ファイアーエムブレムif 白夜王国
タイトルを見て「あれっ?」っと思った方もいるかもしれない。
と言うのも、今回レビューする「ファイーアエムブレムif(FEif)」は、ポケットモンスターシリーズと同じく「白夜王国/暗夜王国」の2バージョン発売されており、本来なら「ファイアーエムブレムif」あるいは「ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国」と表記するべきタイトルだからだ。
なぜ、白夜王国のみ表記したのか?それは単純に筆者が白夜王国しかプレイしていないからだ。
正確に言うと、過去のポケモンシリーズのレビュー時も1バージョンしかプレイしていないが、ポケモンはバージョンによる違いがあまりないため、そこを省いても問題ないと判断していた。
それと比較して今作は、ストーリー、仲間になるキャラクター、ゲームバランス、マップの構成等バージョンによる違いがかなり多く、ここを省くのはさすがにフェアではないと判断した。
そのため、今回のレビューはあくまで白夜王国のみに対応したものであることを、あらかじめ伝えておきたい
概要
最初にファイアーエムブレムシリーズについて簡単に解説しようと思う。
ファイアーエムブレム(FE)シリーズは任天堂から発売されているS.RPGシリーズであり、FEifは通算で14作目となる。
シリーズの特徴としては、中世ファンタジー風の世界で展開される重厚な戦記物ストーリーと個性的なキャラクター、そして奥深い育成システムが挙げられる。
また、1作目に当たる「ファイアーエムブレムシリーズ 暗黒龍と光の剣(1990.04.20)」はS.RPGというジャンルを確立させた実質的な始祖というべき作品でもあり、その後のゲーム史にも多大な影響を及ぼしている。
極端な話、「スーパーロボット大戦」「シャイニングフォース」「ラングリッサー」「オウガバトルサーガ」「フロントミッション」「サモンナイト」と言った数々の名S.RPGシリーズも、FEが存在しなけらばシリーズが誕生していなかった可能性すらある。
そんなFEシリーズだが、その足跡は決して順風満帆と言うわけではなく、一時はシリーズ打ち切りの可能性すらあった。
その状況を変えたのがFEifの前作に当たる「ファイアーエムブレム 覚醒」であり、同作が商業的な成功を収めたことで、無事シリーズの存続が決定し現在に至っている。
ただ、前作に当たる「FE覚醒」は商業的な成功こそ収めたものの、内容・特にストーリーに関しては不満の声もあり、次回作にはこの点を改善した作品が望まれてもいた。
そんな期待を背負って2015年6月25日にFEifは発売された。
物語
平和を愛する白夜王国と、戦によって勢力拡大を目論む暗夜王国が対立する世界。
両国の緊張関係は極限に達し、大きな争いが起ころうとしていた。
白夜王国の王家に生まれ、暗夜王国で育てられた主人公は、どちらの国とともに戦うかという、大きな決断を迫られるー。
先述したように、今作はバージョンでストーリーが変化する。
これをもう少し詳しく解説すると、序章から5章までは共通のシナリオとなり、6章開始時に選択肢が出現し、ルートが分岐する。
とはいえ、パッケージ版だと1ルートしか解放されてないため、もう一つのルートに進むためには、DLCで別ルートを追加シナリオとして購入しなければならない(パッケージ版を二つ買うよりお得)。また、第三のルートとして「インビジブルキングダム」というシナリオも販売されていた。
これら3つのルートは、それぞれ立場の違いにより、展開されるシナリオや仲間キャラクターも異なり、同じタイトルでありながら全く別のゲーム体験が出来る。
それぞれのルートの長さも、従来の1作品と同じくらいあり、最終的には当時としてはシリーズ随一のボリュームを誇るシナリオだった。
残念ながら現在ではサービスが終了しており、2バージョン両方のストーリーを体験するためには、両方のパッケージを揃えなければならず、「インビジブルキングダム」に至っては、確実にプレイする手段がない。
