【大きな声】
夕食時、どういう訳か〈日露戦争〉の話になった。
僕の知識なんて知れているのだが、旅順203高地の攻囲戦や、乃木希典大将と奥様の最期の話などをしたのである。
すると、何かを感じたのか、家内がスマホをググって言うのだった。
「父さん・・やっぱり父さんが言った通り、乃木大将の2人の息子さんは戦死してるのね・・」
「そうなんだよ。んで、自分の息子が相次いで戦死した時、これで世間に申し訳が立つって言ったらしいぞ」
「なんで?」
「そりゃ、多くの部下を戦死させたことに責任を感じてたからだよ。自分の命令で沢山の兵士が戦死してるのに、息子が生きていることに申し訳なさを感じていたんだろうなぁ」
「そういうことなんだぁ」
「だから、英雄として凱旋した乃木大将だったのに、明治天皇に自決してお詫びする旨を伝えたんだよ」
「そうなん?」
「でも明治天皇に止められたんだ。で、結局は明治天皇が崩御された直後に自決したんだよ」
「・・父さん・・そう書いてあるわ。乃木希典が自決したあと、奥さんもその後を追って自決したんだって」
「そうそう、奥さんは後追いだったんだよな・・何れにしても、そんな、日本人が誇りを持てるような話は学校では教わらなかっただろ」
僕は腹が立ってきてつい大声を出してしまった。
「クソ〈日●組〉めがっ❗️」
すると家内が慌てて窘めるのだった。
「父さん❗️大きな声を出さないでよ❗️」
実は、ウチの隣には、この地区の〈日●組〉の元幹部が住んでいるのである。
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