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043持ちたいけど持ちたくないこだわり

「こだわり」ってことばがポジティブに使われ出してどれくらいになったろうか?いつも何か違うことばがあるんじゃないかな〜と思っている。何か凝ったものを紹介するシーンでやたら多用されているのを聞くとちょっと引っかかっちゃうんだな。古い人間なのかな〜自分も、なんて思っちゃうこともある。

ぼくの記憶ではクヨクヨ考えこんでいるときにとっぱらうことで次のことに行ける、そんなつっかえ棒みたいなものが元々の「こだわり」だったような気がする。滞ってるやつに「いつまでもこだわってんじゃねぇ〜よ!!」って。はずせば解放されるもの。
いつどこでそんなネガティブな印象がポジティブになったんだろう?たぶん思うにオタクという存在が明らかになって、その考え方の価値が認められ気がつくと彼らが持っていた「こだわり」というものの陰が陽になってたからかな?

よくタレントさん同士が会話の中で食レポがうまいとか下手とかって言い合うことがあるが、ぼくにはそのうまさに関してはよくわからない。食レポ聞いてそういう感じか!と同じ感覚になったことはあまりない。ただ残念ながら下手なのはすぐにわかる。どう聞いても語彙が貧弱。今だと勝手に盛り上げようと「めっちゃ!」などを連発して本人のリアルなものが何も伝えられないシーンはいくらでもある気がする。そういったよく使われる便利なことばって数々ある。

同じような感じで「こだわり」もそういう風な便利なことばのひとつに思えちゃうんだよね。
厳選したり、時間をかけたり、手間をかけたことはわかるんだけど、そいうものが表に、しかも最初っから出してしまうとどうも違うんじゃないかな?と思う。なんか初っ端に仕掛けを知らされた上で見る手品みたいに思っちゃう。

全てを否定するとつい年寄り臭くなっちゃうけど、「こだわり」ってそれぞれの人やものが持っているものかもしれないけどやたら表に出すのは勘弁してもらいたくなる。「こだわり」を持つとすればつくった本人ではなく、それを味わってくれる人がしっかり感じてくれて表現されることばのひとつなのかと思う。
食レポではないですよ、デザインでも、全てにおいて。

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