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オクトパストラベラーⅡ

1986年5月27日、初代ドラゴンクエストが発売されてからはや38年の月日が経った。
ゲーム技術の進歩はすさまじいもので、当時では考えられたかったような美麗なグラフィックで表現された広いオープンワールドを、声優によって命を吹き込まれた魅力的なキャラクターが、ド派手なアクションや魔法を駆使して敵と戦い、壮大な冒険を繰り広げる、そんな夢のようなゲームが当たり前に存在する時代となっている。

ゲーム好き冥利に尽きるというものだが、そんな自分でもふいに80~90年代の進化の途中にあったレトロゲームをプレイしたくなることがある。
現代よりはるかに制限の多かった時代だからこそ、限られた制限のなかクリエイターたちの情熱をぎりぎりまで注ぎ込んだ、当時のゲームにしか感じられない「熱」を体験したいからだ。

その一方で、現代の洗練されたゲームをプレイしているがゆえか、それらのレトロゲームにはどこか物足りなさを感じるのも事実。
特にインターフェイスを中心としたゲームシステムには、どうしても当時の限界を感じることが多かった。

当時の雰囲気を残したまま、現代の水準で作られたゲームは存在しないのか…
そんなおっさんのわがままを具現化したゲーム。
それが今回取り上げる「オクトパストラベラー2」である。


概要

2を語る前に、前作である「オクトパストラベラー」について軽くまとめておきたい。

オクトパストラベラーは2018年7月13日にスクウェア・エニックスよりNintendo Switchで発売されたRPGである。

その最大の特徴はドット絵と3Dを融合した「HD-2D」と呼ばれるグラフィック。
その美麗さは、旧スクウェア黄金期の1990年代半ばの作品を思い出させるには十分なものであった。
また、8人の主人公によるオムニバスストーリー、「コマンドブースト」「ブレイク」といった独自のシステムにより戦略性の高いバトル、印象的な数々のBGMなどが合わさり、古き良きクラシカルなRPGを最新の技術で表現した、「伝統と革新の融合」というキャッチフレーズにふさわしい一作となった。

今作「オクトパストラベラーⅡ」は前作の様々な要素がパワーアップした正当な続編であり、「トライアングルストラテジー」「ライブアライブリメイク」を得て完成した、現時点においてのHD-2Dシリーズの集大成と呼べる一作となっている。

特徴

物語

今作のストーリーは前作と同じく8人の主人公からなる群像劇となっている。
プレイヤーは最初に8人と主人公からメインとなる一人を選び、そのキャラがゲーム全体のメイン主人公となる。
選ばれなかった主人公は仲間としてゲーム中に登場する。
この辺は旧スクウェアの往年の名作「ロマンシング・サガ」を彷彿されるが、そちらと違い選ばれなかった主人公のストーリーも一度のプレイで体験することが出来るため、別のキャラクターのストーリーを体験するために、わざわざ周回プレイする必要はない。

また、メイン主人公と言っても作中の扱いは他の仲間と大差ないため、主人公選択をあまり真剣に考える必要もなく、直感で選んでよい。

各ストーリーは章仕立てとなっており、概ね4章程度で終了する。キャラによっては3章や5章のストーリーもあるが、全体のボリュームはそれほど大差ない。

各ストーリーのクオリティも高く、それぞれ全く違うジャンルのストーリーを同じ世界の中で違和感なく共存させている。
各々のストーリーも起承転結がはっきりとしており、一つの章が終わるごとに新たな展開が見られるため、続きが気になるものとなっている。
それぞれの章がコンパクトにまとまっているため、中だるみや引き延ばし感もなく、それでいて8通りものストーリがあるためボリュームも申し分ない。

前作との違いとして、クロスストーリーという特定のキャラ2人の組み合わせによるサブストーリーも存在する。

また、この手のゲームのお約束として、8つのストーリーに共通する伏線が隠されており、8人の主人公のストーリーと4つのクロスストーリー全てをクリアすると、最終エピソードをプレイすることが出来る。
この最終エピソードをクリアすることでようやくスタッフロールが流れEDとなる。

気になる点としては、個性的なキャラがそろっているのに、各キャラのストーリーではほとんどセリフがないため、一緒に冒険している感がやや薄いこと。
これは前作でも指摘された部分で、今作ではクロスストーリーの存在や戦闘時の掛け合いを増やすなどの改善は見られるのだが、根本的は孤独感はやはり解決しているとはいいがたい。
その代わり、各主人公のストーリーに出てくるサブキャラも魅力的で、そちらでうまく補っている感がある。
もし他の仲間キャラがそれぞれのストーリで存在感を出しすぎたら、サブキャラの印象が薄まってしまう可能性もあるため、結果としてこのやり方にしたのは正解だったと思う。

