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ChatGPTはSEOとコンテンツ制作をどう変えるか?

「Chat GPTによって◯◯がなくなる!」

といった話題に不安を感じたり、「もうええわ」とうんざりしていませんか?

何を隠そう、私自身もシノビクスというコンテンツSEOを中心としたマーケティング支援会社をやっており、「コンテンツ作成はAIに置き変わる」と散々言われているので、その動向に振り回されている一人です。笑

これからの数年、SEO業界のみでなく、さまざまな業界に大きな変化が起きてくると思います。

我々、SEO業界に従事する身として、

・AIを活用しながらも、人間だからこそできる独自の価値は何か?
・生産性が上がり、空いた時間を何に使うのか?
・何よりお客様やユーザーのために我々は何ができるのか?

といったことを、よりいっそう問い続けることになるのではないでしょうか。

Created by Stable Diffusion

この記事では、Chat GPTをはじめとした生成系AI(ジェネレーティブAI)が、SEOやコンテンツ作成の現場に与える影響を、当社の方針や現時点での課題を整理のためにも記しておきたいと思います。

かれこれ10年ほどWebメディアに携わり、キュレーションメディアの勃興や崩壊を間近で見たり、自社メディアや中小〜大企業まで数多くのウェブメディアに関わってきた経験はありますが、全部たぶんこうなるかも、なので外れても許してください。。

(当記事ではコンテンツSEO寄りの話が中心で、テクニカルSEO担当の仕事については述べていません。)
(コンテンツSEOとは、コンテンツマーケティングのチャネルの一つとして検索流入を活用する手法を指します。)

生成系AIがSEO業界やコンテンツ制作に与える2つの影響

まず、我々コンテンツSEOに関わる人が影響を受けることとして、大きく下記の2つがあると考えています。

①検索エンジンは生成系AIに代替されるのか?
②コンテンツ作成は生成系AIに代替されるのか?

①検索エンジンは生成系AIに代替されるのか?

SEOに取り組む企業にとって最も脅威なのは、人々が生成系AIを使い、その答えに満足してしまうと、回答の元となったウェブページが見られなくなってしまうことでしょう。

検索者がこれまでのような形で検索しなくなった場合、コンテンツの提供元であるメディアや企業、リスティング広告のクリックが減少する可能性があります。

昨年11月にChatGPTがリリースされたタイミングで、Googleは広告収入ビジネスモデルに打撃を与える可能性があるとして「コードレッド」を発表したことは記憶に新しいでしょう。

②コンテンツ作成は生成系AIに代替されるのか?

コンテンツマーケティングを行う上で、「良いコンテンツ」は必須です。このコンテンツ作成業務が、生成系AIに取って代わられると、「ライターや編集者の仕事がなくなるのではないか?」という不安を持っている人も多いでしょう。

どのような業務がAIに代替されるのか、そして我々人間の役割とは何か?ということを考えていく必要があります。

この記事では、主にこの2つの論点について現時点での考えを述べた上で、コンテンツSEOに従事する者として、自分の仕事とどう向き合っていけば良いのかを書いていきたいと思います。

①検索エンジンは生成系AIに代替されるのか?

結論から述べると、検索エンジンは代替されず引き続き広く使われるが、一部のクエリや専門分野における情報収集では、生成系AIに代替される可能があると考えています。

Chat GPTがバズっているとはいえ、2023年4月時点で日常的に使いこなしていると言える人は、エンジニアか一部の意識の高いビジネスパーソンにとどまっているのではないでしょうか。
多くの人にとって、Chat GPTは「聞いたことはあるが、間違った情報を提案してくるもの」といった状態かと思います。

現時点では生成系AIを使えるインターフェイス(Chat GPT、Bing AI)などがありますが、Googleにも生成系AI「Bard」が搭載されると、近いうちに生成系AIと検索エンジンはより併用されると思います。
実際にBing AIにはすでにAIが搭載されており、最新の検索結果の情報をサマライズすることができますね。

