はからずもプロトタイプ作成: ノールビンドニングのブーティ
前回、ブリティッシュエロイカを三玉買つてきてクラースブリタヒールのブーティを作り始めたと書いたが。
実はその前に手持ちの二玉で作りはじめてゐた。
もしかしたら二玉で足りるかなと思つたし。
しかし、この一つ目は小さすぎてものにならず、また、二玉では足りないといふことが判明した。
なんていふんですかね、かういふの。プロトタイプか。
ほどいてやりなほせばいいぢやないか、といふ向きもあるかもしれない。
でも、ノールビンドニングはほどきにくいのだつた。
タティングをしたことのある人なら「あんな感じ」といへば通じるだらうか。
ノールビンドニングとは「針でつなぐ」といふ意味だ。
糸のループに別のループをひつかけるあみものとはわけが違ふ。
だからあみものは糸を引くとかんたんに糸がほどけるが(そしてそれがまた欠点でもあるのだが)、ノールビンドニングは糸をループにくぐらせてほどいていかねばならない。
ちなみにタティングとノールビンドニングとでどちらがほどきにくいかと考へてみた。
糸が細い分タティングの方が大変といふ面もあるが、ほとんどの場合毛糸を使ふノールビンドニングは毛糸のけもけもで糸同士が絡みやすくほどきづらい。
どつちもどつちといつたところか。
ところで、なぜこのプロトタイプになつてしまつたブーティは小さくなつてしまつたのだらう。
考へてみるに、一つにはおそらくやつがれの手がきついのだらうと思ふ。
『はじめてのノールビンドニング』に掲載されてゐるほかの作品を作つても思ふ。
指定の目数では指定の大きさにはならない。
ベレー帽は増やし目をするのは九段目までで十段目から減らし目をすると指定されてゐるが、これまで三つ作つて三つとも十一段目か十二段目くらゐまで増やし目をしてゐる。
使ふ毛糸が指定よりも細いといふことはあるかもしれないが、ノールビンドニングは基本的にはゲージが各人の親指の大きさに依存するといふから、糸の太さではそんなに変はらないんぢやないかと思ふんだよね。
そしてもう一つは、作り方の特性を理解してゐなかつたためだらう。
はじめて作るものだから、作り方をよく読んで作りはじめたことは確かだけれど、それだけでは不足してゐる部分があつたのではないかと思ふ。
クラースブリタヒールのブーティは、まづつま先部分を作る。
カップ状につま先を作り、そこから足の裏部分を作り出す。
カップの下の真ん中から細く長く目を作り足していく。
ちよつとおたまのやうな形になる。
この作り出す部分の長さが足りなかつたんだらうなと考へてゐる。
加へて手もきついやうだしね。
そんなわけで最初に作つた片方だけのブーティはいまは毛糸入れになつてゐる。
フェルト化して小物入れにしてもいいかもしれない。
いづれにしても、このプロトタイプのおかげでクラースブリタヒールのブーティを完成させることができるのだつた。
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