テンタティブにやりましょう
先日の役員会で監査役の田中さんが「テンタティブにやりましょう。」って仰いました。
僕の調査によると9割のボードメンバーがその場でググっていました(笑)(さぁ皆さんも!)
コロナで不透明になっている今、とっても使いやすいので多用しています。
確実なことをやろう!って事よりも、試しにやってみようよ!って事がとても大切だと思います。
失敗を許さない日本人気質
ベンチャーの世界では昔から言われている話です。
「海外では失敗した人間が再起して会社を成功させる事例が多くあるのに、日本にはそれが多くありません。」
なぜか?
僕が思うに日本人のまじめな気質が影響していると思います。
受験や運動の大会など、まじめにストイックに向き合う性質を持っている日本人。
そのまじめに向き合うベクトルが自分だけでなく、まわりにも向いてしまいます。
失敗したときに自分に向ける、原因追及の問いを外部に対しても向けるのです。
失敗というのは、本人が一番痛みを感じているのです。
会社の中でも、失敗すると誰が悪かったのか?という犯人探しの空気になることが多いです。
犯人探しの空気によって、本人だけでなくその場にいる人間も新しいことに挑戦する意欲を失いますので、とても注意が必要だと思います。
自分に対してまじめでストイックな人ほど、犯人探しをしたがるので、まわりとしては止めることもできず微妙な雰囲気になります。
反省はもちろん重要ですが、チャレンジを称賛する雰囲気の方がより重要だと思います。特に不透明な時代には。
不透明な時代の方が学びが深い
僕は2000年に仙台で創業し、2005年に東京で再度創業しました。(GCストーリー)
(仙台の会社も今もあります。)
GCについてはある程度ビジネスモデルが固まっていた状態で、資金を集め創業したので事業としての方向性は見えていました。
2000年の創業時からGCを設立するまでは、本当に色々な事を試したことを思い出します。インターネット上でもリアルでも思いつくものは全てやった気がします。
無駄も多かったけど、その中で非言語の理解したこともたくさんあります。
その時イメージしたビジネスモデルが、今でも生き続けています。
2000年といえばインターネットバブルの時代です。
誰もインターネットの本質を理解していませんでした。
先が見えない中、自分の頭で考えて理解した学びは本当に大きいものでした。
例えば、グーグルで検索して1位になることに価値があると理解している人はほとんどいませんでした。考えてみれば想像できることを誰も考えていない状況でした。
今またコロナ禍で、「誰も先が分からない時代」になっています。
高速で色々な事にチャレンジを繰り返すタイミングだと思います。
組織の話、ジョブ型とメンバーシップ型
コロナで確実に変わることの1つに「働き方」があげられると思います。
リモートワークが普及し、多くの人が今までと同じ働き方ではいられないと思います。
全ての人が考えなければいけない問いだと思います。
考えているでしょうか?
僕はこの変化の本質の1つは
「自由と責任」だと感じています。
個人としては、リモートで多彩な働き方が出来る事。選択肢が増えたこと。
という自由が広がりそうな気配があります。
しかし、企業という存在は「成果」が出なければ存在意義がありません。
最も成果が出る状態に従業員にルールを課すのが会社という存在の1側面です。
リモートが進み、個人が自由を求めるならば、会社としては直接的な「成果」によって責任を果たしてもらいたい。と考えざるを得ません。
これがジョブ型です。自由の代わりに仕事をしっかり成果でしてくださいね。という考え方です。この流れは確実に進むと思います。
一方で、合理的に「この仕事をしたからいくら。」というジョブ型の考え方は、西洋的で日本人には馴染みが少ないし、好みではないようにも思います。
建国に
「和を以て貴しとなす」と謳った日本は和の国です。
会社というコミュニティでも、合理的な業務の関係だけではなく、家族のような深い人間関係に美徳を持つ国民性だと思います。
だからこそ、力を発揮するのが「日本人的」であるといっても過言ではないように思います。この方向をメンバーシップ型と呼ぶそうです。
古き良き、強い日本企業はこの力を大切にしてきたと思います。
個人的には、日本人的なメンバーシップ型の要素をどのようにリモート主体の世界に融合させていくのか?というのが私たちの方向性だと考えています。
さて、皆さんはどうしたいですか?
もちろん正解はありません。
会社としては、個人の皆さんがどう考えるようになるのか?
個人の皆さんは、会社がどういう方向に向かうのか?
によって、どうすべきかが変わってくるようにも思います。
いずれにせよ、それぞれの会社、個人がスタンスを決めなくてはいけません。そしてそれは、自分の意志でしかないと思うのです。
コロナ時代の新入社員
弊社では3月くらいから段階的に在宅勤務を推奨しています。
4月に新入社員として入社した社員は会社で働くという経験をしていません。
就職したけど、会社に来たことがない。
彼らが何を考えているのか?根掘り葉掘り聞いていた(笑)中での気付きです。
一度も会社に来たことの新入社員の気持ちって想像できますか?
(コロナで不透明性が増すことの本質=このような各論で想定外の人の意識変化が積み重なる事。だと思います。)
聞いた結果、簡単にいうと
「コミュニケーションに不安になっています。」
具体的にいうと、
怒っているのか?いじられて馬鹿にされているのか?気にしていないのか?
これがいつものノリなのか?
気持ちの通じ具合がわからず疲弊しています。
直接会う>オンラインミーティング>電話>文章
この順番で行間のニュアンスは伝わりづらくなりますよね?
ノンバーバルなコミュニケーションで出来てしまった溝をどうやって埋めるのか?
メンバーシップ型の組織を標榜するには、ここが最大のポイントになるような気がします。
コミュニティとしては、心理的安全性を担保したうえでメンバー全員が内面の開示ができる雰囲気をどこまで作ることができるか?が大切な気がします。
新入社員の事例で考えれば、「上司は積極的に自らが自分の弱点を開示する事。」なんかが対応策になると仮説が立てられますが、
そう考えて実行できているか?古いスタイルに固執していないか?
テンタティブに動けているか?が重要だと思います。
ジョブ型とメンバーシップ型の統合
あらゆる場面で不確実なことが起きています。
合理性、効率性を追求するジョブ型
調和、関係性を大切にするメンバーシップ型
コロナの前の世界でも、そのどちらかに軸足を置きながらそれぞれの会社や個人がバランスをとって生きてきました。
しかし、コロナでリモートが促進したり、東京の過密な生活に疑問を感じることで、
合理的な視点、人間としての豊かさの視点、
そのバランスが崩れ、
新しいバランスの着地点を求めなければなりません。
それは個人にとっても会社にとっても同様に問われています。
不透明な時代に、新たなルールを自分の頭で考えることはとても価値のあることだと思います。
その為にはテンタティブに。
あまり気負わずに、考えて、色々な事を試してみることが必要だと思います。