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DIC川村記念美術館の最終展示
千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館は国内屈指のコレクションと展示空間を持つ、美術通からも大変に評価の高い施設でした。個人的にも何回も通い、ここの基盤のコレクションを集めた学芸員のOBの方とも親しくさせていただいたこともあり、思い入れはあります。
閉館
その美術館がなくなるというのが昨年秋に発表されましたが、本業のインク事業が構造不況的にダウンし、経営が厳しくなったことが直接の原因です。投資家は手厳しく、
オアシスの最高投資責任者(CIO)を務めるセス・フィッシャー氏は12日、ブルームバーグの取材に対しDICと対話を続けているとし、美術館は場所が不便で「見学している人よりも警備員の方が多い日が目立つ」と述べた。アシンメトリック・アドバイザーズのアナリスト、ティム・モース氏は、創業以来の取引先である印刷業界が縮小を続ける中で、DICが事業と無関係の美術品を所有している理由はほとんどないと断じる。
とあります。資本主義の論理と美術館の論理は違うというのは私も思いますが、とはいえDICの本業がこれからも持続可能かどうかはわかりませんし、おそらく出版印刷業界は今後盛り上がることはほぼないため、いずれこうなるだけです。いずれは倒産と共に全美術品売却といったことになったかもしれません。それよりはマシです。
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