『ラチとらいおん』入園＆入学のお助け絵本
『ラチとらいおん』
文・絵／マレーク・ベロニカ
訳／とくながやすとも
福音館書店
この絵本には大変お世話になりました（笑）
長男が幼稚園へ入園して暫く、なかなか園に馴染めないでいました。
朝は元気に家の玄関を出るのですが、いざ幼稚園に着くと途端にしり込みしてしまうのです。
新しい友だちができることを楽しみにしていたし、入園前から知っている友達も何人かいました。
先生もベテランで任せて安心といった信頼感があり、長男も馴染んでるようでした。
それなのに幼稚園の玄関に着くと、保育室に入る勇気がでないのです。
今までの家庭での雰囲気とは全く違う環境に、どうやって溶け込めばいいのか、戸惑っている様子でした。
長男が初めての子どもという事もあって、母親である私も緊張していたのかもしれません。
親子分離が上手くいかず、もじもじしている長男を励ますのに、辛く歯がゆい思いをしていました。
そんな「明日は大丈夫だろうか？」と、朝が来るのが憂鬱になりかけてた時、やっとこの絵本に出会いました。
物語はなんともさえない、ラチという名前の男の子が主人公です。
１ページ目から「せかいじゅうで いちばん よわむしでした。」と作者に宣言されてしまうほどの情けなさです。
そんなラチの元に小さな赤いライオンが突然現れました。
そのライオンはラチが期待していたのとは反対の、小さくて弱そうな見かけをしています。
でも、そんな見かけとは大違い。心身共に強いライオンはラチの心の支えになり、どうしても自信が持てなくて「自分は弱虫だ」と思い込んでいるラチを励まし鍛えていきます。
そして、今まで恐くてどうしても出来なかったことが次々と克服できるようになりました。
頼もしいライオンが、常に自分のポケットの中にいてくれるという安心感に支えられ、次第に周りの友だちとも打ち解けていきます。
そしてラチにとって、もう自分は必要ないと判断したライオンは、ある日突然、別れの置手紙を残して去っていきました。
ライオンからの手紙を読んでいるラチは涙を流しています。
友達との別れは辛いですものね。
でも、これでまた弱虫に逆戻りなんかしませんでした。
なぜなら、ラチは自分のことを自慢に思ってくれているライオンの存在を、遠く離れていても感じることができるし、何よりラチ自身、勇気のある立派な飛行士になる夢を持っていたのですから。
私は当時、長男にこの絵本を朝幼稚園に出掛ける時と、夜寝る前に読んでやっていました。
そして、フェルトで小さなライオンのマスコットを作ってカバンにぶら下げてやりました。
すると、幼稚園の玄関で「またね！」と私に手を振り、フェルトのライオンを握り締め、保育室に真直ぐ歩いていく長男の姿がありました。
長男もラチのように、自分のことに自信が持てなかっただけなのだと思います。
「何事も気の持ちよう」なのですが、消極的な性格の長男には絵本という魔法の威力は絶大で効果抜群でした。
長男に続いて翌々年、
幼稚園に入園した次男が、この絵本の魔法にかかってくれましたよ（笑）