システム

  • バトルシステム

今作の戦闘は、前作と同じくオーソドックスなターン性バトルに独自のシステムを加えたものとなっている。

大きな特徴として、ターンごとに加算される「BP」というポイントがある。最大で5個チャージすることが出来、このBPを消費することで各種コマンドを強化することが出来る。

また、今作の敵には「シールドポイント」というパラメータがあり、弱点属性で攻撃することでポイントを削ることが出来る。
シールドポイントを0にすることで「ブレイク」状態となり、この間は完全に無防備で防御力も大きく下がる。

つまり、ブレイク状態の敵にBPで強化した攻撃を叩き込むことが基本戦術となる。

ルールとしては比較的シンプルなものだが、各種ジョブやアビリティ、キャラごとの個性的な固有コマンドのおかげで、取れる戦術の幅は広く戦略性の高いバトルを楽しむことが出来る。

また、戦闘中はいつでもバトルスピードを倍速にすることが出来るため、テンポも悪くない。

前作からの変更点として、「底力」「EXアビリティ」といったキャラ固有コマンドの追加された。
「底力」は底力ゲージがフルになると発動できる固有コマンドで、キャラによって様々だがいずれも優秀な効果を発揮することが出来る。
底力ゲージは宿屋でフルチャージできるほか、戦闘中の行動によってもチャージ可能。
「EXアビリティ」はジョブアビリティと同じくSPを消費して使用するコマンドで、アビリティと同じ性質を持つ。

・ジョブシステム

今作のジョブシステムは、前作と同じく「ベースジョブ」と「バトルジョブ」の組み合わせとなっている。

「ベースジョブ」は各キャラクターごとに最初から設定されたジョブであり、こちらを変更することは出来ない。

「バトルジョブ」は各キャラクターに追加で一つだけ設定できるジョブであり、条件を満たせばいつでも変更できる。

バトルジョブには各キャラのベースジョブの他、「伝承ジョブ」という特殊なジョブが4つ存在する。
また、戦闘後に取得できるJPを消費することでコマンドアビリティを、コマンドアビリティをいくつか取得するごとにサポートアビリティを取得することが出来る。

コマンドアビリティはそのジョブにチェンジしないと使用できないが、サポートアビリティは一度取得すれば他のジョブでも使用可能。ただし、同時に装備できるサポートアビリティは4つまでである。

前作との大きな変更点として、伝承ジョブを除くバトルジョブは3人までなら複数人での同時使用が可能になった(前作では同時に使用できなかった)。このため、前作では不可能だった「全員剣士のパーティー」「全員学者のパーティー」も(実用性は置いておいて)可能となった。

全体的に順当にパワーアップした今作の戦闘だが気になる点もある。
一番気になったのは、バトルジョブが複数人使用可能になったことで、強ジョブで固めるのが最適解になったこと。
特に「商人」の性能は凄まじく、困ったら商人にしておけば間違いないといわれている。ほかにも「ねんちゃく糸」による行動順調整が強力な「狩人」、アタッカー役とサポート役を高いレベルでこなせる「盗賊」も強い。
また、「底力」「EXアビリティ」の追加により、ベースジョブの時点で完成しているキャラも多く、前作ほどベースジョブとバトルジョブのシナジー効果を感じることが少なかった。
もちろん全員がそうではなく、テメノスのようにバトルジョブとの組み合わせで様々な可能性を見せてくれるキャラもいるが、組み合わせの妙を考える楽しみと、それがうまくハマった時の面白さは前作には及ばないというのが正直な所であった。

キャラクター

  • ヒカリ・ク 

砂漠の国、ク国の第二王子。本来の王位継承者だが、それを不服とした兄王子に追われる形で祖国から脱出。祖国の奪還を目指して戦う大河的ストーリー。
その王道的なストーリーと剣士といういかにもなベースジョブも相まって、彼をメイン主人公に選んだ人は結構るのではないだろうか?筆者はそうだった。
性能的には印象通りの脳筋キャラと見せかけて、実際には万能キャラ。
攻撃力に関しては最初から最後までトップクラスでありパーティーのエースを担えるほか、彼独自の「覚えた技」が非常に強力。
街のNPCから様々な技を習得することができ、彼一人でアタッカーからバフ・デバフ役まで一人で何でもこなせる。
底力「陰(陽)の力」の飛燕華による二回行動に加えEXアビリティ「真・十文字斬り」の破壊力も申し分なく、文句なく今作最強キャラの一角である。

