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『賢者の贈り物』

『賢者の贈り物』
作:オー・ヘンリー
絵:リスベート・ツヴェルガー
訳:矢川 澄子
出版社:冨山房

<内容>
若くして夫婦になったジムとデラは、貧しくも互いを愛して暮らしていました。
ジムの宝物は祖父から父へと代々伝わる金の時計、デラの宝物はその美しい髪の毛でした。
クリスマスの前日、デラはそれまで生活を切り詰めてきたにもかかわらず愛する夫にプレゼントを買うだけのお金がないことを嘆き、自慢の美しい髪を切ってかつら屋に売ってしまいます。そしてそのお金で、ジムにぴったりのプレゼント -金の時計につけるプラチナの鎖- を買ったのでした。
ジムは家に帰ると、デラの姿を見て・・・怒りでも、驚きでも、不満でも、恐怖でもない、複雑な表情をしました。ジムがデラに用意したプレゼントは、デラがあこがれていた、美しいくしだったのです。
そのくしがとかすべき美しい髪はもはやありません。
それでもデラは感激し、ジムにプレゼント-金の時計につけるプラチナの鎖-を渡します。
ところがジムは、デラにくしをプレゼントするために、自慢の金の時計を売ってしまっていたのでした。

絵本ナビより


 この短編小説はオー・ヘンリーの代表作で、クリスマスの時期にはお馴染みなので、ご存じの方も多いと思います。
 私はこの物語を高校生の頃、初めて知りました。英語の授業の教材になっていたからで、英語が苦手だった私は四苦八苦したのを覚えています。
 子どもたちが中学校に進学した頃、書店でこの絵本を見つけて購入しました。文章が多く、小さな子どもたちへの読み聞かせにはちょっと不向きですが、読書感想文の宿題などにはお勧めです。

 「賢者の贈り物」は原題を"The Gift of the Magi"
 このMagiとは、キリスト教での『マタイによる福音書』(2章1節~13節)に登場する占星術の学者たちのことを指します。
 賢者は星を見てキリストの降誕を知り、東方から贈り物を持ってやってくるのですが、母マリアと共におられた幼子に「宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。」とあります。

 この物語りに登場する貧しい夫婦は、お互い相手の事を想い、大切なものを失うという犠牲を払いながら、それぞれ愛する人が喜ぶ贈り物を用意しました。それは悲しいすれ違いになってしまいましたが、作者はこの物語の主人公ふたりに「彼らこそ本当の当方の賢者なのです」と言っています。

 私は今年も家族にクリスマスプレゼントを用意し、それぞれに贈りましたが、この物語の夫婦のように「賢者」と呼ばれるような奉仕の心で用意をしたわけではありません。今必要なものか、金額的に妥当かなど、様々な計算が隠されたプレゼントです(笑)
 それでも喜んでくれれば私も嬉しい。本質的には心の距離が傍にあって、互いに大切な存在だと思えることが重要なのだと感じています。

 今日はクリスマス。
 家族や大切な人への贈り物を、24日のイヴの日に交換する人も多いと思いますが、イエス・キリストの降誕祭は12月25日です。
 宗教や信じるものはそれぞれで違うと思いますが、せっかくクリスマスイベントを毎年楽しんでいるのですから、今日はイエス・キリストの誕生日をお祝いしましょう。
 



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