Bing AIに「SEOとは?」を聞いた時の回答

ここからは、いくつかの観点から、代替される可能性があるもの、されないものについて見ていきたいと思います。

生成系AIには、Googleに匹敵するエコシステムがない

検索エンジンが代替されるかどうかを考える際に、Googleのビジネスが成り立っている仕組みを理解する必要があります。SEO業界の著名人、辻さんの以下発言からヒントを得て、これをさらに言語化していきたいと思います。(間違ってたらすみません。。)

ChatGPTはWebサイトのトラフィックにつながらない、つまりWebサイト運営会社に利益をもたらさないので、企業として「活用しよう」という判断に至りません。エコシステムが成り立っていないんです。こういった観点から見ても、Google検索の代替手段にはならないでしょうね。

https://marketeer.jp/tsuji/

以下はGoogleのビジネスの根幹となる仕組みです。

Googleの成長ループ

Googleはより検索エンジンを使う人を増やす・維持するために常に検索結果に「欲しい情報がすぐに手に入る」という検索体験を改善しています。

これにより、検索エンジン利用者数が増えると、Googleの広告的な価値が高まります。そうすると、広告主が増え、多くの広告費を支払い、Googleの売上が増加します。Googleは、その売上を再び検索エンジンの開発に投資することで、検索エンジンを改善し続けます。

しかし検索体験を改善するために、Googleは自社だけではなく世界中のWebサイトから提供されたコンテンツを登録(Index)し、よりユーザーの欲しい情報を提供します。

それによって、Webサイトの運営者はアクセスを得て、自社のサービスや広告の売り上げが増え、さらにコンテンツを作成します。

これによって、さらに検索体験が向上することで、検索エンジンの利用者が増えるという2つのループが回っています。

Googleの成長ループ

日々、各Webサイト(メディア、ブログ、企業サイト等)の提供者がしのぎを削って、良いコンテンツを作っている背景として、上位表示されたときに「儲かる」という多大なメリットがあるからですね。

これは、Webサイトの運営者、ユーザー、Googleみんなにとって、メリットがある仕組みになっています。

では、生成系AIが検索の代わりに利用される未来が来た時に、このエコシステムはどうなるのでしょうか。

検索結果の代わりに生成系AIが作った回答が表示されると、せっかくウェブサイトがコンテンツを作ってもAIの参照元として使われ、Webサイトへのアクセスが増えないといった状況になるかもしれません。

そうすると、ユーザーは一定の得をするかもしれませんが、Webサイトの運営者からすると価値のある情報を発信しても、AIに吸い取られると感じてしまうと、情報を出さなくなってしまうでしょう。

そうすると、結果としてユーザーにとってもGoogleにとってもメリットがない仕組みになってしまいます。

こういった生成系AIは、Googleがこれまで築いてきたエコシステム自体を破壊してしまう恐れがあるのではないでしょうか。

Googleのエコシステムが破壊された場合


こうなると、サイバーエージェントの木村さんがおっしゃるように、「robots.txt disallow運動」(検索エンジン巡回してくんな)といった運動が起きてしまうかもしれません。

もしもGoogleがBardのようにURLをリストしない形でチャット型をリリースして世の中のウェブサイトをただのトレーニングセットとして使うのであれば、それはもうrobots.txt disallow運動をするしかないだろう。Bingもそうだけど。送客してくれるからクロールさせる意味があるのであり、送客もせずにクロールだけさせろってのは虫が良すぎるからな。

こういった、関係者全体が得をするシステムが新しい形に置き換わっていくのか、それに対してGoogleはどのように対応するのか、ということが注目されていくと思います。

検索エンジンと生成系AIでは、利用シーンが異なる

これまで、検索エンジンはさまざまな利用シーンで使われてきました。
その中でも検索の目的によって、生成系AIが向いているもの、従来の検索エンジンが向いているものに分かれると思っています。

