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【ナザレ】クリスマスの本場、イエス・キリストが育った街”Nazareth(ナザレ)”へShort Trip

シャローム。テルアビブ在住のがんちゃんです。
12月も下旬に入り、世の中はすっかりクリスマスモードですね。
イスラエルはユダヤ教徒が7割強の国なので、街によってはクリスマスの雰囲気とは無縁なんですよ。
私が住むテルアビブも、クリスチャンが多く住む地域以外は例にならってそう。

ナザレにて。

そこで今回は、イエス・キリストが育った街”ナザレ”にクリスマスを堪能するShort Tripに行ってきた際のことをお届けします。

YouTube→『Christmas in Nazareth』

☆イスラエルの基本情報はこちらをCheck!
これを読めばイスラエルを語れる〜入門編〜
☆イエス生誕の地”ベツレヘム”についてはこちら
①聖誕教会
②ミルク・グロット教会/バンクシーアート

ナザレにて。

世界中のキリスト教徒を引きつける巡礼地”ナザレ”

ナザレはガリラヤ地方に位置し、ムスリムとキリスト教徒が半々に住むと言われる小さな街です。
ナザレがキリスト教徒を引きつけるのは、新約聖書でマリアがイエスの誕生を大天使ガブリエルから告げられた場所であり、イエスが伝道活動を始めるまでの約30年間を、両親と暮らした土地だからです。

ナザレは、4世紀にヨーロッパのキリスト教徒が巡礼に来るようになり、いくつかの教会が建てられました。その後は7世紀にイスラム教徒の支配下に入り、11世紀には十字軍が占領し、崩壊と再建を繰り返します。
現在のように多くの教会が建てられるようになったのは、17世紀にフランシスコ会の修道士がナザレに住むことを許されてからなのだそう。

ナザレの街並み。

受胎告知教会(Basilica of the Annunciation)

ナザレのシンボルとも言われる”受胎告知教会”は、マリアが大天使ガブリエルから受胎告知された洞窟の上に建てらたもの。1955〜1969年に、14年かけて建設されたイスラエル最大の、フランシスコ会の教会です。

受胎告知教会の外観。

受胎告知教会はスケールが大きくて、中庭から撮影すると写真に入りきらないほど。
教会の入り口にある正面の扉には、新約聖書にあるイエスの生涯が、左側の扉には創世記の場面が描かれています。

イエスの生涯が描かれた扉。
創世記のシーンが描かれた扉。

教会に入ると、中央の祭壇にマリアがお告げを受けたとされる洞窟があります。岩がむき出しで、当時の雰囲気を想像することができました。

吹き抜けになっている。
洞窟の中までよく見渡せる。


2階に上がると、各国から贈られたマリア像が飾られていて、美術館のような空間になっています。

開放的な雰囲気。

日本が贈った”長谷川路可”の作品、『華の聖母子』の作品も飾られていました。

長谷川路可作『華の聖母子』

こちらも、ガイドブックを読んで想像していたよりも大きくて立派。

気になったのが、中央の絵にフリーメイソンのマークが描かれていたこと。まことしやかに囁かれる陰謀論、真実はなんなのでしょう。

フリーメイソンのマークを発見。

外の回廊にも、各国から贈られたマリア像が並んでいます。ステンドグラスのものもあり、陽の光を浴びた様子は神々しいものがありました。

外の回廊にて。

Basilica of the Annunciation

聖ヨセフ教会(Church of St.Joseph)

フランシスコ修道院により、マリアの夫”ヨセフ”が大工の仕事をしていたとされる場所に建てられた教会です。現在建てられているものは、1914年に完成しました。

教会の外観。
優しい風合いの内部。

階段を降りていくと、ビザンツ時代の地下の礼拝所やブドウ酒を造っていたとされるサイロがあります。

教会の壁に描かれた、少年イエスの絵。

Church of St.Joseph

マリアの井戸(Mary's Well)

