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来年観るべき展覧会は
現時点で、来年観に行きたいと思える展示をいくつか。多くの雑誌がそろそろ2025年美術展特集を組むのですが、主に地方の公立美術館では予算決めのあれこれでこの特集に載せられないことが多く、アンフェア過ぎるとは思います。
とはいえ美術が好きな方なら、面白そうな展覧会が控えているというだけでもメンタルケアの一助にはなるので、挙げるだけ挙げてみます。
①パウル・クレー展(愛知県美術館)
1月18日から。おそらく関東にも巡回するはずですが、ベルンのパウル・クレーセンターの協力の元に組み上げられていますし、愛知県美術館が関わる西洋美術の展覧会は水準が高いので期待しています。画商やその後の受容で孤独な画家のイメージがついていましたが、彼の交友関係から創作を見てみたらという切り口も面白いと思います。
西洋美術の巨匠系の個展は円安の日本でも可能なのか、ということも展示を見て考えます。
②ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ展(アーティゾン美術館)
3月1日から。20世紀を代表するのかどうかはわかりませんが、近代彫刻の概念に一石を投じたことは間違いない、独特の表現でお馴染みのジャン・アルプ。彼の個展はこれまでもありましたが、今展は妻でデザイナーのゾフィー・トイバーにも脚光を当てます。夫婦の共作も見られるとのことで、かなり面白そうだと思いました。
個人的にジャン・アルプが好きだという贔屓によるものではありますが、一番楽しみな展覧会です。
③スウェーデン国立美術館素描展(国立西洋美術館)
7月1日から。西洋美術館は春と秋に大きな展覧会を出して、夏は小企画をやることが一般的ですが、この夏はまた渋い企画だなと。素描展は実のところ西美が伝統的に得意としてきた分野(長いこと日本の西洋美術史研究はカラーの写真が自由に手に入らなかったこともあり、素描や版画の研究がどうしても中心だった)ですから、密度の高い企画になっていると思います。
④宋元仏画展(京都国立博物館)
9月20日から。宋元時代の仏画だけでやるのは地味そうと思っていましたが、徐々に情報公開されて牧谿の国宝が出たりと分かってきました。どうやら広い意味での「東洋仏教絵画伝統展」と思われるので、来年のベスト展覧会候補はほぼ決まりなのでは。世界でも京博にしかおそらくできないものでしょうから絶対行くべきですし、これを機に日本文化の国際性を再認識できるのではと思います。
⑤国際芸術祭「あいち2025」
9月13日から。アートの世界でいま最も影響力のある人物フール・アル・カシミ氏が芸術監督になっており、マイケル・ラコヴィッツやエレナ・ダミアーニ、アドリアン・ヴィラ・ロハスら有名どころの参加ということで、楽しみです。
あと直島新美術館の開館は気になります。
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