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映画『ザリガニの鳴くところ』

『ザリガニの鳴くところ』
2022年のアメリカ合衆国のドラマ映画。
監督:オリヴィア・ニューマン
主演:デイジー・エドガー=ジョーンズ
原作者:ディーリア・オーウェンズ

<ストーリー>

ノースカロライナ州。チェイスという青年が湿地で死体で発見される。
19メートルある物見やぐらの下に死体があったため、警察は転落したと考えた。しかし後頭部に傷を負っていたりチェイスの指紋や足跡がまったくない点など不審な点が多い。
保安官は湿地に住むカイアという女性を逮捕した。カイアは湿地で一人暮らししていたため湿地の女と呼ばれて町の人からさげすまれていた。チェイスと付き合いがあったことから彼を殺したと疑われたのだ。
カイアを小さい頃から知っているミルトン弁護士は彼女を助けることにする。しかしカイアはなかなか心を開かない。果たして真相は…?

暇つぶしに見始めた映画でしたが、次第に物語に引き込まれていきました。
時代背景はアメリカ南部ノース・カロライナ州、差別撤廃を求める公民権運動が活発になってきた1950年代から'70年あたり。

最初の頃は、湿地の少女カイアのヒューマンドラマだと思って見ていたのですが、次第にサスペンス色が強くなっていきます。
テーマも多彩で、波乱万丈のカイヤの人生は家庭内暴力や差別、そして恋愛ドラマあり殺人事件ありで、あっという間の2時間でした。

まずカイヤの生い立ちは、父親からの家庭内暴力で学校へも通うことができず、差別の対象となっていきます。
母親や兄弟たちも父親の暴力に耐えかねて、カイヤを一人置いて出て行ってしまいました。
その後はついにその父親も、カイヤを見捨てて町を出ていきます。
カイヤはまだ幼い少女でありながら、湿地でムール貝を取り、町の雑貨店で売って、一人で生計を立てて暮らしていきます。

孤独な暮らしの中でも、湿地の生き物が心のよりどころとなり、湿地で知り合った少年のテイトと雑貨店の夫婦だけが優しくカイアを見守っていました。

1960年代が時代背景にあるので、もしかするとこうして幼い子供でも、たった一人で生き抜いた人もいたのかもしれないが、広大な湿地という大自然が舞台にある中で、幼い少女にはあまりにも理不尽で孤独が深いです。

この映画は最後まで観て欲しいです。
最後に真実があらわになり、少女の孤独と裏切りや暴力にさらされたことへの報復を思い知ることになります。
それはあまりにも残酷な世界からの解放を、必死に叶えた少女の崇高な闘いであり、そこには冷静な計算があったはずだと。
あるいは、厳しい湿地の自然から学んだ護身術だったのかも知れない。
エンディングは、カイアが生涯を通じで生活してきたノースカロライナの美しい湿地の風景が印象に残りました。



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