(終了しました)【イベントレポ】きりえや展 in 八戸ブックセンター
「抱腹絶倒のバカバカしさ」「あまりにもシュール」と話題沸騰!
世界の名著パロディ集『きりえや偽本大全――名作文学パロディの世界』、大好評発売中です。
12月18日土曜日、著者の高木亮さんと私、担当編集の雨宮は青森県の八戸ブックセンターに伺いました。
八戸ブックセンターでは12月4日から「きりえや展 〜切り絵画家・高木亮の名作文学パロディの世界〜」と題したパネル・原画展がおこなわれ、この日18日には高木さんのワークショップも予定されていたからです。
八戸ブックセンターとは?
フェアをお声がけいただいた担当の熊澤さんから、八戸ブックセンターをご案内いただきました。
熊澤さんは、実は小社の『八戸藩』(藩物語シリーズ)の刊行時にも大々的にイベントを企画してくれた凄腕の企画運営専門員さんです。
八戸ブックセンターは、全国的にも珍しい市営の書店さん。
そのコンセプトは、
というもの。
初めて足を踏み入れた私たちは、そのコンセプト通りの光景に目を見張りました。
まずブックセンターの要としてご案内いただいたのは、「人文」「自然」「世界」「芸術」という大きなテーマで括られた本が、それぞれ一面に並ぶ大きな棚。
「世界」の棚では海外文学と旅行エッセイ、ガイドブックとレシピ本が一堂に会し、「自然」の棚では真面目そうな学術書と細胞を主人公にした人気漫画が隣り合う……。
それはまさに「何かを知ろうと思ったとき、本当に求めているのってこういうことだよね!」を体現したような、すみずみまで眺めつくしたくなるような本棚でした。
「で、ここがワークショップの会場になります」
と、唐突に熊澤さんが「芸術」の棚を掴んでゆっくりと引き出し始めました。
棚の奥から現れたのは、広々としたイベントスペース。
えっ、何?ファンタジー?
ほかにも八戸ゆかりの人たちの本を集めたコーナー、いかにも集中できそうなカンヅメブース、読書席として使える三浦哲郎の文机のレプリカがあるお座敷といった、地元の人を本好きにし、本好きをより本好きにするための工夫が盛りだくさん。
「このひと棚は八戸工業大学さんに選書のご協力をいただいていて」
「今度、寺山修司記念館の方と寺山修司についてのトークイベントをやる予定なんです」
などなど、地域で「本のまち」を盛り立てていこうという熱意をひしひしと感じました。
きりえや展
高木亮さんの原画・パネル展はギャラリー側。
私たちが行ったときのギャラリー展示は、『ぼくはいしころ』『退屈をあげる』の著者坂本千明さんの原画展でした。紙版画で描かれた猫たちの毛並みのふわふわ感、吸い込まれるような目にうっとり。
(坂本千明さんの原画展は12月26日で終了しました)
高木さんのきりえは、そのお隣で本の塔を囲むように展示されていました。
この本の塔、なんと中に入れるんですよ。
まるで秘密基地のような塔は、実は本棚になっています。
八戸限定、合掌土偶のきりえキットもご用意しております。
ぜひ、挑戦していただけたら嬉しいです。
ワークショップ
さて、お待ちかねのワークショップです。
13時から子どもコース、15時から大人コースに分かれて開催されました。
おかげさまで子どもコースも大人コースも、どちらも満席でした。
今回集まってくれたのは、子ども大人ともにきりえ初体験の方ばかりとのこと。
まずはカッター(アートナイフ)の使い方のレクチャーから始まりました。
高木さんの周りに集合して使い方を教わったあと、それぞれの席で練習用紙を切ります。
まっすぐな線に曲線、四角、三角、そして円……。
さまざまな線や形を切ってナイフに馴れたら、いよいよ本番です。
下絵のプリントを用紙にホチキスで留めたものを、二枚重ねで切っていきます。
これがかなり手の力を使うようで。
みんな時々「疲れた~」と手をぶらぶらさせたり、肩を回してリフレッシュしながら、「よーし!」と紙に向き直っていました。
その集中力は、思わずこちらも手に汗を握ってしまうほど。
すべて切り終えたら、用紙を貼り合わせます。
白い台紙に色紙を切った作品を貼って、裏面と合わせて。