  • アグネア・ブリスターニ

田舎町出身の踊り子であり、誰もが憧れるスターになるために旅立つ朝ドラ的なストーリー。
前作の踊り子「プリムゼロ」のストーリが非常にシリアスだったためか、アグネアのストーリーは非常に前向きで明るいものとなっている。オズバルドやソローネとのギャップがやばい。
性能的にはバフよりのサポートタイプ。踊り子の性能自体は前作より使いやすくなっているものの、彼女にしかできないことが少なく、全体的にはやや不遇な性能。
最大の仕事は、EXアビリティ「風呼びの歌」(敵全体に風属性ダメージを与え、味方全体の次ターンの行動順を一番前にする)により行動順調性だろう。文面だとピンとこないかもしれないが、ぶっちゃけこのアビリティだけで戦えるくらいの壊れ性能である。

  • パルテティオ・イエローウィル

鉱山の街の開拓民であり、新たな商売を目指して旅立つプロジェクトX的なストーリ。
「商売の匂い」という彼独自のサブストーリーが存在し、クリアすることで「酒場でのサウンドテスト」「世界観に関わるフレーバーテキストの閲覧」「船の入手」ができる。特に船はクリアに必須となる。
性能的にはサポートタイプで、特に底力「気合」による即時BPフルチャージが優秀。
だがそれ以上にベースジョブの「商人」が極めて優秀。とくに商人のアビリティ「傭兵呼び」は資金こそ必要なもののその性能は凄まじく、僅か800の資金で物防デバフを掛けられる「ならずもの」、フルブーストすることで敵全体のシールドを問答無用で4削る「獣人」、敵全体に大ダメージを与えつつ味方全体のHPとSPを回復する「異邦の暗殺者」の3つはバランスブレイカーレベルの凶悪な技である。

  • オズバルド・V・ヴァンシュタイン

妻子殺しの罪を擦り付けられた学者が、復讐の為に監獄から脱獄し真犯人を追う韓流ドラマ風ストーリー。
8人の主人公の中でも特にシリアスなストーリーで、特に4章の展開はかなり衝撃的。
だがそれ以上にライバルのハーヴェイ教授(CV.子安武人)のインパクトが凄まじい。氏の悪役笑いを存分に堪能できる。
性能的には魔術師よりのアタッカー。同タイプのキャラが前作強すぎた反動か、今作ではかなりナーフされており、結果として性能的には今作最も不遇なキャラと言える。
特に前作では素のジョブアビリティとして存在した大魔法及び特大魔法がアビリティを通してしか発動できなくなったこと、前作の学者の奥義であった魔法収束化がオズバルドの底力になったことで、単体に大ダメージを与えるためには2ターンの準備期間が必要になったことが大きい。
準備をきっちりと整えればそれなりの大ダメージは与えられるが、ヒカリやソローネはそれ以上の大ダメージをオズバルドより短い準備期間でやってのけるのが悲しい。

  • ソローネ・アングイス

大都会の闇に潜むならず者集団「黒蛇盗賊団」の一員。自由を求め盗賊団からの脱出および戦いをメインとしたストーリー。
オズバルドと並びシリアスなストーリーで、EDも決してハッピーエンドとは言えないものとなっている。
性能的にはスピードの早いデバフよりのサポーター。ベースアビリティ「盗賊」の優秀さに加え、底力「残影」による2回行動、EXアビリティ「闇のとばり」による物理回避など本人の能力とジョブの性能ががっちりかみ合った強キャラ。
中盤以降は行動速度が攻撃力に影響する盗賊奥義「盗公子エベルの鉤爪」によりアタッカーとしての役割もこなせるなど、ヒカリと並ぶ今作最強キャラの一角である。

