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Schubert: String Quartet in B-flat Major, D 112, Op. posth. 168 講師:ジュリアード四重奏団
プロジェクトQ・第21章 ~ 若いクァルテット、シューベルトに挑戦する
公開マスタークラスを聴きに行ってきましたので、指導内容をレポートします。
10月23日(月)渋谷ホール&スタジオにて
講師:ジュリアード弦楽四重奏団
受講生:Vn1大屋響 / Vn2谷本沙綾 / Va山之内真梨 / Vc村上真璃南
受講曲:シューベルト 弦楽四重奏曲 第8番 変ロ長調 D.112
4人で同じ方向に向かいましょう
お客さんをどこでどこに連れていくかの計画がきちんと立てられているのがよいです。
が、皆さん、自分の演奏に意識が向いているのが見えています。完全に4人一体になりましょう。
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たとえば、3拍目で、人によって方向が違うので、迷っているのがみえます。4人で同じ方向に向かいましょう。
練習方法①
1人ずつ、自分の弾きたいように、コンチェルトみたいに表現してみましょう。聞いている3人は、自分の弾きたいのと違うなって思う所があるので、それがどこか認識する。
誰も、合わせるだけ、ついていくだけでいい人がいないことがわかりますか?4人はそれぞれのパートを演じている役者です。
自分のパルス(脈拍)の感覚を4人で合わせていく必要があります。押すところ、引くところ。
この練習を重ねていると、一人ずつやらなくても、一緒に弾いていても気付けるようになる。
練習方法②
ごくゆっくり4人で弾いて、自分以外の3人の演奏に細心の注意を払ってみましょう。この人はどうやっているか、この人はどうやっているか、この人はどうやっているか。
どうやるか、決めなくてよい。注意を払うだけでよい。それでだんだん揃っていきます。
誰かについていくのではなく、4人一緒のものを感じて、一緒のものを作れるように。
繰り返しについて
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同じセンテンスを何度も繰り返しているのはなぜですか?繰り返すには理由があります。
※ちなみに答えはいろいろあって、正解はありません。
ただ、まずは、繰り返していることに気付くこと。
そして繰り返している理由は4人で話し合って決めて、それをお客に伝える表現を練習しましょう。
サプライズのハーモニーの扱い
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サプライズのハーモニーの音価を他の八分音符と同じに弾いていて、それでは短いです。
この和音がくるのが分かってたという感じ。
そして、特別な和音は、音符の閉じ方もドラマチックになるように、どう処理するか考えましょう。
なぜこの和音は2つあるの?と思ったら、2つめを弾かないでみて、何が違うかを考える。正解はありません。
2つめがあることで、1つめが上向きになるとか、何か弾き方は変わってくるはず。
間違いをどんどんしましょう
好奇心のままに、あれこれやってみることで知ることができます。
よって、間違いをどんどん犯しましょう。
揃うことが大切なのではなく、お互いが何を考えているかを知ることが大事です。
相手が何を考えているか、細心の注意を払って聴くようにしましょう。それで必ず揃ってきます。
弾く側も、その和音に対して自分がどう感じているかを伝えていくことも大事です。
色々と決めすぎても面白くない。今夜の本番で、Vn1がどう弾いてVcがどう弾くか、だいたいわかるが厳密にはわかっていない。ただ、信頼はある。お互いを驚かせることがゴールではないが、毎回違う「今夜の旅」を一緒にする。
ボディランゲージでどう弾くかを伝え合うことが大事です。今日はppにするよとか。
その他
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Vcの刻みが、Durのときは上向きになっていてよい。crescは向かっていくフレーズを助けましょう。
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同じppで譜面もほぼ同じでも、Durとmollなので音の出し方は全く違うはず。
講師プロフィール
ジュリアード弦楽四重奏団 Juilliard String Quartet
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1946年の結成以来今日に至るまで受け継がれる「声」と「魂」
この曲の講師
アレタ・ズラ ヴァイオリン
Areta Zhulla, violin
ロナルド・コープス ヴァイオリン
Ronald Copes, violin