まずは最も有名な、4つの検索クエリ分類で見ていきたいと思います。

1. Know(知る):情報収集に関するクエリ
例:「天気予報」、「ヘルシーなレシピ」、「人工知能とは何か」など
2. Go(行く):場所や店舗の検索に関するクエリ
例:「近くのコンビニ」、「おすすめの観光スポット」、「レストラン予約」など
3. Do(する):アクションに関するクエリ
例:「英語学習アプリ」、「ジムメニュー」、「DIYの方法」など
4. Buy(買う):商品やサービスの購入に関するクエリ
例:「カメラ価格比較」、「iPhone 購入」、「プロテインおすすめ」など
By Chat GPT

このクエリタイプを分類したときに、生成系AIが代替しやすいものを表にしてみました。

検索クエリにおけるGoogleとChat GPTの代替可能性比較

※検索エンジンと比較するために、あえてBing Chatは除き、GoogleとChat GPTの2つを比較対象としています。

では、クエリのタイプごとに代替性の観点から見ていきましょう。

「Know(知る)」「Do(する)」クエリでは、一部代替の可能性はある

この中でも「Know(知る)」「Do(する)」といった情報は、比較的Chat GPTでも得られる可能性はあります。

「Know」に分類されるクエリは、主に情報収集に関するものであり、Chat GPTでは最新情報には弱いですが、言葉の意味、ビジネス上の概念などが該当します。

「Do」に分類されるクエリは、主にハウツーに関するものであり、例えば料理の作り方やDIYの方法、植物の育て方などが該当します。このようなクエリも同様に、一般的な回答を得ることはできます。

ただし、両方とも2021年9月以前の情報を学習したものであるため、最新の情報を元に生成されるわけではありません。

「Go(行く)」「Buy(買う)」クエリでは、検索の方が早い

現時点では位置情報による情報提供までは行っていませんので、生成系AIによる代替は起きにくく、引き続きGoogleが使われる可能性が高いと思います。

また、特定のサイトに訪問したい場合、Googleでのブランド名検索(指名検索)が圧倒的に早く、このような目的が明確なユーザーにとってはいちいちChat GPTに質問を投げることはしないでしょう。

一方、特定のEC、予約サイトでは現時点でもChat GPTのプラグインとしての連携がスタートするようです。

例えば、Expediaでは「ハワイに行こうと思っているが、マウイかカウアイに滞在するべき?」などの質問を投げると、Expediaのデータを参照してChat GPTがプランを提案してくれます。

こういったプラングインが各ECサイトで出現すると、Buy、Goといったクエリでも一部代替される可能性があるかもしれません。

「考えるのがめんどくさい大多数の人」に、Googleは使われ続ける

検索者視点でのGoogleの価値は「いちいち考えなくても知りたい情報が得られる」という圧倒的なUIにあると思っています。
例えば「ラーメン」と検索するだけで、以下のようなリッチな検索結果が出るのがGoogleの特徴です。

「ラーメン」の検索結果

ラーメンと検索するだけで、

・近くのラーメン屋
・ラーメンとは何か
・ラーメン屋のランキング
・ラーメン二郎

など、が提示されます。

これにより、いちいち「何が知りたいか?」を考えなくても、知りたいかもしれない情報が目に入ることで、「そうそうこれが知りたかった!」と、欲しい情報にたどり着くまでの時間が短縮されます。

この点、Chat GPTは知りたいこと、やりたいことを明確にし、質問文を入力しなければ回答は得られません。こういった、「ちょっと考えないといけないひと手間」は、大多数の人にとって非常に大きなハードルになると思います。
この点、生成系AIを使いこなせる人は、「検索リテラシー」を身につけることよりもハードルが高く、マジョリティに普及していくかは懐疑的ではあります。

業界特化AIの誕生により、専門知識の検索には変化が生まれる

先述した「4つのクエリ分類」の中にも、さらに「専門性」の観点が加わると、また違った見方ができると思います。

特定の専門領域、例えば、金融、税理士や弁護士、医療やマーケティングといった専門分野において、専門家並みに回答してくれるAIの登場が加速していくと思います。

LayerXの福島さんのnoteに記載されているように、Chat GPTに活用されている大規模言語モデル(LLM)を活用して、独自のデータを学習させた専門AIが次々と誕生してくることになると思います。