この辺はDLCの宿命とは言え、残念な部分である。
世界観について触れておくと、白夜王国編はシリーズ初の和風な世界観となっている。
例えば従来の武器三種「剣・槍・斧」は「刀・薙刀・金棒」となっており、クラスも「侍」「忍」「陰陽師」「天馬武者」と言ったふうに置き換えられている。
とはいえ、それぞれの性能自体は従来作と変わらないため、シリーズ経験者ならさほど違和感なく受け入れられるだろう。
ちなみに暗夜王国側は、従来と同じ中世ヨーロッパ風の世界観である。
シナリオについて。
今作の(白夜王国側の)シナリオだが、侵略者である暗夜王国に対抗するため、仲間と力を合わせて戦い、最終的には暗夜王国の主であるガロン王を討伐するという、非常にオーソドックスなものとなっている。
正直言うと、オーソドックスすぎて言うことがない。
今作のシナリオには、1990年代後半に週刊少年マガジンの黄金期を築いた名編集者であり漫画原作者の樹林伸が担当しているのだが、良くも悪くも少年漫画的な王道シナリオとなっている。
個人的には、暗夜王国で育った主人公がどのような経緯で白夜王国に付くのか注目していたが、白夜王国を訪れた主人公だが、ガロン王の策略で主人公の持つ魔剣が暴発し、白夜王国の女王であり主人公の実の母であるミコトが主人公をかばい死亡したことで、自分を捨て駒にしたガロン王のやり方に疑念を抱く、というわりと自然な展開となっている(無論、長年一緒に育った暗夜王国に付いても違和感はない)。
また、キャラクターの立て方もうまく、白夜王国の仲間はもちろん、暗夜王国の王子・王女も魅力的なキャラであり、わずかな出番ながら彼らと一緒に戦ってみたいと思わせるには十分なキャラ描写がなされている。
ただ、キャラの魅力こそ十分に発揮されているが、肝心のシナリオ部分の出来は、かなり微妙なものとなっている。
詳しくは後述するが、もしあなたが「聖戦の系譜」や「風花雪月」のような重厚な戦記物を期待しているなら、はっきり言って今作はおすすめ出来ない。
戦闘
S.RPGというジャンルを確立させた同シリーズだけあり、基本的なシステムはターン制のオーソドックスなものとなっている。
今作独自のシステムとして、「攻陣」「防陣」というものがある。
「攻陣」は、隣に配置したユニットが戦闘の際に追加攻撃を行うシステムである。追加攻撃の攻撃力は半分になるが、回数の制限はなく1ターンに何回でも発動することが出来る。
「防陣」は2つのユニットで組む陣形であり、敵の「攻陣」の追加攻撃を防ぐ。また、戦闘の度にガードゲージがたまり、これが10たまると敵の攻撃を一回無効化する(「攻陣」の追加攻撃はガードゲージに関わらず必ず防げる)。
「攻陣」と「防陣」でぶつかり合えば、追加攻撃を防げる「防陣」が有利だが、「防陣」は2つのユニットで組むため駒の数は減り、部隊全体の手数は減る。
このバランスが絶妙であり、生存率の高い「防陣」ばかりで部隊を編成すれば攻め手に欠くが、かといって「攻陣」ばかりだと事故が起こる可能性が高まるという、いい意味で頭を悩ませるシステムとなっている。
また、新たな武器種として「暗器」という武器が追加された。
この「暗器」は射程1-2に攻撃可能な力依存の間接武器であり、攻撃力は弓や魔法より劣るが、命中した敵にデバフをかけることが出来る。
この「暗器」の登場により、間接武器にも3すくみが存在するようになった。
また、武器のカテゴリーも赤武器(剣・魔法)、青武器(槍・暗器)、緑武器(斧、弓)といった具合に体系化され、赤→緑→青→赤…と有利取れる関係となる。
つまり、剣は斧に加え弓にもプラスの補正が働くが、槍と暗器にはマイナスの補正が働く、と言うわけである。
ややこしく感じるかもしれないが、実際のゲーム画面ではアイコンで有利不利の関係が分かりやすく表示されるため、プレイして引っかかることはないだろう。
肝心の戦闘バランスだが、白夜王国編は良い意味で優しめの難易度となっている。
