【読書記録5】家庭科は「生活力」を身につける大切な科目だと気づかせてくれる
皆さんいかがお過ごしでしょうか?
今回紹介する本は、南野忠晴著『正しいパンツのたたみ方――新しい家庭科勉強法』(岩波ジュニア新書)です。
家庭科で「生活力」を身につける
南野忠晴氏によると、家庭科という科目は「生活力」を身につける科目だと言います。引用します。
自分の暮らしを自分で整える力、それを「生活力」と僕は呼んでいます。「生活力」があると、毎日を気持ちよく暮らせます。少々のことがあっても、簡単にへこんだり、折れたりすることもありません。なぜなら、暮らしを切り盛りしてきた自信が、「なんとか生きていけるさ」という自信をも生み出すからです。それは僕で実証済みです。
家庭科は単なるスキルを学ぶ学問ではないということです。本書のタイトルになっている「パンツのたたみ方」を他の生徒と比較し合うことで、家庭ごとの違いを知ることも家庭科の勉強では重要なことです。
また、本書の副題は「新しい家庭科勉強法」です。岩波ジュニア新書は中高生向けのものですが、この本は大人が学びなおすうえでもとても素晴らしいものになっています。もちろん学生が読んでも面白いものになっています。
サバイブするための知
料理・洗濯・裁縫など家庭科には、生きていくうえで大切な知が詰まっています。それらを身につけることで、私たちは一人の人間として「自立」することができます。親と暮らし、ほとんど自立する必要がない学生のうちに家庭科を学ぶ意義がここにあります。「自立」について、南野氏は次のように記述しています。
この本のテーマである「自立」の本質は、変化に対して「安定感」を持って対処できる能力があるかどうかということだと言い換えることができます。そのとき、「自立」する上で大切なことは、広い視野に立ってものごとを見る姿勢ということになります。
家庭科という科目は副教科であり、数学や英語よりも軽視されがちですが、「自立」や「生活力」という観点から見ると、この教科の大切さがよくわかります。
学生のときに本書を読んでいたら、家庭科の授業がもっと面白いものだと感じたのかもしれません。