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Schubert: String Quartet in G major, D.887 講師:ジュリアード四重奏団
プロジェクトQ・第21章 ~ 若いクァルテット、シューベルトに挑戦する
公開マスタークラスを聴きに行ってきましたので、指導内容をレポートします。
10月23日(月)渋谷ホール&スタジオにて
講師:ジュリアード弦楽四重奏団
受講生:Vn1石川未央 / Vn2岡祐佳里 / Va多湖桃子 / Vc大江慧
受講曲:シューベルト 弦楽四重奏曲 第15番 ト長調 D.887
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こういう、ものすごく柔らかいところで歌うのが難しいですね。
アウフタクトも歌いましょう。圧を減らし、弓を多く使う方が柔らかくなり、透明感が出ます。ppで小さく弾こうとすると弓が減りますが、逆です。
桃を傷つけないように、表面の毛を撫でる感じ。桃をかじらないで。
指板にどれだけ寄るかは細かく検討してください。
リズムは自分で作らず、刻みパートからもらうように。
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この楽章は変奏曲で、いろんなものを探しています。拍が均等にならないように。
アウフタクトで、次の音への期待を作り、その音でまた次の音への期待を作るようにします。半音変わるのか、全音変わるのか、三度変わるのかによってもちがう。長い音に向かって、引き込まれていきます。
今は、安定してきこえてしまっています。ミステリーが渦巻いているようにしたい。
メロディのVcは、そんな3人の中で、色々な方向に引っ張られるはず。
メロディが聞こえなくなるのがこわいので、Vaはvibやアクセントで発音だけしてあとは抜けば、メロディに被らなくてすみますよ。
Vcはドリーミーに。いわゆる「ソロなので頑張る」弾き方とは違う。
H-Aは、あなたの楽器のD線とA線の音色はかなり違うので、移弦はやめた方がいいでしょう。「おーあー」と別の母音になっています。
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全力で弾いていますが、物語は常に発展しないといけないのに、その余地がなくなってしまっています。
客に気付かれないためには、
ffで入っても、抜いて、次の音に入る前にまたffに戻すという手。
弓を半分とか少なくすることで進行性を出す手。
駒に近づくという手もあります。
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ffからsubito pにすぐ入りすぎです。力を抜く時間が必要です。
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ffが来るだろうなという雰囲気がにじみ出ています。ppが続くと見せかけてffにするのが作曲家の意図のはず。
練習方法
ppで続けて弾いてみましょう。
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終わりの音に意味が見えない。すべての音には物語と役割があります。
物語の内容は毎日違うかもしれないが、すべての音に意味があることは常に変わりません。
同じ音形が続くところが多いですが、同じように歌っていると、「また3拍目がふくらむな」とお客さんにも規定みたいに感じられてきます。
4人が揃っているのは大事ですが、和音が違えば方向が違うはず。
譜面が同じでも、4拍子で取ったり、3拍子、2拍子で取ったりして、規定を作らないようにしましょう。
講師プロフィール
ジュリアード弦楽四重奏団 Juilliard String Quartet
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1946年の結成以来今日に至るまで受け継がれる「声」と「魂」
この曲の講師
モリー・カー ヴィオラ Molly Carr, viola
アストリッド・シュウィーン チェロ Astrid Schween, cello