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まだ完結していない創作大賞2024エントリー作品の紹介①『Untitled Fantasy(仮題)』
前回は創作大賞2024を終えた感想と、ファンタジー小説部門にエントリーしている完結作品の紹介をしました。
それで、他に漫画原作部門にエントリーしている作品が二作あるので、そちらも簡単に解説しようと思います。ちなみに下の記事でも紹介しているので、だいたいどんな内容かはそちらをご覧いただいた方が早いかと思います。
『Untitled Fantasy(仮題)』の紹介
『Untitled Fantasy(仮題)』は、シナリオの仕事を得るために台本形式で書き始めた物語で、タイトルが「無題のファンタジー」なのも、飽くまで仕事を得るためのポートフォリオとして構成したのでタイトルを考えていないだけです。未だに考えていませんが、万が一漫画原作部門に入賞するようなことがあれば担当者の方、作画の方と一緒に考えます。
こういう言い方をすると作品と登場人物に対する愛情一切なしで書いていると思われるかもしれませんが、少なくとも登場人物についてはかなり気に入っていて、特にメインヒロインのセレナ王女は「表向きは明るくさっぱりした気の強い女性だが、根は生真面目で責任感が強く繊細で他人思い」という、個人的に一番好感が持てる性格をしています。ある意味で女性らしくない女性ですが、エンタメ作品のヒロインとしては王道の一つではないでしょうか。
王道設定と王道展開を詰め込んだ作品(のつもり)
王道設定や王道展開はヒロインだけではありません。「主人公は元孤児だが実は祖先は王族と繋がっており、遡ると天界人の血も混ざっている」といった王道の血統主義、主人公のバディに当たる幼馴染、また別の幼馴染のサブヒロインと、主要人物の素性や立ち位置だけ見ても王道設定で埋め尽くされています。
これは先述の通り本作が仕事を得るために書いた作品だからですが、書いてみると王道設定、王道展開って楽しいですし、読み返すときもかなり入ってきやすいんですよね。見慣れているから。読者のみなさんにそう思っていただけるかはわかりませんが、読んでいてすっと入ってきやすいのが良いことなのは間違いないかと思います。
他にもこれでもかというほど既視感のある設定や展開を盛り込んでいるので、創作大賞2024にエントリーした作品の中では本作が一番とっつきやすいと思います。
オマージュもふんだんに取り入れている
本作は王道設定、王道展開だけでなく、オマージュもふんだんに取り入れています。たとえばわかりやすいところだと「〇〇は××の中でも最弱」や「無駄無駄」などですね。細かいものもいくつか入れた記憶がありますが、話の流れをぶった切るような無理なオマージュは入れないようにしています。
話の流れをぶった切るような無理なオマージュは入れないと言いつつ、バイクらしき乗り物に乗ったトサカの生えた魔物がヒャッハーと叫びながら迫って来る、といった場違いなシーンも入れていますが。
いずれにせよ、これらのオマージュも王道設定と同じく、多くの読者にとって馴染みのある展開の方がとっつきやすいと考えて入れています。
作者のクセが現れている部分
とまあ本作は徹底的に王道設定、王道展開をぶち込んでいるわけですが、自分自身の作風をまったく組み込まないとなると、それはそれでポートフォリオとしてどうなのかとも思うので、ところどころでしっかり自分のクセを出しています。
たとえば、天界の若手官僚グレアムがその場にいた王国騎士団の分隊長に止められるシーンがあるのですが、そこでこんなやり取りがあります。
グレアム「俺はあの二人の知り合いだ。ちょいと用があるんで通してくれないか?」
分隊長B「何を言うかと思えば。『あいつは俺が育てた』みたいな与太話なら飲み仲間にでもするといい。殿下は君が気安く話せる御方ではないのでな」
グレアム「生憎だが、俺は見栄っ張りでも飲んだくれのホラ吹きでもないんだ。いま本当の姿を見せよう」
こういった揶揄や皮肉をときどき入れるのは完全に私の趣味です。上記の部分は「あいつは俺が育てた」といった主張を「与太話」とし、そうした主張をする人を「見栄っ張り」「飲んだくれのホラ吹き」と断じていますが、思い当たる顔が浮かぶ人も少なくないと思います(思い浮かぶも何も自分自身がそうだ、という方は心理カウンセラーに相談することをおすすめします)。
もっともこういった手法は、行き過ぎて作者の主張をそのままキャラクターに代弁させると読者が興ざめしますから、「そういうことを言いそう(思ってそう)なキャラクター」が、飽くまで自然な会話の中で言うような形をとっています。あとは気を付けていることとして、皮肉や揶揄の内容は読み手が「それな!」と言いたくなるよう意識して選んでいます。
このやり方は賛否両論あると思いますが、本作に限らず私が自分から発信する作品では「堂々と(私の価値観に基づいた)善き人を称え、悪しき人を蔑む」というスタンスをとり続けるつもりなので、途中で気が変わらなければ今後もやると思います。
(だたし、依頼を受けた仕事では依頼者から指定されない限り露骨にそうすることはありません)
それにこのての皮肉や揶揄は、好きな人は好きですからね。でなければ福本伸行先生みたいな辛辣で説教臭いセリフの多い漫画家が一時代を築くなんてことはなかったでしょうし、そのてのセリフがネットで持て囃されることもなかったでしょうから。
といったところです。良かったら読んでみてください。