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『とべバッタ』自由に行きたい方へ飛んで生きる

『とべバッタ』
絵・文:田島 征三
出版社:偕成社

恐ろしい天敵から身を守るため、小さな茂みに隠れすんでいたバッタが決心して、大空に向かって飛んでいった。力強く痛快な絵本。

この絵本はサラリーマンに感動と勇気を与える絵本として知られています。
もちろん、成長途上の子どもたちにも人気が高い絵本の中の一冊。

物語は、いつも草むらに隠れている一匹の気弱なバッタが、ある日大きな決意をするところから始まる。

こんなところで おびえながら いきていくのが、つくづく いやになった

バッタは勇気を振り絞って自分の殻を破り、大きな石のてっぺんで悠々と日向ぼっこを始めたのだ。
すると途端にヘビや蜘蛛や鳥に狙われ始めた。
バッタは生まれて始めて、死に物狂いで敵と戦い、生まれて始めて自分自身の4枚の羽で飛んだ。

そんな成功も束の間、力尽きたバッタに、今度は蛙や蝶やトンボたちの心無い中傷にさらされる。
でも自分自身を獲得したバッタには、そんな言葉は届かない。
自由に、行きたい方へ、自分の力で飛べる喜びと自信に満ち溢れている。



私も田島征三さんの力強いタッチで描かれたバッタが好きです。
太い筆使いで躍動感たっぷりに描かれたバッタが、ページが進むに連れて大きく感じるようになるのも好きなところ。
バッタの逞しい太もものバネが、高く遠くに飛んでいく様を安易に想像させてくれる。
読み終わった余韻は、夢と勇気と希望を抱かせるもので、胸を熱くさせてくれました。



この絵本の奥付のページには、緑と朱色の2匹のバッタが顔を付き合わせるように描かれている。
私は人生のパートナーを得たバッタの結婚式にみえました。
それは正しく第2の人生のスタートなのだと思います。


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