に濃淡をつけられていないのなら知らないのと同じ

          エマニュエル・トッドの思考地図(著:エマニュエル・トッド、訳:大野舞、筑摩書房)

          概要歴史人口学者のエマニュエル・トッドが、筑摩書房の創業80周年記念出版として書き下ろした一冊。日本オリジナル版で、日本のみで出版されているようだ。 本書は、著者が自らの思考法を振り返り、その極意を明かす内容である。意外にも、著者は自らの思考を顧みたことはほとんどないという。著者にとって、考えることは歩いたり話したりするのと同じように自然なことであり、意識的に振り返ることがなかったそうだ。 思考とは「現象間の関連や一致を見出すこと」トッド氏の思考法は、特徴的な3つのポイ

          エマニュエル・トッドの思考地図(著:エマニュエル・トッド、訳:大野舞、筑摩書房)

          Dolby Atmosとは何か

          日常でふと気になったことは、簡単にでもよいので逐一調べることにしている。最近気になったのはDolby Atmosである。 映画館に行くと、こんなロゴを見かけないだろうか。ドルビー、と読めるが、これは何だろうと気になっていた。 まずはChatGPTに聞いてみる。 2つのことがわかる。まず、Dolby Atmosとは技術の名称であり、会社名ではない(会社名はDolby Laboratories)。そして、Dolby Atmosという技術の根幹は「オブジェクトベースオーディオ

          Dolby Atmosとは何か

          読みを深める方法論:読解力と自分の中の物語性

          読解力と物語性の関連読解力は、読み手の持つ「物語性」と大きく関わっている。 例えば、とある人が小説を読んでいるとする。その人は、この世には「良い人間」と「悪い人間」の2種類がいて、両者は明確に分かれているという(粗い)人間理解しか持っていないとする。そうすると、その人は小説をそのようにしか読めない。粗い読解に留まらざるを得ないのだ。 立場によって善い/悪いは変わる。善い悪いを含めた、何事にも程度というものがある。悪がない社会は成立し得ない(必要悪というものが存在する)。

          読みを深める方法論:読解力と自分の中の物語性

          知的パフォーマンスを決定づける「頭の良さ」以外の軸

          「思考のずれ」という軸知的パフォーマンスは、当然ながら頭の良い人の方が高い傾向にある。「知的」とつくくらいだから、頭が良い人のパフォーマンスが高いのは当然と言える。 しかし、「頭の良さ」だけで知的パフォーマンスが決まるわけではなく、もう1つ重要な軸がある。それは「思考のずれ」である。 「思考のずれ」とは、「普通はこう考えるよね」というものとはやや別の考えを持つということを指す。ここで重要なのは「ずれ」に留まることだ。 「ずれ」ではなく「完全に別個の考え」を持っていると

          知的パフォーマンスを決定づける「頭の良さ」以外の軸

          ジャック・デリダの「声と現象」を読む:第一章 記号、いくつかの記号

          「声と現象」は、ジャック・デリダがフッサールの「論理学研究」を綿密に読解した内容を記述した試論。 第一章「記号、いくつかの記号」においては、章のタイトルにあるとおり「記号」という言葉を分解し、解きほぐしていくことに力点が置かれている。 最大のポイントは、記号という語には「表現」と「指標」という2つの概念が包含されているという冒頭のセンテンスだ。第二章以降では、「記号」から「指標」を取り除き、純粋な「表現」を取り出すことについて語られるため、そもそも「表現」と「指標」とは何

          ジャック・デリダの「声と現象」を読む:第一章 記号、いくつかの記号

          主知主義と主意主義:人生のコントロールに関する話

          主知主義と主意主義とは何か主知主義と主意主義という、2つの考え方がある。主知主義とは、知性や理性を重視する考え方とされる。一方で主意主義は、意思をより上位に置く考え方である。 主知主義を自分の人生において徹底してしまうと苦しくなる主知主義的に世の中を捉えるということは、人間の持っている知性や理性を軸に世の中が成立しているべき、という考え方を取るということに繋がる。西洋哲学の歴史においては、長きにわたり、人間には理性があり、その理性を正しく用いれば世界の真理を理解することが

          主知主義と主意主義:人生のコントロールに関する話

          「逃げる」というコマンドを捨てるのは間違い

          「逃げる」というコマンドは忌避されやすい。一方で、「退路を断つ」という表現が前向きな表現として使われることが多いように、「逃げる」というコマンドを捨てて全身全霊で何かに挑むという姿勢は称賛されやすい。 しかし、私は仕事でも生活でも、「逃げる」というコマンドを絶対に捨てず、現実的な選択肢として堅持するようにしている。その理由は2つある。 1つ目は、高ストレス・ハイプレッシャーな状況に耐えられるようにするためだ。いざとなればその状況から抜け出せる、別のオプションがあるという事

          「逃げる」というコマンドを捨てるのは間違い