『月夜のみみずく』父の背について歩く、銀世界の森の中
今日は今年一番の冷え込みで、昨日から雪が降っていました。
私が住む地域では年に数回積もる程度で、雪国のように雪掻きをするほどまで積もったりすることは滅多にありません。
それでも子どもたちが幼い頃は、雪が降ると大喜び。
うっすら積もった雪をかき集めて雪合戦したり、小さな雪だるまを作ったり。
学校へ登校する時も、雪のある場所をわざと歩いてみたりと、雪の感触を存分に楽しんでいました。
そして夜寝る前の読み聞かせで、雪の日は必ずこの絵本『月夜のみみずく』が登場します。
この絵本の中の雪景色は、子どもたちが知っているようなものとは全く違っています。
どこまでも続く銀世界、頼りはお父さんが持っているランタンと月の明り。
シーンと静まり返った森の中は冷たく、聞こえてくるのは自分の息遣いと雪の中を歩く音だけ。
一足先に経験していた兄の言いつけを守って、怖くても黙って父親の背中について歩きます。
本当は兄と一緒に行きたかったフクロウとの対面。
でもきっとまだ早いと言われて、お預けとなっていたのでしょう。
女の子の、ようやくお父さんと一緒に森に行けるというワクワク感と、憧れの兄と並べたような誇らしさと。
そしてフクロウとの対面を果たした場面の驚きと感動が、絵本の詩を通じてひしひしと伝わってきます。
読後の子どもたちは、ベッドの中にいながら森の中でフクロウを垣間見たような気分で、黙って余韻に浸っています。
自然に対する畏怖の念と、野生の動物たちへの興味が心の中に湧いてきているようでした。
この絵本の物語は、作者のジェイン・ヨーレンの子どもたちの実体験を描いたもので、父と子どもたちのふれあいを描きたかったと後に語っています。
実体験だからでしょうか、実話の映画を観ているような感覚になったり、その場に居合わせたような不思議な感覚に浸れる秀作だと思います。
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