  • テメノス・ミストラル

異端審問官として、教皇殺害を発端とした連続殺人事件の真相を追うミステリー風ストーリー。
事実上の助手を務める「聖堂騎士クリック(通称クリックくん)」との掛け合いも秀逸で、印象的なサブキャラの多い今作でも特に記憶に残るキャラとなっている。
性能的には回復と光属性による攻撃をメインとした僧侶タイプのキャラ。
ベースジョブ神官の性能はそこそこと言ったレベルだが、テメノス自身が優秀。底力「断罪(弱点に関係なくシールドを削ることが出来る)」による多段ヒット攻撃を利用したシールド削り、EXアビリティ「超過回復の祈り(最大HPを越えて回復することが出来る。)」による回復、「神聖魔法(全SPを消費して大ダメージを与える)」によるアタッカーなど、彼固有の行動すべてが優秀なため、バトルジョブとのシナジーを最も感じられるキャラである。

  • オーシュット

人と獣人の暮らす島「トト・ハハ島」出身の獣人の女性。「緋月の夜」と呼ばれる災厄から島を守るため、伝説の3匹の魔物を探すために旅立つポケモン風のストーリー。
彼女自身は非常に明るい性格だが、ストーリーそのものはシリアスより。むしろ彼女の明るさがシナリオのシリアスさを引き立てているように感じる。
性能的にはアタッカー兼サポーターと言った所。また、彼女固有の行動としてモンスターを「捕獲」し、捕獲したモンスターを「けしかける」というFFでいう魔物使いのような行動が出来る。
ベースジョブ狩人はアタッカーよりの性能で、序盤から中盤はヒカリに次ぐ攻撃力を発揮する。だが後半になるとソローネやテメノスがアカッターとして台頭してくるため、徐々に力不足になる。
むしろ後半は狩人のアビリティ「ねんちゃく糸」による行動順調性や、EXアビリティ「みんなでけしかける」による、バフ・デバフおよびシールド削りに真価を発揮する。
とくにシールド削り能力は味方中随一であり、弱点属性を把握しておく必要こそあるが、BPフルブーストからの「みんなでけしかける」で10以上のシールドを一気に削ることも可能である。

  • キャスティ・フローレンツ

海上で漂流しているところを救出された記憶喪失の薬師で、自らの記憶を求めて旅立つ医療ドラマ的ストーリー。
真面目で世話焼きなパーティーのおかんで、野生児で子供っぽいオーシェットとのコンビが印象的。
性能的には回復兼サポート役。ベースジョブの薬師は奥義「霊薬公ドーターの恩恵(アイテムの効果を全体化する)」を除けば特筆すべきアビリティはないが、彼女固有のコマンド(調合)が優秀。
特にザクロの葉×2+拡散剤+増強剤の組み合わせが強烈で、自身を含めた味方全体のBPを4チャージすることが出来る。ちなみに前述の調合はBP4あれば可能のため、事実上のBP永久機関である。おまけに調合素材はすべて道具屋で購入できる。
恐ろしいことに、これでも前作の調合から若干ナーフされている。

フィールドコマンド

ある意味本シリーズを象徴する要素。
簡単に言えば、街中のNPCに様々な行動を行うことで、プレイヤーにとって利益となる結果を得るコマンドである。

主な行動として「NPCをパーティーに加え連れまわす」「NPCの情報を入手する」「NPCからアイテムを入手する」「NPCを気絶させる(主な用途は不法侵入)」の4種類がある。
コマンドはキャラクターごとに2種類存在し、昼と夜で使用できるコマンドが異なる。ちなみに昼夜はいつでもワンボタンで切り替えることが出来る。

各サブイベントの攻略にも必須のこれらフィールドコマンドだが、やっている内容は犯罪そのもののコマンドも多く、コマンドによっては失敗を5回繰り返すと街との仲が険悪とあり、そうなった街ではフィールドコマンドが使用できなくなる。
と言っても、酒場のおやじにはした金を払うことで一瞬で関係が改善されるため、これが原因で積むことはない。どうなってんだ酒場のおやじ。

それでは、各キャラクターごとのフィールドコマンドを紹介していこう。

  • ヒカリ

昼は「試合」。NPCに試合を申し込み、勝利した場合相手を気絶させるほかNPCの所有している技を取得することが出来るという、攻略上でも重要なコマンドの一つ。正々堂々と申し込んでいるため、関係性は変化しない。

夜は「買収」。NPCに金を渡して情報を入手する。はした金で重要な情報をあっさりゲロするNPCも多く、この世界の住民のセキュリティ意識はザルである。と思いきやニセ情報ではめてくるNPCもいるため油断できない。お互い合意のためか関係性は変化しない。

