【悪役】帰ってきた素晴らしき悪役列伝 第17回 「ケフカ・パラッツォ」
ケフカの概要
ゲーム「ファイナルファンタジー6」及び「ディシディアファイナルファンタジー」シリーズに登場。
魔法による世界征服を唱えるガストラ帝国に使える魔導士であり、ピエロのような白いメイクと派手な衣装に身を包んでおり、ひょうきんでノリがよく冗談好きにみえるが、裏を返せば性格は非常に幼稚で残忍・卑怯・狡猾なサディストである。
部下の命を何とも思っておらず、自分の魔法の巻き添えにしたり、日常生活でコキ使っていることから人望は皆無である。
ゲーム序盤は黒幕であるガストラ皇帝の手先として登場し、プレイヤーを失笑に包むコミックリリーフの小悪党として登場するが、次第に徐々にただのコミックリリーフではない笑えない凶行を多く起こす。
例えばゲーム中に登場する侍の国「ドマ」と交戦状態になったケフカはドマの川に毒を流し、戦闘には関係ない市民を巻き添えにした虐殺行為を行う。
この虐殺によりカイエンを除き、ほぼすべての国民が全滅するという最悪の出来事に見舞われる。
また、フィガロ王国が帝国の支配から逃れた主人公ティナを囲っていると聞くとフィガロ王国の城に火をつけるなど、「卑怯」という一言では済まされない行為も働く。
一応ガストラ皇帝に表向き忠誠心を従っているが、誰もいないところでは「魔導帝国ケフカ」の設立を模索していたり、復活すれば世界が崩壊する三闘神の復活をもくろんでいたりと、完全にガストラ皇帝ですらもコントロールできていない。
さらに最終的には皇帝からの信頼も熱く、忠誠心の高い帝国軍の将軍レオを、身勝手な理由で暗殺してしまう。
この時、「皇帝にはお前が心の奥底から裏切ったと伝えておく」というセリフを言っていることから、レオ将軍の暗殺は決して皇帝の本位ではなかったことがうかがえる。
つまり、完全に皇帝の権威すらも私物化してやりたい放題をしていたわけだ。
ここまで書くと、知力特化の策略家タイプのキャラクターのようにみえるが、実はその魔法力はかなり高く、幻獣の集団に襲われてもあっさりと魔石に変えていってしまうほど高い能力を有している。
また最終的には、ガストラ皇帝を裏切り、彼を罠にはめて暗殺。
三闘神の力を暴走させて世界の崩壊を導いていくという最悪の行為を行う。
ちなみにケフカが世界を崩壊させた後は、封印された古代のドラゴンたちや、隕石を落としたりする魔法メテオや最強魔法アルテマを操る恐竜が街に解き放たれるなど、数多くの怪獣や魑魅魍魎が跋扈する終末世界に成り果てていってしまう。
世界崩壊のきっかけをうんだ三闘神はケフカにその能力を吸われ、ただの傀儡と化していた。
こうして、終末世界を支配する破壊神として君臨したケフカは大きなガレキの塔の上で破壊の光を遊び半分で放っては平和な街を崩壊させて破壊を楽しむという最悪の凶行を行っている。
そんなケフカも最終的には主人公ティナ率いる主人公連合軍の前に倒されてしまう。
果たしてケフカが倒されるときに何を考えていたのか不明である。
また番外編・パラレル作品ともいえる「ディシディアファイナルファンタジー」でもカオス陣営のキャラクターとして登場。
「FF9」のクジャを欺き彼を利用して悪堕ちさせたり、「FF2」のパラメキア皇帝からは「わたしと違う意味での策士」と称されるなど、かなり優遇された扱いとなっている。
ちなみに本作での声優はなんとあの千葉繁さんで、千葉さんの影響でひょうきんさと残虐性をさらにパワーアップしたケフカを楽しむことができる。
考察・ケフカは完全な被害者であったのか
では、巷でよく言われるケフカは「強制的に実験を受けさせられた被害者」あるいは「セリスを庇って代わりに受けた被害者」ではないかといった説についてであるが、個人的にはこれには少し賛同しかねる部分がある。
作中で語られているのは「シド博士による魔導士作成実験の初期の作品で、魔力は高いが正気を失っている」という点のみである。
それが強制的であったのか、あるいはセリスの代わりに受けたのかは不明である。
