![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/9919745/rectangle_large_type_2_2adaa77c2a0c6149e24fbb534c749768.jpeg?width=1200)
K-155 マリア・スフォルツァ胸像
石膏像サイズ: H.52×W.47×D.25.5cm(原作サイズ)
制作年代 : 1470年頃
収蔵美術館 : 英国・ヴィクトリア&アルバート美術館
作者 : フランチェスコ・ローラナ(Francesco Laurana 1430-1502)
ダルマシア(現在のクロアチアの沿岸部 当時はヴェネツィアの支配下だった)出身の彫刻家フランチェスコ・ローラナ作の婦人像です。モデルとなっているマリア・スフォルツァ(イッポリータ・マリア・スフォルツァ Ippolita Maria Sforza 1446―1484)は、ミラノの支配者だったヴィスコンティ家の傭兵隊長フランチェスコ・スフォルツァの娘です。ナポリ王だったアラゴン家のアルフォンソ2世に嫁ぎ3人の子供を持ちました(その中の一人が石膏像「M-445中古代婦人半面」の“アラゴンのイザベラ”で、こちらの肖像彫刻の作者もローラナ)。
作者のローラナは、ナポリで彫刻家としてのキャリアをスタートさせ、アルフォンソ5世の戦勝記念の凱旋門の制作にも参加しました。その後は、南仏エクス・アン・プロバンスのルネ・ダンジューの宮廷に招かれたり、シチリア、ウルビーノ、マルセイユなどを転々とし、各地の支配者からの依頼を受けて彫像を製作しました。様々な土地を渡り歩き影響を受けたことで、ローラナの作品には実に複雑な要素が含まれています。アラゴン家の人々の肖像彫刻群にはモデルを理想化しようとする創造性が、また晩年のフランスでの作品には北方地域のリアリズムからの影響を見て取ることができます。
この石膏像のオリジナル大理石像は、かつてはドイツのベルリン美術館に収蔵されていましたが、1945年の第二次世界大戦による爆撃で破壊されてしまいました。オリジナル像から型取りされた石膏像が、英国のヴィクトリア&アルバート美術館、ロシアのプーシキン美術館などに収蔵されており、その姿を現代に伝えています。胸の中央に存在する窪みには、金属製のブローチ、ペンダントなどがはめ込まれていたと推定されています。
※かつてこの石膏像は「マリエッタ・ストロッチ胸像」と称して流通していましたが、それは誤りです。ストロッチ家は、フィレンツェの著名な銀行家の家系で、マリエッタ・ストロッチの彫像としては、ルネサンス期の巨匠デジデリオ・ダ・セティニャーノの作品が存在しています。
ロシア・プーシキン美術館収蔵 ローラナ作 マリア・スフォルツァの肖像(石膏像)(写真はWikimedia commonsより)