これを照明にかぶせれば、ランタンの完成です。
嬉しそうに親御さんに見せる子、一通り切り終わったあとも納得のいくまで向き合う子、友だちの作品と見比べてクスクス笑い合う子……。
それぞれに楽しんでいるところに、「ライトを灯してくださーい」と高木さんが呼びかけます。
みんなが手元のライトを灯したら、部屋の照明を落とします。
その瞬間、ランタンが煌々と輝き出しました。
切り抜かれた星や丸から漏れ出るあたたかな光。
それまでとはまったく別の姿を見せたランタンに、静かな高揚感が広がります。
「これを自分で作れた」と満ち足りた表情でランタンに見入る姿に、こちらもしみじみと嬉しくなりました。
静かな集中力が部屋中に満ち満ちていた、子どものワークショップ。
その後の大人のワークショップは少々雰囲気が異なり、「このナイフはいくらで買えますか?」「私も自分の絵をきりえにしたいのですが、何に気をつけたらいいですか?」等々、次々に質問が飛び出しました。
参加してくださった方の中には、斎藤美奈子さんの書評や高木さんのエッセイが掲載された『週刊朝日』がきっかけで高木さんに興味を持って来てくれた方も。
大人のワークショップは全体的に、情熱ほとばしる会になりました。
ワークショップ終了後のアンケートも「家でもやってみたい」「楽しかった」「優しく丁寧に教えてくれてありがとう」等々、大好評でひと安心。
会期延長のお知らせ
さて、そんなきりえや展、もともとは2022年1月10日(月)までの予定だったのですが、なんとご好評につき1月23日(日)まで会期を延長していただけることになりました!
原画やパネルをご覧いただけるのはもちろん、偽本ブックカバーやカレンダー、きりえキットもまだまだ販売いたします。
来年も、多くの方にお楽しみいただけますように。
以下、高木亮さんからのコメントです。
*フェアをご検討いただける書店様へ
もし高木亮さんのきりえ展や偽本フェア等をご検討いただける書店様がございましたら、担当の雨宮由李子までご連絡いただけましたら幸いです。
パネルデータや、ご購入者特典(ブックカバーや栞など)などもご提供できますので、お気軽にご相談くださいませ。
《偽本ブックカバーについて》
ブックカバーの販売方法は何種類かございます。
ジュンク堂書店池袋本店とオリオン書房ルミネ立川店、函館蔦屋書店、ひばりブックス(静岡)、平井の本棚では、下記の通り展示・販売していただきました。
①ジュンク堂書店池袋本店、ひばりブックス……1作品ずつクリアファイルに入れたブックカバーを壁面スペースに貼り付け、お客様は現物をファイルから取り出してレジに持っていく。
②オリオン書房ルミネ立川店……アクリル板に挟んだ見本を売り場に置いておき、レジにて現物をお渡しする。
③函館蔦屋書店と平井の本棚、八戸ブックセンター……レコード屋のように作品ごとにビニール袋に入れてケースに立てておく。
《そのほか販売物》
ほか高木さんの作品もございますので、併せてご検討いただけましたら幸いです。
・オリジナルポストカード ¥150(〜50種以上)
・2022年カレンダー ¥1200等々。
参考:高木さんのオンラインショップ
何卒ご検討いただけましたら幸いです。
*書籍情報
【著者紹介】
高木亮(たかぎ・りょう)
1971年香川県生まれ、きりえ画家。
大学在学中から切り絵を始める。
単著として『ねこ切り絵』『12か月のねこ切り絵』(誠文堂新光社)、『画文集ユメとバルーン』(ビーナイス社)がある他、満寿屋ノート「MONOKAKI」デザインや音楽教科書(令和2年度版・小学3年生)に作品が掲載される等、幅広く活躍中。
2008年から「偽本シリーズ」製作開始、大学図書館や書店でおこなってきた「偽本展」は10回に及ぶ。
『きりえや偽本大全――名作文学パロディの世界』
2000円+税 244頁 ISBN 978-4-7684-5903-4
全国の書店、あるいは小社STORES(現在送料無料!)からもお求めいただけます。
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