個人的には幻獣たちを魔石に変えていったときのケフカのセリフ「何と心地よい、満たされて行く」といったセリフから察するに、恐らくケフカは自身のパワーを向上させることが目的であり、最初から魔力を得る事そのものがケフカにとっての目標だったのではないかと考えている。
これはあくまで私の意見でしかないが、恐らくケフカは最初から魔力を得るために自ら志願し魔導士になる実験の志願者になったのではないだろうか。
と、なるとさらにケフカの信じられない過去がみえてきてしまう。
仮説・ケフカは皇帝の跡継ぎだった可能性
これはあくまで仮説でしかないが、それでもかまわないという人は見てみてほしい。
では、なぜガストラ皇帝はここまで好き放題にやってきたケフカを放置していたのか、それは単に魔力が強いからだけではないだろう。
そもそも最初から失敗作であれば、帝国の幹部として重宝するのは普通に危険であっただろう。
これはガストラが己の野心に溺れたが故の慢心…とみるのも簡単である。
だが、自分はここで視点を変えてみてみたいと思った。
それはケフカがライバル視していたレオ将軍の存在である。
ケフカはレオを心底嫌っている、しかし、レオの方はというと殺される寸前までケフカに対してはあまり憎悪をみせていない。
非道の数々を行うケフカに対して、騎士道を重んじるレオはもっと不快感をみせてもいいはずだが、あまりそのような面はみられない。
ドマの作戦時で指揮官を交代する時にも言う言葉は、「卑怯なマネだけはするなよ」という牽制程度のものだ。
少なくともレオの方はケフカを嫌ってはいないのだ。
この背景には、レオはひょっとするとケフカと過去に長い歴史があり、どこか友人あるいは兄弟としての同情を寄せていたのではないかと思われる。
もしかしたら、ケフカとレオはガストラ帝国の次を担うために幼いころから共に過ごしていたライバル・義兄弟の関係にあったのかもしれない。
考えてみればガストラ皇帝に妻子がいたような様子はない。
ガストラは恐らく養子としてケフカとレオを引き取り、この二人に帝国の跡を継がせようとしていたのではないだろうかと、自分は考えている。
しかし、実力の劣るケフカは周囲の人望も乏しく、できることといえば策謀を張り巡らせる程度であった。
そこで、魔導実験を受け、彼の精神は狂ってしまったのではないだろうか。
だとすれば、レオを嫌うケフカの憎悪は根深い物になっていく。
仮説・ケフカは何に狂ってしまったのか
では、ケフカはなぜくるってしまったのだろうか。
終盤における彼のセリフをみてみよう。
彼は自分が死ぬことをわかっているようなセリフを言っている。
さらに、ディシディアファイナルファンタジーのフレーバーテキストにはこのような文章がある。
さらにこのディシディアシリーズでは、ケフカはプレイヤーの存在を認識しているという設定が追加されている。
ここで、ケフカがなぜくるってしまったのか…これについて自分はある一つの結果に達した。
それは…
自分がゲームのキャラと知ってしまったから
また
自分の役割は悪役で、最終的に主人公に殺されてしまう。
という悲しい運命を知ってしまったからなのではないか。
彼によく似たキャラクターの一人として、バットマンのジョーカーが良く挙げられる。
ジョーカーは自身がコミックのキャラだと気が付いている時がある。
彼は自身の役割を楽しみ、観客に何かしらの感情を抱かれることを喜んでいる。
だが、ケフカはそうではなかったのではないだろうか。
点数
陰湿性:S (FFシリーズ屈指の大悪党の一人)
頭脳:A(時々抜けてはいるが、レオ将軍やガストラをはめるなど頭脳戦も冴えている)
強さ:A(幻獣の群れを魔石に変えていったり、最終的には三闘神すら吸収し破壊神として君臨する)
主張:B(ゲーム中でははっきりしないが破壊と殺戮が目的だともいえる)
人望:C(部下からの人望は皆無)
権力:A(ガストラ帝国の幹部)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?