独自のデータをためられる事業というのはAI時代において非常に価値を持ってくると思います。今後のプロダクト戦略においても「何のデータを抑えるか」は今まで以上に重要になると確信しています。

LLMがなぜ大事なのか?経営者の視点で考える波の待ち受け方|福島良典 | LayerX

こういったものが生まれてくると、経験のある専門家の知見や、過去の様々なケーススタディなどを学習したAIが、個別の課題に対して最善のアドバイスをしてくれるようになるかもしれません。

専門領域における情報収集は、人によっては「専門AIに聞いたほうが早い」となっていくかもしれません。

ちょうど先日、Bloombergが金融特化の「BloombergGPT」をリリースしたように、特化型の大規模言語モデルが増えていくと思います。

バイオ分野でも「BioGPT」というものがあるようです。

「AI専門家」の登場で恩恵を受けるのは、専門家自身

少し飛躍した話になりますが、我々マーケティングの仕事をやっている人間にとって、業界における著名人やさまざまな理論を学習させた「マーケティングAI」が生み出されるとどうなるでしょうか?

知識を提供するだけのマーケターやコンサルタントは、こういった「専門家AI」に一部代替されていく可能性はあると思います。

とはいえ、「AIから欲しい回答を引き出す技術」は万人が持っているわけではなく、今後AIを使いこなすための知識を持った専門家の需要は高まっていくと思います。また、専門家AIによって恩恵を受けるのは、実は専門家自身かもしれません。

以下の記事は今から10年前、freee創業間もない時期に創業者の佐々木さんに行われたインタビュー記事です。

『freeeの目的は会計事務所から事務業務を奪うことではない。公認会計士や税理士を非効率な業務から開放し、高付加価値な業務に専念しやすい環境を作ることだ。それによる日本の中小企業やベンチャー企業へのインパクトは決して小さくないと考えている。』

https://cpa-navi.com/archives/5749

佐々木さんがおっしゃるように、クラウド会計ソフトの誕生でそれまで記帳代行に時間を割いていた税理士や会計士の中には、freeeなどのソフトを活用することで、経営コンサルティングなどより付加価値の高い業務に集中できるようになった人もたくさんいるはずです。

実際、弊社のお付き合いのある税理士さんは、freeeを使いこなせる税理士として人気を博し、独立後に事業を軌道に乗せたと聞いたことがあります。

そのため、マーケターにおいてもAIを使いこなしていくことで、より価値の高い業務に集中できるようになるのではないでしょうか。

②コンテンツ作成は生成系AIに代替されるのか?

2つめの論点として、コンテンツの制作プロセスにどの程度生成系AIが利用されていくかを考えていきたいと思います。

生成系AIが作れるコンテンツは?

現在(2023年4月時点)において、Chat GPTを使ったテキストコンテンツ制作がどこまでできるのかを整理しておきます。
(この記事ではChat GPTを活用した記事の作り方の詳細は省きます)

AIだけでコンテンツを作るべきではない

大前提として、現時点では企業として発信する情報に”AIだけ”を使うことは推奨しません。

様々なリスクがありますが、代表的なものとして以下のようなものが挙げられます。

・情報に誤りがある
・著作権の帰属先が曖昧
・Googleから評価を下げられる

当然AIだけで作ったコンテンツは質が低くなりがちなので、以下のように一時的にアクセスを伸ばしたとしても、すぐに評価を落としてしまう可能性があります。

OpenAIがAIによって書かれたものなのか、人間に書かれたものなのかを判別するツールを提供しているように、「AIだけを使ったコンテンツ」は、Googleからも判別できているでしょう。

AIを使う際のマインドとして、

「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れてもゴミが出てくる)」

という言葉があるように、良い回答を得るためには良い情報を入力する必要があり、入力とフィードバックの繰り返しと、人間によるライティングも加えた上で最終チェックをし、ようやくそれなりのコンテンツができます。

