公認会計士・税理士として思う記帳が後回しな人が損をする理由を3つの視点から考えてみた
こんばんわ、皆様と一緒に成長していく公認会計士・税理士のガッツです。
専門家として、規模の大小は関係なく、記帳はこまめにするほうがいいですよという考え方を持っていることをこれまでもnoteで何度か発信してきました。
そのように主張する理由を後回しにすることのデメリットの面から考えてみたいと思います。
1.税金面の視点から記帳が後回しであることが損な理由
①記帳が後回し⇒途中経過がわからない⇒年度末に動くべき対策が途中経過から計画できない
例えば、節税対策は?と聞かれることはありますが、ある程度、途中経過や状況が分かってはじめて対策がとれるものと考えます。
残り1か月で先行投資すべきか、経費を抑えるべきかというのって、11か月の結果や現在の状況が分かって意思決定できると思います。
よくわからず、先行投資しちゃったりすると、結果として損になるかと思います。
②記帳が後回し⇒資料がどこに行ったかわからないことがよくある(資料があったかもわからない)⇒あげるべき経費を計上しそびれる⇒税金があがる
記帳では、根拠なく経費を計上することはできません。
資料がなくなったり、資料があることさえ忘れているのであれば、経費を上げそびれますから、結果として税金があがっちゃいます。
③税金には、翌期が始まるまでに税務署に届出がいるものもある⇒届出するかどうかの意思決定に際して、途中経過が必要(途中経過なく意思決定できる?)
税金には、翌期が始まるまでに税務署に申請すれば適用されるものがいくつかあります(適用することにより有利と判断する場合に申請することになります)。その典型が以下のような消費税の事例です。選択するかしないかを判断する時に、翌期の予測も大事ですが、当期の状況を踏まえて申請するかどうか判断することにならないでしょうか。
どう思いますか?と専門家としての見解を聞かれることはありますが、ある程度途中経過がわからないと、専門家としても「なんともいえないですね」としかいえないです。
・消費税の課税業者になるべきか、ならないべきか
・消費税申告で簡易課税を選択するべきか、そうではないか(原則か)
2.サポート面の視点から記帳が後回しであることが損な理由
①資料の入手が困難に
記帳が後回しの方の傾向として、記帳に必要な資料を後から要求してくることがあります(領収書とか。もらいそびれてたとか、失くしたから再発行してほしいとか)。
要求される相手方としては、何か月も前の資料を要求されるって、ストレスはあります。すぐに調べられないこともあります。
結果として、資料を入手するのに時間がかかったりする点、損してます(要求する資料によっては料金を取られたりも)。
②税理士などの料金も高額に
申告するのに税理士を活用いただくことも多いと思いますが、1年通して依頼いただくケースと、特急で依頼いただくケースを比較すると、特急で行うケースは特別料金を要求される事務所も多いのかと思います(税務署から問合せ来たから税理士を急ぎで探したケースとか)。
会計事務所に限りませんが、臨時的突発的なものには特別料金が発生すると考えたほうがいいので、後記帳についてもその点で損になります。
(確定申告時に、1年分記帳含めてお願いしたいと依頼をいただくとしたら、他のお客様や業務との兼ね合いで、高めの料金をいただかざるをえないです)
3.融資や補助金のなどの制度活用面から記帳が後回しであることが損な理由
①融資申請時に途中経過の資料提出を求められることは多々ある
最近の融資申請時の面談でも、直近3か月の決算書の提出を求められていますし、金融機関の立場からも直近の途中経過は気になります。
記帳が後回しだとそういう資料を出すのに慌てることになる(もしくは対応できない)ため、融資申請という面でも損になります。
②融資後にも途中経過の報告が望ましい
融資後も、途中経過の報告がある事業者とそうじゃない事業者だと、金融機関の印象も違います。
そういう事業者の姿勢は、将来的な増額申請や、借り換えなどにも影響してくるかと思います。
③補助金の申請では、きちっとした実績報告が求められる
有名な補助金申請でよく求められるのが、きちっとした実績報告です。
記帳だけではなく、資料を細かく要求(発注、検収、請求、支払実績など一連の流れの資料を)されることも多々あります。
記帳が後回しだと実績報告で困りますし、記帳するための資料の整理がいい加減だと、実績報告で要求する資料がそろえられず、補助金の一部を申請できないということになります。僕も非常にもったいない事例を多々見てきました(申請は頑張ってするのに、実績報告でこけてしまう)。
以上が、公認会計士・税理士としていろんな会社や事業者を見てきた経験から、損だなあと感じる点です。
事業者に応じて適時記帳のタイミングってまちまちと思いますが、ため込まないように、僕自身は事業者との伴走を心がけています。