聖ガブリエル教会を目指して北上していくと、手前に”マリアの井戸”があります。

今は水が枯れている。

車が行き交う広場に、突如として現れるので驚きましたが、ここはマリアが水を汲みに行き、初めて大天使ガブリエルと出会った場所、と言われる井戸の跡です。

Mary's Well

聖ガブリエル教会/正教受胎告知教会(St.Gabriel's Church)

聖ガブリエル教会を目指して歩くと、大きなクリスマスツリーが目に入ってきました。

聖ガブリエル教会前の広場にて。

クリスマスツリーの横では、アラビア語のクリスマスソングにあわせてゲームをする、近くの保育園の先生と子供達と思われる姿が。歴史的な教会が、日常に溶け込む光景が新鮮でした。

聖ガブリエル教会の入り口。

聖ガブリエル教会は、ギリシア正教会がマリアが受胎を告知されたことを記念して建てた聖堂。

カラフルな配色の天井画。

この教会の地下には、マリアの井戸の水源があります。

水源にはコインが投げ入れられていた。

聖ガブリエル教会の近くには、品揃え豊富なChristmas Storeもあるので、足を運んでみてください。

バリエーション豊かなクリスマスグッズ。

St.Gabriel's Church

地元で人気のシャワルマ屋さんでランチタイム

街の中心部にある、小さなレストランでランチタイムをとることに。こちらは、グルメな日本人の方から教えていただいたお店。

新鮮な野菜が並んでいた。

アラブの伝統料理”シャワルマ”をいただきました。炙っているケバブをその場でスライスしてくれて、野菜も好きなものを選ばせてくれます。出来立てのシャワルマは、絶品でした。

ボリュームたっぷりのシャワルマは、1個で大満足。

アラブの手工芸品が可愛い雑貨屋さん

ナザレの小さなスーク(市場)の入り口に位置する雑貨屋さんでは、良質なアラブの手工芸品や、クリスマスグッズを取り扱っていました。

緑の看板が目印。

店内では、コーヒーやお菓子も販売していてアットホームな雰囲気。ホッと一息におすすめの場所です。

カラフルなクッションカバーやテーブルが可愛い。

Ghada's Corner

シナゴーク教会(Synagogue Church)

今回のShort Tripで、1番人の温かみを感じたのが”シナゴーク教会”の訪問でした。

Covid-19の影響か、店じまいが早かったのか、閑散としたスーク。

アラブの可愛い雑貨屋さんを出て、スークの中にあるというシナゴーク教会を目指すも、あるべき所に見当たらず彷徨います。
友人が、小さな商店のお兄さんに場所を聞くと、親切にも連れて行ってくれました。

門の外から眺めた、シナゴーク教会。

案内された場所は門が閉まっていて『これは、見つからないよね』という場所に。
お願いして、教会の中も入らせていただきました。

門の中では、おばさんが忙しそうにクリスマスの飾り付けの真っ最中。

ここは、ギリシアカトリックが管理する教会で、イエス自身が神から遣わされた”メシア”だと語った場所と言われています。

教会の中は薄暗かった。

イスラエル版『地球の歩き方』には、たびたび「通常は閉鎖されているので、周囲の住人に声をかけて開けてもらおう。」なんて案内が書かれていて『まさか、そんなロールプレイングゲームみたいなこと。』と半信半疑でしたが、歴史的な街では、代々住んでいる方にお話しを聞くのが近道である、ということを学べた良い機会でした。(1人で案内いただく時には、十分お気をつけくださいね。)


Synagogue Church

クリスマスデコレーションされたナザレの街

ナザレを訪問したのは、12月前半のこと。イスラエルは日の入りが17:00前くらいになってきた時期だったので、そのあたりからイルミネーションが点灯し始めました。

手作り感のある温かいイルミネーション。

受胎告知教会のほど近くから、聖ガブリエル教会まで案内するように飾られたイルミネーション。綺麗でした。

日が沈んでから、もう一度広場へ。

聖ガブリエル教会前の広場で、大きなクリスマスツリーの点灯を今か今かと待ちわびながら、私はエスプレッソ、友人たちはホットチョコレートをすすっていると、コーヒースタンドの店主が「点灯は今週末からだよ。」と...。
忘れていた寒さを、一気に思い出させてくれる情報をくれたのでした。笑[2021年は12/12(日)からでした。]