生成系AIでは、一般論をそれっぽくまとめることはできる

まず、以下の文章は私がAIに見出しの構成のルールと、サンプルの記事の内容を学習させた上で、Chat GPTに記事のテーマを与えたライティングしてもらったものです。

この記事のテーマとほぼ同じものを書いてもらいました。
ライティング自体にかかった時間は10分ほど。合計で1900字程度の文章になっています。

https://docs.google.com/document/d/1ew0ob7qqIwreZHsAyQtfuJvSyhjuLAAgo90HhJhUWmg/edit

AIが書いた内容は、私が数時間リサーチして考えた結論とほぼ同じようなものになっており、 情報収集をして、それをざっとまとめる作業は圧倒的にAIの方が早いと感じでいます。

このような記事を書くには、実際に以下のようなプロンプト(AIに指示を出すときのテキスト情報)を入力する必要があります。

# 命令書
あなたは、プロの■■です。以下の制約条件から最高の●●を出力してください。
# 制約条件
・(例)重要なキーワードを取りこぼさない
・○○○
・○○○
・○○○
# 入力文:
<ここに入力文章>
# 出力文:

実際これだけだと全然足りませんが、興味がある方は「Chat GPT ライティング」などで検索いただくと、多くの動画や記事が見つかると思います。

コンテンツ作成者の業務はどうなるのか

では、私たちコンテンツ作成者の業務は、一体どの程度、生成系AIに代替される可能性があるのでしょうか。

繰り返しになりますが「AIだけで楽して良いコンテンツは作ることはできないが、何度も練り直したり、手を加えたりするとすごいものができるかも」というのが現時点での見解です。

代替されるかもしれない業務とは

コンテンツ作成者(ここでは記事やメルマガなどのテキストコンテンツ)が普段行っている仕事の内容を整理してみましょう。企業や役職によって異なるとは思いますが、おおむね以下の業務の中のどこかの範囲を担当していることがほとんどでしょう。

コンテンツ制作プロセスと、AIによる代替可能性の一覧(代替可能性がChat GPTが判断)

この業務の中のそれそれのフェーズで、生成系AIがどの程度活用できるかを見ていきましょう。

コンテンツ戦略設計

これはマーケティング戦略として、誰に向けてどのようなコンテンツを発信していくのかという、 コンテンツマーケティングにおける上位レイヤーの仕事になります。

戦略レイヤーの仕事では、商材の特性や実際の顧客の解像度を限りなく高めたり、ヒアリングや関係各所との調整が必要なため、AIだけで代替できるものではないと思います。

コンテンツ作成で考える必要のあること


戦略レイヤーでAIを活用できるシーンとしては、以下のようなものがあると思います。

・戦略を形にする際に抜け漏れなく適切な質問を引き出す
・カスタマージャーニーやペルソナの草案作成
・ペルソナごとのコンテンツ案だし

例えばプロジェクトがスタートする段階で、論点になりそうなことをサクッと1時間で調査、整理するといったことはできると思います。
このような使い方については以下の記事が大変参考になりました。

チーム編成・マネジメント

戦略が決まってもそれを実行する体制がなければ絵に描いた餅に終わってしまいます。そこで、マネージャーはディレクター、ライターやデザイナーを結集して、良いチームを作っていく必要があります。

この際に、以下のような業務が発生します。

・ディレクターやライターの採用
・コンテンツのクオリティーの管理
・いつまでに誰が何をするかのプロジェクトマネジメント
・チームメンバーが気持ちよく働けるための制度やルール作り

