TDL二次創作「A twinkle of Mouse」9.魔法というもの
「ここは……?」
ひたひた、と雫の垂れ落ちる音が響く中で、ミッキーは身じろぎし、そっと寝ぼけた目を瞬かせた。そしてその時、それまでロバのように掠れていた声が、すっかり元通りに戻っているのを感じた。それに、耳も——尻尾も。辺りには、電気も、蝋燭もなかったが、月の光を思わせるような薄青く冴え冴えとした明かりが、彼のすぐそばから皓々と射し込んできていた。
「ミッキー。よかった、ようやく起きましたね」
声の方向を向くと、そこには、ふくらかな頬に、薔薇の蕾のような唇を微笑ませ