戦闘マップはオーソドックスなものが多く、味方ユニットも分かりやすい性能のキャラが多い。ストーリーの中心となる4人の王子・王女はいずれも使いやすい強キャラであり(特にタクミとリョウマ)、シリーズ初心者でも安心してプレイできる。
また、各章の合間には「遭遇戦」というシナリオに関わりないフリーマップもあるため、キャラの育成もしやすい。もともと白夜王国編はシリーズ初心者や未経験者に向けて調整されたようで、S.RPGをプレイしたことのない人にもおすすめ出来る難易度となっている。
ただ、外伝マップはやや難易度が高い。
というのも、外伝の敵はシナリオの進行具合によって敵の強さが変動するため、味方を鍛えて楽勝というわけにはいかないからだ。むしろ、後半になればなるほど難易度は高くなるため、早めにクリアした方が良かったりする。
マップの内容も、敵に囲まれた友軍を救出するため強引に敵陣を突破するものや、敵に奪われた薬草を取り返すために森の抜け道を開きながら進軍するといった、一癖のあるものが多い。
外伝マップをプレイせずとも、ゲームクリアに支障はないため無理する必要はない。それでも、外伝マップをクリアすると結婚したキャラクターの子供が新たに仲間になるため、プレイヤーはなんとかしてクリアしたくなるだろう。
育成
FEシリーズはもともと奥の深い育成システムに定評のあるゲームだが、今作のそれは歴代でもトップクラスに面白いものとなっている。
まず、下級職のキャラはレベルが10を超えると「マスタープルフ」というアイテムで上級職にクラスチェンジ出来る。
クラスチェンジすると、ユニットの性能がパワーアップするほか、数レベル分のパラメータが一気に上昇する。この時の爽快感・開放感こそが育成の大きなモチベーションの一つとなっているのは間違いない。
また、今作には「マスタープルフ」以外にも、「パラレルプルフ」「バディプルフ」「マリッジプルフ」「チャイルドプルフ」「エターナルプルフ」というアイテムが存在する。
「パラレルプルフ」は素質のある別のクラスにチェンジするアイテム。各キャラは初期クラス以外にも素質のあるクラスがそれぞれ固有に存在する。初期クラスではいまいち活躍させづらいキャラも、クラスを変えることで思わぬ活躍をすることもある。
「バディプルフ」「マリッジプルフ」はそれぞれ支援レベルA+(同性の親友)、S(配偶者)のクラスにチェンジするアイテム。
自分が素質のないクラスにもチェンジ出来るが、それぞれ一人までしか支援レベルを上げることは出来ない(主人公のみ、支援レベルAでも「バディプルフが使用可能」で、人数の制限もない)。
支援レベルに関わる好感度は、主に戦闘中に「攻陣」「防陣」を該当ユニット同士で発動することで上げることが出来るほか、杖による回復や歌による再行動でも挙げられる。
実際に支援レベルを上げるためには、任意で「支援会話」を発生させなければならないため、「聖戦の系譜」のようなカップリング事故は起こらないので、安心していい。
「チャイルドプルフ」は子世代のみが使用可能なアイテム。
子世代ユニットは、親世代の男女が支援レベルSになると発生する外伝をクリアすることで仲間になるが、ゲーム後半で仲間になると育成に手間がかかる。チャイルドプルフを使うことで、仲間になったシナリオの適性レベル程度まで上げることが出来る、いわば救済アイテムである。
「エターナルプルフ」は、下級職以外が使用可能なアイテム。
レベルの上限を5上げることが出来、限界を超えた育成が可能となる、やり込み様のアイテムである。
これらのアイテムの中でも特に重要なのが「パラレルプルフ」「バディプルフ」「マリッジプルフ」であり、これらを上手く活用することで非常に自由度の高い育成が可能となる。
また、自由度が高いと言っても無制限ではなく、「バディプルフ」「マリッジプルフ」はそれぞれ一人の仲間にしか対応しないため、「誰と誰を結婚させるか」「誰と誰を親友にするか」と言った駆け引きが生まれる。