このような、「人をモチベートしながら一定の品質基準を保つ」マネジメント業務については、AIには代替されにくい仕事だと思います。

リサーチ/構成

調査に基づく構成の提案業務は、比較的AIが得意としている業務でしょう。例えば競合のコンテンツを参照して、以下のような構成を作ることは簡単にできてしまいます。

AI時代のコンテンツマーケター
1-1. ライティングAIとの共存
1-2. 人間とAIの役割分担

スキルセットの再定義
2-1. データ分析能力
2-2. クリエイティブ思考
2-3. 戦略立案力

AI活用の効果的な手法
3-1. AIとの協働プロセス
3-2. フィードバックシステムの活用

キャリアパスの多様性
4-1. 専門分野への深化
4-2. 縦割りから横断的な知識へ

ネットワーキングとコラボレーション
5-1. 他分野との連携
5-2. グローバルな視点

また、構成を直接作ってもらうだけでなく、思考の補助としても以下のような活用ができます。

・記事テーマに基づく具体的なペルソナの提案
・ペルソナの悩みや商品を購入する動機
・企画に対するアイディアの壁打ち
・競合には含まれていない情報の提案

しかし、現時点でAIができることは、公開されている情報から回答を生成することなので、どうしても一般的かつ中庸な内容になりがちです。

ウェブライダーの松尾さんがおっしゃっているように、企業ごとに異なる個別の前提を、プロンプトとして適切に提供しないと、良質なコンテンツを作るのは難しいと思います。

また、高度な専門性を必要とする情報や、誰かの個別具体的な体験談、自社の商材を購入してくれる人の特有の悩みもとに、構成を提案してくれることは期待できないでしょう。

ライティング

構成案に基づきライティングを行う業務です。このフェーズでは、本記事の前章でも述べた通り、一般論かつ中庸な内容であれば瞬時に作成できてしまいます。
とはいえ、独自性を持ったライティングもAIへの入力次第では可能です。そのためには、

・テーマと結論を決めた上で、主張を展開する
・自分がマネしたいスタイルの文章を入力する
・独自の切り口を入力する
・口調を指定する

などによって、同じAIが作成したコンテンツであっても、全く違うものにしていくことはできます。

例えば、「Chat GPTとライティング」のテーマであれば、「ふわっとした問いを投げるか、結論と使用する言葉を限定するか」で、ここまで内容が異なります。

①ふわっとした問いを投げた場合


「Chat gptとライティング」について、500字程度で展開してください。


②結論と使用する言葉を限定した場合


「ChatGPTを活用すると、瞬時に記事のライティングはできるが、いかに良い入力とフィードバックを繰り返すかで、アウトプットが全く違うものになる。」

という旨の主張を「garbage in garbage out」(ゴミを入れたら、ゴミが出てくる)という表現に触れた上で500字程度で展開してください。

校閲

できあがった文章を世の中に出す前に、品質を満たしているかをチェックする業務です。

企業が表に出す情報をAI任せにするのはリスクが高すぎるため、今後、AIが生成したコンテンツを人間の校閲担当者がチェックする業務が増えるかもしれません。

デザイン

インフォグラフィックや適切な画像を撮影する工程になります。こちらも、MidjourneyやStable Diffusionなどの画像生成系AIの発展により、一定レベルまでは人間に代わってクリエイティブを作り出すことは可能だと思います。

例えば以下はStable Diffusionが「Chat GPTがライターの仕事を奪う」というテーマを指定し、生成されたイラストです。

Created by Stable Diffusion

左にいるのがおそらくAIなんでしょうね。笑

画像生成系AIについては著作権の問題がクリアになるまでは、一般企業が活用するハードルがあると思います。

モニタリング・改善

数字の集計や示唆を出すといった業務は、AIが得意としている領域でしょう。
最近ではGA4のデータをChat GPTに学習させて示唆を出す、といった分析もできるようです。

正解にマッハでたどり着ける時代に、コンテンツ制作者はどうなっていくのか

生成系AIを使いこなすことは、仕事においてExcelやスプレッドシートを使うように一般的になっていくと思います。

このような時代で、コンテンツの作り手には、何が求められていくのでしょうか。
生成系AIによって「コンテンツが大量生産された未来」から逆算して考えていきたいと思います。