心なしか輝いて見えたのは、切なる願いからか。笑

【参照】
・地球の歩き方編集室.『地球の歩き方 2019-2020年度版』.株式会社ダイヤモンド社
・ミルトス編集部.河合一充『イスラエル・聖書と歴史 ガイド改訂版』. 株式会社ミルトス

写真/綾乃さん・ゆきえさん・なつきちゃん・がんちゃん
文/がんちゃん


☆おまけ『ハヌクリスマス』

足取り軽く向かった、テルアビブのHashalom駅。今日は初めて1人で電車に乗って、友人と待ち合わせているHerzliyaの駅まで行くのだ。

Hashalom駅の前の道路。

この日は、イエスが育った"ナザレ”にイルミネーションを観に行くということで、友人にちょっとしたクリスマスプチギフトを準備していた。

Hashalom駅の前。

駅に着いてみると、券売機がクレジットカードを読み取ってくれない。しかし、有人のカウンターは今日に限って混んでいる。
3台試しても上手くいかないので、ラブカブカードを握り締めながら困っていると、スクーターを押している通りすがりのお兄さんが「ちょっと貸してみて。」と、たちまち券売機で20シェケル分をチャージしてくれた。(約700円分)

ラブカブカード。

なんて親切な人。「ありがとう。」と言って、財布を出してお金を渡そうとしたら、200シェケル札しか入っていない。(約7,000円)
「すみません。両替できますか。」と伝えると、「いいよ。僕から君にプレゼント。」と、爽やかに立ち去るお兄さん。

3つ先の駅で集合して、車でNazarethに行く予定だった。

お兄さんの特徴を忘れないよう、立ち去る姿を見届けつつ、駅の中のコーヒースタンドに両替に走る私。
『見ず知らずの方にいただくには額が大きすぎる。』…どうにかして、お金を返さないといけない。
しかし、コーヒースタンドの前には4人も並んでいる。そして、レジは1人。
『無理だ。』イスラエルのレジは、氷河の流れのようにゆっくりなのである。

Hashalom駅構内。

電車の出発時刻まで、あと2分。遅延はあるあるだけど、遅れを期待してる時に限ってしっかり到着するなんてことも考えられる。友人が待っているので、乗り遅れるわけにもいかない。

急いでプラットフォームに向かって階段を下ると、目の前のベンチにスクーターを横付けして座る、あのお兄さんの姿が。また会ってしまった…。

『素通りするわけにもいかないし、手ぶらでお礼を伝えるわけにもいかない。200シェケル渡すのも違うし、連絡先を聞いて後日渡すことも望んでいないだろう。』

お兄さんに、苦手な英語で言い訳を並べた挙句、「スリハー。(失礼。)」と言いながら差し出した、友人へのプチギフト。
手に取ったお兄さんは、苦笑い。

ハヌカの袋に入った、サンタクロースのチョコレート。(例:クリスマスの袋に入ったブッタの饅頭)

「ありがとう!良い1日を。」お兄さんの天使のような言葉を背中で受け止めながら、その場をそそくさと離れた私でした。

おしまい。


最後までご覧いただきתודה רבה (トダラバ、ありがとうございます♡)

ープロフィールー

“YouTube 始めました!@ganchan_in_israel “

2019年末にイスラエルのテルアビブに駐在を開始。
現在は「もっと近くにイスラエル」「Web版 地球の歩き方・テルアビブ特派員」にて記事を執筆中。

好きな食べ物:すき焼き、ワイン(イスラエルフードではフムスとマラビが特に好き)。
苦手なもの:あんこ、サメ。
マイブーム:ワイナリー巡り、カフェ巡り、イスラエルらしい雑貨集め。
Instagram @ganchan_shalom

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