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【エッセイ】てごねぱんのある暮らしから得たもの

みなさんは、夢中になれる趣味や物事ってありますか?私には、全くといっていいほど、そういったものがありませんでした。自分の中で好きなことはいくつかあるけれど、熱中するほど興味関心が高いわけではなく、そういうものがある人たちのことを羨ましいなぁと思いながら生きてきました。しかし、そんな私にも、比較的長く続けてこれた趣味ができました。それが、タイトルにある、てごねぱん作りです。
今日は、唯一の私の趣味について書いていこうと思います。みなさんの趣味についても、始めたきっかけなど、ぜひコメントで教えてください!
 

てごねぱん作りを始めたきっかけ

 てごねぱんを作り始めたのは、今から2年前、2020年5月頃です。
同年1月頃、北海道で新型コロナウイルスの感染者が確認され、その後、瞬く間に感染は全国各地に拡大し、4月7日に最初の緊急事態宣言が発令されました。不要不急の外出が制限され、自宅で過ごす時間が増えました。一人暮らしでしたので、友人は勿論、家族にも会えない状況。一体、何をして過ごせばいいのだろうか。そう思いながら、退屈な毎日を過ごしていました。同じような状態にあった人は、私以外にも多くいたのではないでしょうか。

 そんなときに、ふと思いついたのが、パン作りでした。当時住んでいたアパートの1階がパン屋だったせいも大いにあるのですが、

「パンはよく食べるけれど、作ったことは一度もないし、今後作る機会もないのでは?」と思ったのです。

なんで私は作らないんだろうとさえ思いました。そのぐらいの衝撃というか、気づきでした。

 早速、ネットで、てごねぱんのレシピを調べました。
確か、トマトジュースとチーズを使ったパンだったと思います。思っていたより少ない材料だし、発酵させる間は休憩できるし、成形も難しそうじゃないし、、、私にも作れるかも!と思いました。それに、とろけるチーズが美味しそうなこのパンを、ただただ食べたかったのです。食欲には勝てません。この時の私に、”作る” 以外の選択肢はありませんでした。こうして私は、てごねぱんに挑戦することにしたのです。

挑戦!初めてのてごねぱん

 強力粉に、砂糖、塩、温めたトマトジュースとインスタントドライイースト、これらを計って混ぜて、台の上でこねていきます。道具は揃えていなかったので、電子はかりやスクレーパーはなく、持っている道具で作り始めました。
 
   最初で最大の難関は、やはり、こねる作業です。
ベタベタと手につく生地と格闘しながら、伸ばしては戻す伸ばしては戻すを繰り返します。スクレーパーがあったらどれほど楽だったことでしょう。なくても大丈夫だろうと考えていた自分がいかに浅はかであったか、、、この経験があったからこそ、スクレーパーの有難さが身に染みて分かります。大袈裟でなく、本当に大変でした。それでもなんとか、まとまりが出るくらいには生地をこねて、形を整えました。ここに至るまでに少なくとも1時間は要したでしょうか。

 次は一次発酵です。洗い物は行いますが、40分ほどの休憩時間、と私は捉えています。35℃に設定したオーブンレンジの中で、生地が1.5~2倍に膨らむのを待ちます。ちゃんと発酵が進むかドキドキでしたが、しっかりイースト菌が働いてくれたようで、無事に膨らんでいました。

 続いて、分割・ベンチタイム・成形です。
ガス抜きしたひとまとまりの生地を4分割し、10分ほど寝かせます(ベンチタイム)。その後、生地を延ばしてチーズを包んで丸めて、上部に十字の切れ込みを入れていきます。欲望丸出しで大量のチーズを包んだので、表面がボコボコとした不格好な形になってしまいました。その点はちょっぴり気にしつつも、焼きあがった後、十字の切れ込みからチーズがあふれ出てくるのを想像してワクワクしました。

 残りの工程もあと少し。
成形後の生地を35℃のオーブン入れて二次発酵させます。焼成後に片づけ作業をしたくないので、二次発酵中は、勿論、粉まみれの台やボウルを洗ったり、道具を片付けていきます。
 二次発酵が終わったら、いよいよ焼成です!!
余熱したオーブンに、二次発酵した生地を入れます。焼き上がりが楽しみで、生地がだんだんと膨らみ、焼き色がついていくのを電子レンジにへばりつくようにして、じーっと眺めていました。15分程経ったら、ピーッピーッと電子レンジが鳴りました。ドアを開けると、パンの焼けるいい匂いがふわっと私を包みました。なんて幸せな匂いでしょうか。ウキウキして、軽くスキップしてしまうところでした。

失敗?成功?いざ実食!

 3時間にも及ぶ、てごねぱん作りがなんとか終わり、遂に、できあがったトマトチーズパン!

見た目はゴツゴツしているけれど、ちゃんと膨らんでいて、こんがり焼き色も付いています。想定通り、十字の切れ込みからはチーズがあふれ出しています。半分に割ると、トマトの香りがほのかにして、中のチーズが伸びて、一層食欲がそそられます。
口に入れるとトマトとチーズのうまみがじゅわっと広がっていきます。こねが甘かったせいか、生地の食感は少し硬かったのですが、美味しく食べられました!

 お店で売られているものと較べると劣りはしますが、初心者にしては上々の出来だったと思います。誰の力も借りず(レシピは他人のものですが)、自分の手で作り上げた上に、焼きたてのパンですから、それはもう本当に、胃も心も満たされるものでした。それに、好きな具材を好きなだけ入れられるという、てごねぱん作りの最高にして最大のメリットにも気づくことができました。これは、成功といってもいい気がします。

さいごに

 粉まみれになりながらこねて丸めて、そうして3時間もかけてできのは4~6個のパンだけ。けれど、自分が好きなパンを自由に考えて作ったり、パンが膨らむのをワクワクしながら待ったり、焼きたてパンの香りで幸せな気持ちになったり、、、何かをつくりあげるという経験が少なかった私にとって、それらはとても刺激的で、コロナ禍の憂鬱で退屈な日々がパッと明るくなったような気がしました。そして、てごねぱん作りという楽しみをこれからも大切にしていこうと思ったのです。
 これまで作ってきたパンについても、今後、noteで投稿できたらいいなと思っています。興味のある方がいたら、ぜひ読みに来てください。



 


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