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Schubert: String Quartet in D minor, D.810 《死と乙女》 講師:ジュリアード四重奏団
プロジェクトQ・第21章 ~ 若いクァルテット、シューベルトに挑戦する
公開マスタークラスを聴きに行ってきましたので、指導内容をレポートします。
10月23日(月)渋谷ホール&スタジオにて
講師:ジュリアード弦楽四重奏団
受講生:Vn1遠藤望名 / Vn2渡邉響子 / Va細田菜々美 / Vc森朝美
受講曲:シューベルト 弦楽四重奏曲 第14番 二短調 D.810「死と乙女」
オペラが大失敗したあとに書かれた作品。
オペラ的な所があり、ソプラノがどういう性格のどういう役で、バスがどういう役で・・・で、舞台上でやりとりしている様子が見えたのが良いです。
上昇音形、下降音形の扱い
Vc C線のC
Va C線のC (8va)
Vn2 C (16va)
Vn1 C (24va)
と重ねて弾いた場合、物理的に最もエネルギーを含んでいるのはVn1です。
音程が上がれば、エネルギーが増します。
したがって、自然の法則的には下がっていく時は重力にしたがって横たわるふうだったり、上がっていく時はどこかに行きたくて立ちあがろうと上向きだったりしますが、たとえばゴムを下に引っ張るように、物理の法則に逆らって下へ向かってエネルギーを増していくこともあります。場面ごとに、どう作るのか、意識しましょう。
繰り返しの意味
繰り返しがたくさんあります。繰り返しをする意味を考えましょう。
たとえば、大事なので繰り返す。きこえなかった?きこえなかった??というふうに。
緊張と弛緩を意識しましょう
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A-Gはどっちが緊張感がありますか?Aです。Gに下がって安らぎます。そのように弾きましょう。
ミステリアスな曲は、ミステリアスさが出るように
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まだ調性がわからない。
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g-mollだ。
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いや、d-mollだ。
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音程間隔が拡がっていくVn1と、それを助ける3人。
メロディーでないところにもドラマがあります。弓の弾く場所をそろえたり、Vn1が歌っているところで一緒に歌うなどしましょう。
しぐさ、ボディーランゲージも使って、このミステリーを作りましょう。
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解決する前の音には緊張が必要です。どっちの音に緊張感があるか、考えて、表現しましょう。
ここでやっと、完全にd-mollとわかることになります。ミステリアスなイントロでしたね。
休符の間もテンションを保つ
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冒頭は休符が多いので、テンションを保つのが大変ですね。
Vn1はザッツのタイミングのことを考えていますが、ザッツに集中しないで、直観で弾いて大丈夫。
意味合いに合った弾き方を
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この曲にはずっと三連符がありますね。三連符の意味を考えましょう。
最初、何か、恐ろしいことが起こるような雰囲気がありますね。
では、急いだり詰まったりしないで、その雰囲気を出せるように。
第二主題
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Vn — 歌の表現は左手でつくりましょう。
Va — テンポを作り、Vnに対して「歌って」と誘い込みましょう。ビブラートをかけ、外向きで、駒の近くでpp。
Vc — 細切れにならず、フレーズを大きく取るようにしましょう。
講師プロフィール
ジュリアード弦楽四重奏団 Juilliard String Quartet
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1946年の結成以来今日に至るまで受け継がれる「声」と「魂」
この曲の講師
アレタ・ズラ ヴァイオリン
Areta Zhulla, violin
ロナルド・コープス ヴァイオリン
Ronald Copes, violin
モリー・カー ヴィオラ
Molly Carr, viola
アストリッド・シュウィーン チェロ
Astrid Schween, cello