また、子世代に関しても、「両親のスキルを一つずつ引き継ぐ」「母親によりクラスの素質が変わる」「パラメータの成長率は母親の成長率に影響する」という特徴があるため、親世代以上に育成の自由度が高い。しかも、子世代同士で支援レベルA+やSにすることも出来る。
このように、自由度と制限が上手くかみ合い、歴代でも屈指の奥の深い育成が楽しめる。
組み合わせのパターンも非常に多く、しかも明確な正解がないため、冗談抜きで、カップリングの組み合わせを変えることで毎回ユニットの使い勝手が変わる。
もっとも、これらの育成システムはあくまでやり込み要素に近い。普通にプレイするならば、初期職から上級職にクラスチェンジするだけでも充分強く、ゲームも余裕でクリアできるので、ライトユーザーでも充分楽しめるだろう。
マイキャッスル
マイキャッスルは、各章の合間に訪れる主人公一行の拠点で、ゲーム序盤の終わりころに解放される。
最初はろくに施設もなく殺風景な場所であるが、マップをクリアした時に得られる龍脈ポイントを消費することで、様々な施設を建築して機能を充実させることが出来る。
施設は武器屋や防具屋のほか、主人公の住居となるマイルームや捕獲した敵を閉じ込める牢屋、防衛戦の際に敵を攻撃する兵器、果ては温泉など様々な種類がある。
店を建築することで、部隊全体の戦力を底上げしたり、牢屋の敵を説得することで仲間に加えられたりすることも出来る。また、一部のキャラは特定の施設のレベルを上げることで仲間に加わる。
特筆すべきはマイルームでのおさわり機能である。これは仲間の一人をマイルームに招待し、3DSのタッチスクリーンを使用し仲間の顔や胸元を撫でまわして好感度をあげるいうもの。
相手が未成年や既婚者でもお構いなしである。また、マイルームには自身の配偶者が住むため、彼(彼女)の目の前で上記の行為を行うことになる。
色々とまずいためか、北米版ではシステムそのものがカットされ、単に仲間と会話する方式に変更されたらしい。
ちなみに、このシステムで上がる好感度は極わずかなため、ゲーム的なメリットは少なく、気に入らなければ無視しても大した支障はない。
気になった点
今作もっとも気になった点、それはストーリーである。
システムに関しては歴代屈指の充実を誇る今作だが、それに反してストーリーの出来はかなり微妙なものとなっている。
メインストーリーの展開こそ、オーソドックスな勧善懲悪ものであり、FEとしてはやや物足りないが、決して致命的につまらないものではない。
問題は細かな展開と、その際の演出にある。
以下、いくつか例を挙げる。(ネタバレもしていくので、未プレイの方は見ない方が良い。)
①リリスの扱い
暗夜王国から主人公に仕えている従者のリリス。彼女はかつて主人公に命を救われたマムクート(竜)であり、作中序盤にピンチの主人公を救った代償に人への化身能力を失う。
その後、現世とは時間の流れが異なる「星界」に主人公を招き、以後ここが主人公一行の拠点「マイキャッスル」となる。
その後も献身的に主人公に仕える彼女だが、終盤に敵の攻撃から主人公をかばい命を落とす。
本来なら感動的なシーンのはずだが、その唐突ぶりに筆者は唖然となった。
他のプレイヤーの感想を見ても、概ね似たような感想だったため、自分の感覚がずれているわけではないようだ。
このリリスと言うキャラだが、普段の行軍に付いてくるわけではなく、あくまでマイキャッスルの守護者という位置づけである。
マイキャッスルの彼女の神殿に餌ご飯をささげることで、彼女のレベルを上げることは出来るが、あくまでキャッスルの防衛戦でNPCとして助力してくれるに限る。
それに、メインストーリーの会話劇に参加することもないため、シナリオ上の存在感も薄く、プレイヤーが感情移入しづらい。
上記の主人公をかばうシーンも、「なぜ主人公のピンチをタイミングよく察することが出来たのか?」、「主人公のもとに参じれるのなら、なぜ今まで戦力として戦わなかったのか?会話に参加しなかったのか?」と言った疑問の方が先に立ち、どうにも展開に感情移入できない。
そんなプレイヤーの気持ちとは裏腹に、主人公は激しく慟哭するが、プレイヤーと主人公の感情が一致しないのは、ゲームストーリーとしてかなりよろしくないのは、言うまでもない。
