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住めば都を考える 絵本『まちのねずみといなかのねずみ』

『まちのねずみといなかのねずみ』
作:イソップ寓話
絵:ポール・ガルドン
訳:木島 始
出版社:童話館出版

<あらすじ>
ある日、いなかのねずみは、まちのねずみに誘われて、町へでかけていきます。町がどんなにすてきなところか、まちのねずみが自慢するからです。確かに、まちのねずみはりっぱなお屋敷に住んでいます。でも、いつも、人間や飼いねこにびくびくしてばかり。食事も、チーズやベーコンなど、いなかにはないものだけれど、人間の残り物だし、それだって、ありつくためには命がけ。いなかのねずみは、いなかに帰ります。いなかは、ねずみにとって自然そのもの。

童話館出版 HP


イソップ寓話の有名な物語なので、この『まちのねずみといなかのねずみ』のストーリーは、皆さんよくご存じだと思います。
田舎のネズミは喧騒で危険がいっぱいな都会にはなじめず、早々に田舎に帰っていきました。
慣れない地では、御馳走も楽しめなかったようです。

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もう30年以上も前のことですが、私は大阪でOL一人暮らしを満喫していました。まだ若かったので、都会の賑やかな生活は刺激があって気に入ってました。
都会には人がたくさんいるにもかかわらず、人間関係が希薄でマンションの隣の住人と言葉を交わしたことはありませんでした。
ただこちらから求めていけば、たくさんのコミュニティがあり、自分に合ったグループで楽しく過ごすことができます。
人口が多いと、ごちゃごちゃと人ごみで息苦しさを感じる人もいるでしょうが、様々な趣味のサークルやグループがあるのも都会の良い所だと思います。
都会の喧騒の中でも、孤独にならずにいるには、やはり自分から積極的に動くということが必要に思います。

結婚してからは田舎暮らしになったのですが、こちらでの生活は、人口が少ないせいもありますが、自分にしっくりくるコミュニティを探すことが難しいように思います。
町内会とか、子ども会とかも繋がりが濃く、周りに自分を合わせるのに必死で、私の場合、少し窮屈に感じることが多かったです。
外に居場所を求めても、世間が狭いので、初対面の人だったとしても、知り合いをたどっていくと人間関係が繋がってしまうなんてことが多々あります。
それが安心になる部分もありますが、ストレスに感じる人も多いように思います。

『住めば都』と言いますが、都会の生活を好むか、田舎の生活を望むか、人によって都は変わります。
最近では、田舎の暮らしに憧れて、都会で生まれ育った若者が地方へⅠターンしているというニュースを良く見聞きします。
また田舎の若者が仕事を求めて都会に巣立って行くのは、昔も今も変わらないように思います。

私の感覚では、様々なものを吸収して成長する時期にいる若者は、都会の方が視野が広がり経験も積めるので、都会で自分の可能性を見つけるには良い環境が揃っていると思います。
そして家庭を作って子育てするようになると、やっぱり自然を身近に感じられる田舎の方がのびのびと育てられるように感じます。

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さて、この絵本を子どもたちに読み聞かせした時の反応は「やっぱりね」と悟った表情をしていました。
好奇心旺盛な子どもたちでも、危険を感じながらご馳走を食べるスリルより、のんびりゆったりとした田舎の生活を好むのだなと。
安心が一番という事なのでしょう。
『住めば都』は、住む人間が心地良い環境を自ら作る努力をすること。
これに尽きると思いました。



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