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高すぎる電気代の原因 分析と対策

最近の電気代単価の高騰はえげつない。
しかも,冬になるとなぜか消費電力量が増える。
どうにかして電気代を抑えたい。

そう思っているのは自分だけではないはず。
消費電力量が増えてしまう原因,減らすための適切な対策は何か,それを本記事で分析していきたい。


前提

環境

1人暮らし,会社員,1DK
エアコンがついた部屋は7.5畳(洋室)

平日: 出社(日中不在)
土日祝: 好天時は外出,悪天時は終日在宅

在宅時・就寝時はエアコンは20℃設定・加湿器(非加熱風式)を稼働
就寝時に敷毛布下に電気毛布を弱で稼働
ゲーミングPCを在宅時起動。VRで1~2時間/日 遊ぶ
外出時にはこれらすべての電源をオフ

他に冷蔵庫・浴室換気を常時起動

推移

自分(一人暮らし)の消費電力量の推移は以下。

9月 : 111kWh 10月: 112kWh 11月: 147kWh
12月: 245kWh 1月 : 317kWh

12月に入ってから消費電気量が跳ね上がっていることがわかる。

事前考察

エアコンの設定温度ゲーミングPCの設定電圧を下げることで,消費電力が抑えられる可能性がある。


分析

分析方法と結果

①週平均消費電力量のグラフ化
東京ガスの「myTOKYOGAS」の自動検針結果を,週ごとに平均を算出してグラフ化した。
挙動が異なることが想定されたため,平日と休日のグラフを分けて表示した。
なお,データは1週(9/10:引越日)~20週(1/27)の期間のもの。

うち,20週に次の対策を講じた。
・エアコンの設定温度を20度→18度にする
・ゲーミングPCにかかる電圧とグラフィックボードの出力上限をMSI Afterburnerで約80%に抑える

結果は以下の通り。

週平均消費電力量[kWh/日]

~19週と,20週~を比較したいが,平日は20週に山があり,休日はほぼ19週と変わらないため比較が難しい。

休日の17週の山は,正月休みによるものだと考えられる。

①の考察
12週(~12/2)を境に,急激に消費電力が増えており,そこに原因があると考えた。
新規家電の導入はなかったので,日付が進むことによる変化がなにかないか考え,最低気温の推移との関係に着目することにした。

②週平均消費電力-最低気温の散布図化
日の最低気温を「気象庁」よりデータを入手し,週平均化し,週平均消費電力とで散布図化した。

結果は以下の通り。

縦軸 週平均消費電力量[kWh/日] 横軸 週平均最低気温[℃]

①の考察通り,消費電力量は休日・平日ともに最低気温相関があるように見える。
すべてのデータを見ると二次関数的に見えるが,最低気温が10度未満のものに関しては直線的に推移しているようにも見える。

③平日消費電力-最低気温の散布図化
最低気温が10℃未満の日が続くようになった12/1以降のデータから,行動変化の少ない平日のデータを抽出し,日消費電力とで散布図化した。
なお,対策を講じた日のデータを緑で表示することで区別した。

結果は以下の通り。

縦軸 消費電力量[kWh/日] 横軸 最低気温[℃]

対策前,対策後ともに直線的な相関があるようにみえる。また,対策後ははっきりと消費電力量が下がっていることがわかる。

ただ,対策後の-2.9℃・12.29kWhを対策前と比較すると,近似直線において同じ最低気温に対応する消費電力量は13.29kWh。最大で1kWh程度の節電になる。
グラフを見ても,最低気温約2度で交差することから,最低気温2℃以上の日に同様の対策を行っても効果はほとんどないと考えられる。

したがって,エアコンの温度を20℃→18℃に設定したり,ゲーミングPCの電圧と出力上限を下げたりしても,極寒の日以外は付け焼き刃の対策であることがわかった。


結論

最大の原因はやはりエアコン
ただし,設定温度ではなく外気温が原因。

冬の場合は最低気温が低くなるほど(夏は最高気温が高くなるほど:未検証),一日の消費電力量が上がる。


結論を経た対策

温度によるエアコンの駆動が最も消費電力に影響を与えているのであれば,部屋の断熱性を高めることが消費電力量の減少につながるのではないかと考えた。

現状の窓は,一般的な1枚ガラスでできており,北海道の建築で見られる2重窓を簡易的に再現し設置することで,断熱性を高めようと考えた。

方法

中空ポリカ(厚さ4mm)を購入し,窓のサイズ(高さ120cm×幅170cm)にカッター・テープで加工した。それを梱包していたダンボールを切り貼りして両側から挟んで固定した。(サンドイッチ状)

窓にそのダンボールでサンドイッチされた中空ポリカを立てかけた。

加えて,冷気ストップライナー(冷気防止用カーテン)を窓の内側に隙間ないようにカーテンの内側に設置した。

結果

1日だけだが,③のグラフに新たにプロットすると,結果は以下のようになった。

縦軸 消費電力量[kWh/日] 横軸 最低気温[℃]

最低気温は-0.7℃で,消費電力量は7.53kWhだった。これは,対策前に比べて3.87kWhの節電になっており,付け焼き刃の対策より2.96kWh多く節電に成功している。


まとめ

外気温と室温が開けば開くほど,消費電力量は大きくなる。
ゲーミングPCやエアコン設定温度(20℃→18℃程度)の影響は軽微。

部屋の断熱性を物理的に高めることで,その影響を抑えられる。


その後

9月中旬~3月上旬で最低気温(x軸)と消費電力量(y軸)でプロット。
ばらつきが急に広がる最低気温5度でグループ化して近似直線作成。

最低気温が低くなるほど気温による消費電力への影響が大きい

11月上旬~3月上旬(平日のみ)で,月ごとにグループ化してプロットし,近似直線作成。
左の数式は上から11月・12月・1月・2月・3月。

12月→1月の断熱対策で近似直線の傾き(最低気温依存性)が明らかに減少しているのがわかる

下のグラフ基準で計算してみる。(最後の式は休日込みの上のグラフ基準)

11月(平均最低気温10.72℃): -0.61x+10.18=3.7 kWh/日 (-0.40x+8.82=4.5)
12月(平均最低気温3.79℃): -0.77x+10.11=7.2 kWh/日 (-0.50x+10.29=8.4)
1月(平均最低気温1.59℃): -0.36x+9.94=9.4 kWh/日 (-0.50x+10.29=9.5)
2月(平均最低気温2.98℃): -0.16x+7.75=7.3 kWh/日 (-0.50x+10.29=8.8)
3月(平均最低気温6.53℃): -0.09x+5.87=5.3 kWh/日 (-0.40x+8.82=6.2)

対策なしだった場合(休日なし)
1月: -0.86x+10.8= 9.4
2月: -0.86x+10.8= 8.2

1月で単純に計算結果だけ見ると,対策してもしなくても全く変わらないように見えるが,最低気温依存性が対策前のほうが2倍以上大きく,最低気温が2℃以下では逆転する。

青が対策なし 赤が対策あり1月 オレンジが対策あり2月

…いやでも1月は最低気温2℃以上の日は対策前のほうが消費電力量低くない?
→実は電気ポッドを1月に買っちゃって,そこから毎日使ってるからそれが影響してるんだと思いマス…

2月は加湿器つかわなくなったからか全体的に低下。

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