【鮎の塩焼】 8 プチフルート 2022年7月9日 04:47 兄嫁や弟夫婦を呼んで、父と母の法事をした。其々が色々な手土産を持って来てくれたのだが、その中に〈鮎〉があった。〈鮎〉は釣り好きな弟からのお土産だった。釣ってから直ぐに冷凍保存してあるので、上手く解凍すれば、釣りたてのものと変わらないくらい美味しく戴ける。その夜、早速〈塩焼〉にして食べることになった。「塩をもっとしっかり振っとけばよかったわね。チョッと失敗だわ」などと言いながら家内が焼いてくれた。〈鮎の塩焼〉は、蓼たで酢で食べるのが普通なのだが、僕は蓼酢は使わない。塩だけのほうが〈鮎〉そのものの味が堪能出来るからだ。焼き上がった〈鮎〉の身を箸でほぐして口に運ぶ・・・「・・旨い❗️」家内も美味しそうに食べている。ところが、身だけを食べて腸はらわたを皿の横に残しているではないか・・・「S子~なんで腸はらわたを残すんじゃ❓️」「腸はらわただからでしょうに・・」「〈鮎〉は腸はらわたが旨いんだぞ」「そうなん❓️」「そうじゃ。苔しか食べてないから内臓も臭くないんじゃ。〈鮎〉から腸はらわた取ったら魅力半減だぞ」「そうなん❓️じゃ食べてみるわ」一口腸はらわたを食べた家内・・・「わっ❗️ホント美味しいね❗️苦味がなんとも美味しいわぁ」「なっ❓️旨いだろ❓️」「ホントに苦味が美味しいね❗️」〈鮎〉は〈香魚〉と呼ばれるだけあって、他の川魚のような生臭さがない。清流の石に付着している〈苔〉を主食にしていることから〈胡瓜〉や〈西瓜〉のような爽やかな薫りがする魚なのである。だから腸はらわたも嫌な匂いがしないのかもしれない。こうして〈鮎の腸はらわたデビュー〉を果たした家内なのであった。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #エッセイ #毎日note #イラスト #料理 #短編小説 #ラーメン #面白い話 #内臓 #鮎 #初物 #はらわた #鮎の塩焼 8