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歴史時代小説を書くために  其の一(用語と背景)

 初めての投稿になります。
 長年休んでいたのですが、数年前から再び小説を書くようになりました。

 ジャンルは歴史時代小説です。
 以前は、SFやミステリを書いていました。ハヤカワや講談社等に応募しましたが、二次を通過出来ませんでした。

 なぜ今、歴史モノを書いているかというと、まず単純に歴史のエピソードやビジュアルがとても好きだったこと。古記録にある人物の行状や事件の経緯など、とても面白くロマンを感じられて、胸躍るものがあります。また、歴史ものは現代のモラルや常識、皆が共有している「現実」に縛られないので、ファンタジー的な自由さがあります。(逆に史実に縛られる部分もありますが、現代世界にはないユニークなキャラ・エピソード・背景描写が可能です)

 さて、標題にありますように、歴史時代小説を書くにあたって、まずわたしが取り組んだことは、先人の知恵に学ぶことでした。通常、歴史時代小説は、現代小説とは異なるで筆法で書かれています。今の言葉ではなく、物語の舞台となる時代の(雰囲気を持つ)単語、言い方で叙述する必要があります。
 そこでわたしは、司馬遼太郎、吉川英治両先生の作品から、現代には無い事物や概念、言い回し、使わない単語等を選び、ノートに書き写すことから始めました(憶えるために手書きでやりました)。研究対象とする時代は先行作の少ない室町時代を選び、司馬さんは「妖怪」と「箱根の坂」、吉川さんは「私本太平記」をテキストとして、中世後期について学習を進めました。

 一例を挙げれば、下記のような言葉です。
一味 惣村、馳走、厄介、冠者、遁世、草莽、寄親、寄子、器用、綺羅、姫御料人、水仕、番匠、塗椀、名子、瓶子、臥床、湯漬、伏屋、塔頭、雑仕、有徳人、朱漆の高坏、蔀戸、化粧、耳だらい、唐物、絹一疋、生絹、萌葱、
などなど、その他たくさん山ほど、読みや意味を、学びました。それぞれの意味を知ると、その時代の背景が理解できて、とても興味深いです。

 また、言葉だけでなく、歴史的状況なども学べました。
「南北朝の後、惣村が結束して衆議し村掟を定め、一味神水を飲んで同心の誓いを新たにする場所は、村の鎮守の杜であり真宗の坊であった」
とか、
「長柄一筋かついで裸形、裸足で莫迦笑いしながらのし歩く足軽どもや郷村にあって喰い肥りした国人どもが威もわからず儀もわからず身ごなしの躾もないまま衣装ばかりは美々しくまとって都大路を歩く姿よ」
とか、これも時代によって全く違いますが、とても面白いです。

 また、時代劇でよく見かけるものでも、まだその時代には存在していない物や行動(旅籠とか、布団とか、あんどんとか)があったりもするので、そのへんも注意深く配慮しなければなりません。

 以上のような言葉や背景を、物語世界における常識として頭に置いておけるようにしよう、というのが、第一段階の準備でした。

 今日はとりあえず、ここまでです。ありがとうございました。
 


 

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