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心化粧32



冬は冷たく、その言葉の意味すら理解できないほどに寒い。
まどろみの中、私は暖かい布団にくるまり、心を温める。
耳を澄ますと、家が軋む音が聞こえる。
遠くで小鳥が鳴き、朝の訪れを告げる。
まぶたが重く、再び眠りに落ちそうになる。

さっき見た夢は果たして現実だったのか?
それとも、今この瞬間こそが夢なのか?
私には、それがわからない。

縛られすぎたこの体で、私は自由を求める。
編まれた言葉は、私のイメージとは少し違う。
私の想像が言葉になるとき、それはきっと別の何かへと形を変えている。

目で語るとき、口を開くことはない。
耳を澄ませば、完全な静寂というものは存在しない。
常に何かが、頭の中で響いている。
真の静寂ほど、邪悪なものはないのかもしれない。

手を伸ばし、いくつもの時を越えようとする。
だが、きっと私の心は、どこかに置き去りになっている。
自分の言葉を形にすることは、なぜこんなにも難しいのだろう。

言葉をメガネのようにかけると、
それは移ろいから理へと変わっていく。

そして私は、自分の言葉を口にする。
何度も、何度も、何度も——。

何度も何度も何度も口にした言葉は、人工知能にすら認知されなかった。
これが僕の本当の言葉なのに、なぜか人工知能は理解してくれない。
言葉にならない言葉は、機械仕掛けの装置にすら届かないのだ。

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