②子世代ユニットの扱い
やり込み要素としては面白い子世代ユニットだが、ストーリー上の扱いは非常に軽い。
まず、子世代ユニットはゲームをクリアするだけなら一切仲間にする必要はなく、ストーリーにも一切絡まない。
キャラは魅力的で、親子の会話や子世代同士での支援会話なども充実しており、決して空気と言うわけではないが、扱いが雑に感じる。
仲間になる展開も、現世とは時間の流れの異なる星界で成長した子世代ユニットが、紆余曲折を得て参入するという流れなのだが、親世代ユニットが育児に携わっていたという描写もないため、親子関係がかなり希薄なように感じる。
特に、子世代ユニットの存在そのものが、シナリオ上重要な意味を持った「聖戦の系譜」と比較すると、その扱いは雲泥の差である。
どうにも前作好評だったから続投したという印象が強く、システムとストーリーが上手くかみ合ってない印象を受ける。
③ガロン王との戦いにおける演出
ついにガロン王を追い詰めた主人公一行。
しかし彼の力は圧倒的であり、奮戦するも逆に追い詰められ、アクアを人質に取られる。
絶対絶命のその時、リョウマの雷神刀とタクミの風神弓に呼応し、主人公の夜刀神が真の力を解放する、という非常に熱い展開を見せてくれる27章。
問題は最初に主人公がやられた際に、隣にいるアクアが派手に吹き飛んだ主人公を無表情で異様に冷静に眺めているという演出である。
上記のように展開そのものは非常に熱いのだが、このシュールギャグのような演出が気になっていまいち頭に入ってこない。
というかテストプレイの時に疑問に感じなかったのだろうか?
④まとめ
特に気になったのは上記の3点だが、他にもいろいろと気になる点は多い(エリーゼの扱いとか)。
ゲームは漫画、アニメ、映画、ドラマ、小説等と比較して、圧倒的にユーザーが感情移入しやすいメディアである。
それは当然、入力デバイスを使用しプレイヤーが主人公を操ることが出来るからだ。ユーザーが直接的な形で作品世界に触れられることこそが、他のメディアにはないゲームの大きなアドバンテージである。
当然ユーザーと作品主人公の感情は他のメディア以上に一致しなければならないのだが、今作はどうにもユーザーを置いてけぼりにするような展開・演出が多い。
また、ゲームストーリーならではの特徴として、システムとのかみ合わせというのがある。
何度か例に出した「聖戦の系譜」は、親子2世代に渡る壮大な戦記物ストーリーを、カップリングシステムで表現した。
これにより、非業の死を遂げた親世代の無念を、子世代が晴らすというストーリーに説得力が生まれ、プレイヤーに強い印象を残すことに成功している。
だが今作は、せっかくカップリングシステムを導入していながら、ストーリーに全く生かせていない。
制作者としては、あくまでやり込み・おまけ要素のつもりなのかもしれないが、それ故にストーリー上かなり浮いた存在となり、プレイヤーに違和感を与えるものとなっている。
原案に樹林伸を招聘する辺り、シナリオに力を入れたのは間違いない。だが、「ゲームのシナリオ」としては、はっきり言って完成度は低い。
繰り返すが、シナリオの大きな流れ自体は決して悪いものではなく、やり方次第では良ストーリーとなっていた可能性も十分あり得た。
それだけになんとも勿体ないと感じる。
総評
一言で言えば一長一短な出来である。
システム、やり込み要素に関しては歴代でも屈指の内容となっており、
システム重視のプレイヤーならおすすめ出来る。
反面、シナリオの完成度は低く、ゲームにストーリーを求めるプレイヤーにはおすすめできない。
ただ、内容以上に、今作はDLCを始めとした通信サービスが終了しており、現在ではゲームの要素を全て楽しむことが出来ないという問題がある。一応、白夜王国・暗夜王国それぞれを単体でプレイする分には問題なく、ボリュームも単体のゲームとしては十分にある。
今からプレイする方は、上記の点を十分注意してから購入した方がいいだろう。