  • アグネア

昼は「誘惑」。踊りで相手を魅了することでNPCを連れまわすことが出来る。さすがに子供を誘惑することは出来ないが、男だろうと女だろうと誘惑しラスボスや隠しボスに挑むことも可能。比較的温厚な手段のように見えるが、失敗すると関係性が悪化する。このことから、ロックブーケの如く相手の意思を奪い強引に連れ出しているとみなされているようである。

夜は「おねだり」。NPCにおねだりすることでアイテムを頂戴する。やってることは物乞いそのものだが、関係性は変化しない。可愛いは正義。

パルテティオ

昼は「買取る」。NPCのアイテムを言い値で買い取ることが出来る。当然お互い合意のため、関係性は変化しない。

夜は「雇う」。NPCを言い値で雇い、連れまわすことが出来る。お互い合意のため、関係性は変化しない。

「買収」もそうだが、この世界のNPCは金さえ払えば、大抵のことは納得できるようである。

  • オズバルド

昼は「探る」。NPCをつぶさに観察することで情報を入手することが出来る。じろじろ見られるのは嫌なためか、失敗すると関係性は悪化する。

夜は「強奪」。NPCに戦いを挑み、勝利したらアイテムを入手することが出来る。どう考えても犯罪行為だが、なんと関係性は変化しない。正面から堂々と挑んでいるからだろうか?

  • ソローネ

昼「盗む」。その名の通り、NPCからアイテムを盗むことが出来る。失敗すると関係性が悪化する。ここまでくると、普通に関係性が悪化することにむしろほっとする。

夜「闇討ち」。延髄に手刀を入れてNPCを気絶される。成功の見込みがない相手にはそもそも実行できないため、関係性は変化しない。

  • テメノス

昼「導く」。NPCを洗脳導くことで、連れまわすことが出来る。聖職者によるありがたい説法のためか、関係性は変化しない。やってることは「誘惑」と変わらない気がするが。

夜「暴く」。NPCと戦い、ブレイクしたら情報を入手できる。戦闘はあくまでイメージで、実際は「逆転裁判」のごとく言論バトルを行っているものと思われる。正々堂々と戦うためか、関係性は変化しない。相手を論破しても関係性が変化しないのは、ある意味一番リアリティが欠けているように思える。

  • オーシェット

昼は「けしかける」。連れている魔物でNPCと戦い、勝利したら相手を気絶させる。失敗すると関係性が悪化する。正々堂々と戦っても受け入れてくれるNPCだが、さすがに害獣をけしかけられるのは我慢できない様子。

夜は「てなづける」。アイテムを渡すことでNPCを連れまわすことが出来る。関係性は変化しない。渡すアイテムは主に魔物から加工した食料アイテム。この世界のNPCは金だけでなく食い意地も張っているようである。

  • キャスティ

昼は「聞き出す」。その名の通りNPCから情報を聞き出す。関係性は変化しない。何の対価も支払わず、純粋に話術だけで情報を入手している辺り、テメノスより探偵の素養があるかもしれない。

夜は「眠らせる」。特定のアイテムを使用し、NPCを気絶させる。これまた犯罪行為だが、薬師という職への信頼のためか、関係性は変化しない。ある意味一番タチが悪い。

以上が各キャラのフィールドコマンドとなる。
御覧の通り、見事なまでの犯罪行為のオンパレードである。これらのコマンドを新たな街に到着するにつれ、街中の住民に行っているわけで、この世界の治安はリバティーシティや神室町並みに荒んでいるのではないか?という気がする。

逆に言えば、ほぼ全てのNPCに細かな設定が用意されているということでもあり、その作りこみの凄まじさが伺える。
NPCの情報や所持アイテム、強さや使える技などからも明確なバックボーンが垣間見れ、各種サブイベントの内容も含めプレイヤーの創造を掻き立てるものとなっており、今作とは切っても切り離せない要素なのは間違いないだろう。

総評

一見すると懐古主義的なRPGに見えるかもしれない。
しかしその実、現代のRPGならではの様々な要素を盛り込んでおり、懐古主義を謡うゲームにありがちな「単なる古臭いゲーム」とは一線を画すものとなっている。

特に街中のNPC全員に至るまでに作りこまれた世界観や、爽快感と戦略性を両立させたバトル、質と量を両立されたオムニバスストーリーなど、純粋なRPGとしての完成度は非常に高い。

90年代のような王道のRPGをプレイしたい、でも当時のゲームを今さらプレイする気になれない人は一度手に取って見てはいかがだろうか?懐かしいようで新しい、そんな「伝統と革新の融合」がなされたRPG、それが「オクトパストラベラーⅡ」である。


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