お役立ちコンテンツよりも、意味のあるコンテンツを

Chat GPTが出てくる以前にも、すでに役に立つだけのコンテンツはすでに数多く世の中に出ています。

例えば「目玉焼きの作り方」というコンテンツを作る際、どこよりも役に立つ情報で差別化するのは難しいでしょう。
このような「役に立つ争い」を抜け出す上での一つのヒントがあります。

次のフレームワークは、山口周さんの「役に立つと意味がある」のフレームワークです

https://diamond.jp/articles/-/210229

メルセデス・ベンツのAMGにしても、BMWのALPINAにしても、性能に優位な差はない中で、そこの部分に500万円を払うというのは、「意味的な価値」があるからですよね。その、意味的な価値を担保しているのが何かというと、でき上がった製品そのもののパフォーマンスよりも、「こういう作り方をしました」というプロセスなんですよね。

https://diamond.jp/articles/-/280390

コンテンツ作成についても同様で、役に立つ情報のみで差別化する事は難しく、その背後にある経験や思想といった意味的なコンテクストを語れるかが、より一層大切になると思います。

頑張ってコンテンツを作っても、結論は同じかもしれません。しかし、その結論であったとしても、それに至るには百人百様のストーリーがあり、それを語ることこそが、人間にしかできないコンテンツの作り方だと思っています。

だからこそ、「あんな経験をしたあの人が言うから大丈夫だ」といった信頼を積み重ねていくことが、より重要になっていくのではないかと思います。

価値あるコンテンツを作るには、身銭を切る

コンテンツマーケティング・インスティテュート(CMI)の定義によると以下の定義がされています。

コンテンツマーケティングとは、有益で説得力のあるコンテンツを制作・配信することによって、明確に定義・認識されたターゲット・オーディエンスを引き寄せ、獲得し、エンゲージメントを作り出すためのマーケティングおよびビジネス手法を指す。その目的は、収益につながる顧客の行動の促進である。

https://contentmarketinginstitute.com/what-is-content-marketing/

コンテンツマーケティングにおけるコンテンツとは、本来「有益で説得力があり、顧客に収益をもたらす行動を促すためのもの」です。

ここでポイントなのが「行動を促す」ということ。役に立つ情報を伝えても、相手が行動を起こさなければ、良質なコンテンツとは言えません。
マーケティング活動において、価値のあるコンテンツとは以下のようなものだと考えています。

・その商品を取り巻く特有のストーリー
・その人や企業が体験した失敗や成功の過程
・歴史や経験に裏打ちされた体系立った情報
・独自の分析を踏まえた新しい切り口の提案

私たちが日々の暮らしで、苦しんだり、悩んだりと、私たち一人ひとりが持っているオンリーワンのストーリーの語り手であること。こういったコンテンツの価値はさらに増していくと思っています。

そのためには、より経験したり、いろんな場所に行ったりと、体験に投資をしていくのがより重要になっていくと思います。

生産性を上げた先に、何がしたいのか

この問いは、AIを使いこなすこと以上に大切だと思っています。

例えば、リサーチや構成、ライティング案がAIによって爆速でできることの価値とはなんでしょうか。

ここ価値として、より多くのコンテンツを作成できる「量的価値」、空いた時間により質の高いコンテンツを作れる「質的な価値」があると思っています。

例えば、これまで原稿作成に追われていた人は、生成系AIに手伝ってもらって空いた時間を、独自取材や記事のUI磨き込み、海外ソースの調査などよりコンテンツの品質を磨き込むことに時間を使えると思います。 

私個人の思いとしては、「質的な価値」を高めていくことに時間を使えれば、より人と人、企業と人との幸せな出会いを生み出すコンテンツが増えていくといいなと思っています。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございます。生成系AIを取りまく動向は変化が早すぎて全くついていけていませんし、来月にはこの記事で書いたことが全て間違っていたとなるかもしれません。

もしお読みいただいた方の中に、

  • Chat GTPについて意見交換したい

  • 一緒に何かやってみたい

  • 弊社で働いてみたい

そんな方がいればぜひお声掛けください!

https://twitter.com/gayan_x


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