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【読書記録】川添愛『言語学バーリ・トゥード』
川添愛『言語学バーリ・トゥード』読了しました。”言語学”に付き纏うお堅いイメージ(実際そうらしい)と真逆のライトな文体で、大変読みやすい文章です。
文法アレルギーな私は、通常ならおそらく手に取らない類の本。オモコロの原宿さんがビビッときた本だと聞き、気になったので読んでみた所存です。
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書店で気になった「未読の本」を買う企画中だからです。
巨大書店で戦え!本屋ダンジョン・バトル | オモコロ (omocoro.jp)
『言語学バーリ・トゥード』の本文内で「格付けチェックでYOSHIKIさんの控室に『言語学バーリ・トゥード』が置かれますように」と書いてあって、思わずニヤリ。この本はYOSHIKIさんより原宿さんの方が似合う。
原宿さんが推測したように、いかにもAIの話をしそうなサブタイトルですが、実際は「言語のことなら何でも自由に語る」テイストの本です。ちなみにタイトルの「バーリ・トゥード」とは、プロレスの演目の一つのこと。ポルトガル語で「何でもあり」という意味です。
確かに、AIは「押すなよ!押すなよ!」を理解できない話はしてました。でも本当に「何でもあり」なので、プロレスと芸人の話ばっかりしてるパートがあってビックリ。本当に失礼ですが、要点のまとまらないオジサンの話をテキストで堪能できる良書や!と思ってしまいました。川添愛さんは女性ですし、幾度も出版されている凄い人です。
言語学は正しい日本語を守るエージェントではない
言語学と聞くと、乱れた日本語を取り締まる「誤用警察」のように感じます。しかし実際は、自然発生した現代の言葉を観察し、なぜ誤用するに至ったのかを分析する学問だそうです。そもそも「正しい日本語」の定義付けが難しく、Twitterの「誤用警察」が高飛車なリプライを飛ばす様を悲観的に捉えている様子です。
コピーライトは、あえて文法的に正しくない接続詞を用いることによって「消費者の印象に残す」そうです。CAN MAKE TOKYO(花王)の「かわいいは作れる」も、「かわいい」という本来であれば形容詞の語彙を、あえて名詞扱いして「は」で繋いでいます。
このように、一見変な文章にも戦略や思いがある可能性がある。だから、他人の言葉遣いを「乱れている」なんて指摘するのは難しいことなんだと、私は理解しました。
ライトな文章を書く時の参考書にピッタリでは?
言語学のことは正直、豆知識程度しか触れられていません。『言語学バーリ・トゥード』は、『UP』という雑誌に掲載された文章の総まとめ本です。『UP』内での川添愛さんの立ち位置は「箸休め」だから、全力でウケ狙いにいく文章を書いているとのこと。
つまり、文章のプロが本気で考えたブログ記事みたいなもんです。時事的な要素に触れつつ、自分の好きな(川添さんでいうプロレスとお笑いの)話をふんだんに盛り込んだ上で、自分の主張ちゃっかり伝える。そのうえ読み口は軽くて、「次の記事も読みたいなァ」と感じさせる構成力。
これって、我々noterが一番欲してる文章力じゃないですか?少なくとも私は、こんな文章が書きたいと感じました。え?要点のまとまらないオジサンの話なんて悪口言った人の意見は参考にならない?それは、そう!