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2021年6月に読んだ本

 2021年も半年が終わった。皆さんの今年の進捗はいかがでしょうか。
 新年に立てた抱負をここら辺りでもう一度見直してみるのもアリかもしれない。とはいえ、半年前に自分が何を考えていたかなんて意外となかなか思い出せない。忘れっぽい自分が懸命だったのはnoteに一つ記事を書いていたことだ。

 半年前の自分は「がんばらない」ことを目標にしていて、それは(周りの支えもあって)今でも継続できているように思う。意外だったのは「読書習慣」についても言及していて、そして今でもそれを続ける事ができていること。昔からコツコツやるのが苦手で夏休みの宿題もラスト3日でまとめてやっていたタイプの人間だった。飽きっぽい自分がこんなに継続できている事ができているのは珍しいし、なんだか少し誇らしい気分になる。

 毎月初めに前月に読んだ本をまとめるのもこれで6回目。まだ芽吹いたばかりの習慣だけど、100回目を目指して、、、いや、まずは10回かな。ぼちぼち取り組んでいきたい。

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2021年6月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:789ページ
ナイス数:127ナイス

■グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

 村上春樹に衝撃を与えた不朽の名作が村上春樹の文体で再び生命を得、私達の手許に物語が届けられる。取り掛かるまでに20年の月日を要したと氏が語るだけのことはあって、その1行1行が美しく調和が取れており示唆に富んでいる。
 ──「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」──
 100年前に紡がれた言葉とは思えないほどに現代を生きる私たちにとって痛烈な色褪せないメッセージが散りばめられている。
読了日:06月15日 著者:スコット フィッツジェラルド


■ナリワイをつくる:人生を盗まれない働き方

 安定志向の生き方・働き方ってなんだろうか。公務員になること、大手企業に入ること、etc... 筆者は複数の仕事を持ち、複数の収入源を持つことで得られる安定もあるのだと説く。
 ──会社を辞めるのがリスク、というのも確かだが、一方で会社に居続けることで何か他のことにチャレンジできるチャンスを失っている、という見えないリスクもあったりする。──
 本書が書かれたのは東日本大震災から1年後の2012年であり、働く・生きるという営みが根本から覆されたタイミングであった。コロナ時代の今もまた根本を見直すチャンスかもしれない
読了日:06月22日 著者:伊藤 洋志


■人間失格 (新潮文庫)

 これは自分のための小説だ。そう感じる読者が私以外にも多くいるからこそ、この小説は70年経っても読まれ続けている。
 理解されないことの苦しさや真っ当に生きられない人間の弱い部分に対する哀しみが時代を越えて普遍的なものであることを教えてくれる。ドキドキハラハラするストーリーは無い。しかし話のどこを読んでも人間に対する「愛」と自らの「死」の匂いを感じずにはいられず、読者は頁をめくる手を止めることができない。
 20代後半という時期にこそ読む意味のある1冊だと感じた。
読了日:06月26日 著者:太宰 治


▼読書メーター
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 『The Great Gatsby』については留学時代に一度原書で読んでいたが、英語では汲み取りきれなかった微妙なニュアンスが感じ取られて大変良かった(同じことをカズオ・イシグロを読んだ時にも書いた気がする)。一方で、当時凄く心に刺さったシーンがサラッと流されていたりして、翻訳家・村上春樹のフィルターを通して作品が再構築されていることを改めて感じた。原作と訳本それぞれの良さがあるのでどちらが悪いということではない。比較して読むと新たな発見が見つかるような気がする。
 本作においては留学先の大学で映画化された作品も鑑賞し、どういうシーンがどのような意図で作られているかなどを学んでいた。『The Great Gatsby』は1974年と2013年の二度、映画化されているがギャッツビー氏が主催するパーティーの華やかさや人柄などが2013年のものの方がよく再現されている(これについては村上春樹氏もどこかで言及していた)。ギャッツビー役のレオナルド・ディカプリオの演技がとにかく素晴らしく、原作の怪しくも美しく純粋で儚いギャッツビー像を忠実に再現している。

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 先月、伊藤洋志著『イドコロをつくる:乱世で正気を失わないための暮らし方』を読んだけれど、今月もまた氏の著作に触れた。『ナリワイをつくる:人生を盗まれない働き方』というこれまた刺激的な副題のついた自己啓発本(ハウツー本)だけれど、その内容は「ブルーオーシャンの分野を見つけ出し企業しよう」とか「リスクを背負って投資しよう」とか「今の仕事の中でバリバリ活躍して昇進を目指そう」とか、そういうお金稼ぎのための働き方について書かれたものではない。江戸時代頃には人々が日常の生活の一環として当然のように行っていた生業(ナリワイ)を取り戻そうという考えがベースとしてある。
 ──現在「新しい働き方」として提唱されているのは、これからさらにグローバル化が進み競争が激しくなる、だから世界に通用する高いレベルで能力を磨き、自分自身を広告的に宣伝し、稼げる仕事をしていこう、おおよそこんな考え方が大半ではないか。...(中略)...「ナリワイ」は、そうではなく、小さな生活を組み合わせて生活を組み立てていく。──
 世の中にはデカい仕事をしたい人間(本書の中では「バトルタイプ(戦闘型)」と表現されている)ばかりではない。衣食住をはじめとする人間のベースにある生き方暮らし方を見つめ直す機会を与えてくれる一冊である。

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